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小さな子どもと 都内の展覧会やミュージアムを楽しむ ちょっとしたコツ

★2022.12 追記
この記事をきっかけに、Webメディア「CHANT WEB」さまに取材いただきました✨ よろしければ合わせてご覧くださいませ

連載①
子連れ美術館「狙い目の時期や時間帯は?」楽しみ方のコツ【専門家に聞く】

連載②
「突然グズったら」「走り出したら」美術館めぐり 子連れでも安心して回れる方法


美術館へ赤ちゃんを連れて出かけた、という方が、新聞の投書欄に寄せた記事を読んだことがありました。
後日、それを読んだ読者からの投書を紹介した記事が掲載され、再び読んで考えたことが、このnoteを書こうと思ったきっかけです。


わたしは、できれば保護者の方々には ご自身のリフレッシュも兼ね、幼児や赤ちゃんと一緒に、遠慮なく いろいろな美術館・博物館へ出かけてほしいなぁと思ってます。
一緒に 非日常の空間へ身を置き、自由に、好きなように、思うままに展示を眺め、いろんな表現、いろんな動植物、いろんな世界や人生があることを感じ取ってもらえたらなぁ、と。

でも現実は、準備や移動の時点から あれこれ気を遣って、ほんとに大変ですよね・・・ その上、いつもと違う雰囲気に落ち着かない幼児や、いつぐずりだすか読めない赤ちゃんが一緒では、もうハラハラしちゃって鑑賞どころじゃない、本当にハードルが高い、という声もよく聞きます。都心の大型館では特に。

ということで今回は、独断と偏見と老婆心からご提案したい、幼児や赤ちゃんと一緒に展覧会へ行きたくなったときの、展覧会や美術館・博物館の選び方&お薦めのお出かけタイミングはここ✨というお話です。


わたしは本当に できる限り 空いていそうなタイミングを狙って、ほぼ毎週 美術館・博物館に出かけてます。なので、子どもと一緒に鑑賞する方々もよくお見かけします。
ちびっ子が のびのびと楽しめるように、連れて行く大人のストレスが少しでも減るように、そして、居合わせる多くの方々が、ほんの少しでもおおらかな気持ちになれるように、と思い、大変僭越ながらご紹介させてください!

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そもそも、ちっさい子どもって 作品観ても わかんないでしょ?連れてくるのってちょっとどうなの?

なーんてこっそりと思ってらっしゃる、かつての子どもの皆さま。そんなことはありませんよ。

確かに美術史とか、作家が誰だとか、主題や技法は何か、みたいなことはわからないでしょう。というより知らないでしょう、学んでないから当然ですね。

知識がなくても、いや、知識よりも大切なことを、子どもは本当に自然にしています。

それは、しっかり「観る」こと人間ってつい、自分の観たいものだけを観て、観た"つもり"になってることが多いんです。できてるようで案外できてない。

でも子どもは、大人が思ってるよりずっと、いつも周囲のことをよーく観察し、誰に言われたでもなく、しっかり観て、いろいろなことを思ってます。

だから、一緒に連れて来てくれた人の様子や言動、感情は、子どもにしっかりはっきり伝わっているでしょう。
そして、その人が楽しんでいるようなら、子ども自身も安心して、楽しもうとするはずです。
(なので、 ネガティブな言動も伝わります、ご注意を)

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また、子どもの頃の自分がそうだったように、本当におぼろげにでも、"行って楽しかったなぁ・面白かったなぁ"って思った経験があれば、大人になってからも、なんとなーく展覧会へ出かけみよっかなぁ、なんて思って、気軽に足を運ぶ、かもしれないなぁ、と。(現にわたしがそうです。)


少々個人的な話ですが、わたしの家族は、特にアートや美術館・博物館が好き、という訳でも何でもなかったものの、本当にドライブがてら、あらゆるところへ連れて行ってくれました。おそらく親自身がだいぶ楽しんでいたんだと思います。

また、少し大きくなってからのことですが、こんな体験もしました。

このときの遠足では確か、登呂遺跡や、東海大学の博物館へも行ったような気がしますが、いちばん覚えているのが、ロダン館でした。

たぶん1時間も満たないような見学時間だったでしょう。でも、今でも鮮明に思い出します。本当に作品の美しさに驚いたし、とっても楽しかったんです。もちろん今でもロダンの彫刻、特に大理石の作品が好きです。
(今思うと、小・中学校の授業や行事でできる体験って、本当に幅広いし、もうちょっとちゃんとやっとけば良かったです・・・。)


ということで、美術館・博物館に出かけること、展覧会を観ることを、赤ちゃんや幼児のうちからでも、ぜひぜひ親しむ機会を作ってあげてほしいなぁ、と思います。

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とはいえ、お出かけ前に マナーという名のお約束を

「静かな場所だから、小さな声でお話ししようね。お家の中とは違うから、走らないし、あちこち触らないし、一緒に歩こうね。」

好奇心旺盛なのは非常に素晴らしいです。でもそれは時に、子どもへ危険が及んだり、貴重な作品や資料に取り返しのつかない事態を引き起こしかねません。

自由に歩き回りたい幼児を連れて行く際は、美術館・博物館でのお約束を丁寧に話してあげてくださいませ。聞き分けがない年代の子も、根気よくお話ししてみてください。

さて、お待たせしました。本題です。

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展覧会や美術館・博物館の選び方のコツ


(1)企画展・特別展 より コレクション展・常設展を選ぼう


実は、美術館・博物館で行われている「展覧会」には、ざっくり分けて2種類あります。

▼「企画展」「特別展」「巡回展」
展覧会、と聞いて皆さまがイメージするのは、おそらくこちらでしょう。

例えば今だと、上野のトーハクこと東京国立博物館の『特別展 ポンペイ』、国立科学博物館の『特別展 宝石』、渋谷Bunkamuraミュージアムの『ミロ展』もこちら。来週末から世田谷美術館ではじまる『ピーターラビット展』も、こちらです。ちなみにチケット代、そこそこしますよね。

▼「コレクション展」「常設展」
その美術館・博物館が所蔵している作品や資料の展示です。
上野のトーハクの本館や東洋館、国立科学博物館の日本館・宇宙館の主な展示はこちらですね。

また、企画展などを観に行くと、「このチケットで、こちらも無料でご覧になれます」なんて案内されるのもこの展示です。
「常設展」って単語だけを聞くと、いつ行っても同じ展示?と思われるかもしれませんが、おおむね季節やテーマに合わせて、定期的に展示替えをしています。 ちなみにチケット代は、ワンコイン以下ってことも多いです。

そして、なんとなくお気づきでしょうか、「コレクション展」の展示室は、平日昼間だと、なんなら休日も わりとだいたい空いています。なので、のびのび鑑賞できます。

ですので、赤ちゃんや幼児と一緒に、美術館・博物館へ行きたくなったら、まずは「企画展」ではなく、「コレクション展」に出かけてみてください。

余談ですが・・・
子どもをとりまく海外と日本の美術館の比較として、"海外では子どもが展示室に座り込んで、ゆっくり鑑賞しているのに、日本ではまだまだできない"という声を聞いたことありませんか?
これ海外の「企画展」の展示室でのこと、ではなく、「コレクション展」の展示室でのこと、でしょう。海外であっても「企画展」の展示室はたいてい混んでて、「コレクション展」は空いてます。
とはいえ、確かに海外のほうが、展示室内での行動に おおらか かもしれません。あくまでもわたし個人の体感ですが。

また、学校の遠足などで訪れるのも、おそらく「コレクション展」が中心でしょう。
ちなみに、中学生のわたしが友達とはしゃいだロダン館も、静岡県立美術館のコレクションの一部です。

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わたしは、定期的に通っているほど、好きな「コレクション展」がいくつかあります。

例えばこちら、MOMATコレクション。

日本で、世界で、ここでしか観られない、という作品や資料たちが並ぶコレクション展からは、それぞれの館の歴史や背景、まさに個性が伺えて楽しいのです。

え、「コレクション展」って チケット代がワンコイン以下って言うし、実際大したことないんじゃないの・・・?

なーんて思ってらっしゃいますか?
MOMATコレクションでは、いつもだいたい200点ほど展示されます。わたしはいつも2~3時間コースですw しかも高校生以下は無料。太っ腹がすぎます。ほんとみんなに観てほしい。


MOMATコレクションでは、いつ行っても、明治から近現代まで、約150年分の絵画、写真、版画、彫刻、工芸などなど幅広いジャンルの作品が鑑賞できます。
もしかすると企画展に行くより楽しいかもしれませんよ。その上、好きな作品や作家に出会える、なんてこともあるかもしれませんよ!

また、その作品に描かれた季節のときだけ展示される、といった風物詩のようなものも。今なら桜やお花見の様子、春の風景、もう終わってしまいましたが桃の節句にまつわるものなどもそうですね。


常設展・コレクション展が気になってきたー!観たーい!という方、ぜひほぼ日のコンテンツ『常設展へ行こう!』もお読みください。MOMATコレクション以外のさまざまな館の紹介も面白いですよ。

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(2)企画展に行きたいときは、なるべく会期の前半・平日に


コレクション展ではなく、どーしても観に行きたい企画展がある。けれど、諦めている、という方、大丈夫です!諦めないで!!!その代わり、戦略が大切です。

行きたい展覧会を発見したら、まずはできる限り、会期が始まって1週間後以降~折り返し前くらいまでの期間、つまり、比較的空いている期間に出かけましょう。

これは会期が1か月しかなくても、3か月あっても同じです。
どなたさまも展覧会はお早めに。これ、鉄則です。

ちなみに、会期スタート直後はなぜか混雑してることが多いので、スタートからだいたい1週間後、落ち着いてきた頃を見計らうのが良いかと。


裏を返せば、会期の折り返し後、特に終盤は、とっても残念ですが、潔く諦めることをお薦めします・・・(どうしても!という場合は、雨や雪の日のような、他の人が諦める天気の日を狙うのも手かも)

有名な作家の展覧会や、テレビ・雑誌で紹介されている展覧会ほど、日に日に激混みになります。なので、諦めることになってしまわないよう、ぜひお早めに情報収集を
ちなみにわたしは普段、アートアジェンダさんや、アートスケープさん、スフマートさんなどのアートメディアの展覧会情報ページや、Twitterで情報収集しています。

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そして、できればやはり、休日より平日が良いでしょう。
やっぱり空いていますし、実際、赤ちゃんや幼児を連れて鑑賞している方に遭遇することも多いです。
また、午前中より午後からいらっしゃる方も多い印象が。抱っこされたり、ベビーカーの中で すやすや眠るちびっ子を見かけると、優しい気持ちになります。

また、午後でも夕方のほう、閉館時間の1~2時間前、15時頃からも徐々に館内が空いてきます。わたしも仕事を早めに切り上げて出かけるってこともよくしています。

さらに空いてそうなタイミングを狙うとすれば・・・企画展のテーマから、どんな方が多く観に来ていそうかなぁ、と予想し、その方々が少なそうなタイミングに行ってみる、みたいな推理ゲーム的なことをしても楽しいかもしれませんw

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(3)みんな一緒なら大丈夫!!!連れて行っても気兼ねしないところ&タイミングに行く!

子ども連れじゃない方が少数派なところもありますし、老若男女みんなで楽しめるなら、それが一番✨

▼"子どもと一緒に楽しむ"が前提の美術館・博物館に行く

PLAY!MUSEUM(立川)

東京おもちゃ美術館(新宿区・四谷三丁目駅)

長谷川町子美術館・記念館(世田谷区・桜新町駅)

地下鉄博物館(江戸川区・葛西駅)


三鷹の森 ジブリ美術館(三鷹・吉祥寺)


▼とにかく広ーいところや、地元密着の施設、公園に併設されているところなどに行く

国立科学博物館(上野公園内)

東京国立博物館(上野公園内)

東京国立近代美術館(千代田区・竹橋駅)

東京都現代美術館(木場公園内)
スープストックが運営するファミリーレストラン「100本のスプーン」が入ってることでも有名。
レストランと館内の無料エリアを歩くだけでも面白いですよー。

世田谷美術館(砧公園内)


▼都内は諦めた!敢えての遠征だ!


千葉市美術館の「つくりかけラボ」(千葉市)
興味深い企画をいつも開催していて、わたしもよく出かけている美術館です。都内と比べると企画展もわりとゆったりと楽しめます。
なかでも「つくりかけラボ」では、さまざまな作家によるワークショップや、作家も鑑賞者もみんなで参加して作っていく、参加型の展覧会などが定期的に開催されています。

JR千葉駅からはちょっと離れているので、バスかタクシーの利用がおすすめ。あと、1Fのミュージアムショップは、書籍や雑貨を中心に、独自にセレクトされたアイテムが並んでいて楽しいですよ。

鉄道博物館(大宮市)

川崎市  藤子・F・不二雄ミュージアム(川崎市・登戸駅)

厳密にはミュージアムではないですが、やはり、ディズニーランド&ディズニーシーも加えさせてください。
建築、衣装、音楽、キャラクターデザイン、そして発せられるメッセージと物語の世界。素晴らしく細部まで作り込まれた空間は、そこで時間を過ごすだけでも、十分楽しいですよね。



▼上野・東京都美術館『託児サービス パパママデー』の活用も✨

有料・事前申込制ですが、東京都美術館に限らず、上野エリアの文化施設にいらっしゃる方に向けたサービスです。

東京都美術館では、上野公園内の文化施設にお越しの方にご利用いただける、託児サービスの日「パパママデー」を設定しております。専門のスタッフがお子様をお預かりいたします。安心してゆっくりと美術鑑賞や博物館めぐりを楽しんでみてはいかがでしょう。都美は、子育て中のパパやママをはじめ、子守り中のグランパ、グランマのお出かけを応援します。


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番外編
誰でもウェルカム!入場無料のミュージアムとパブリックアートめぐりも

そもそも、ちびっ子を連れて行って、なんだか肩身の狭い思いをしがちな展覧会って、その多くが有料ではありませんか?

美術館・博物館という場で体感することも大切ですが、街の中にも、実は無料で楽しめるミュージアムやスペースが、意外と点在しています。


インターメディアテク(丸の内・KITTE内)
東京大学総合研究博物館と日本郵便が協業運営している博物館です。
無料ですが、とっても見ごたえがあります。じっくり観ていたら2時間くらいはかかるかも?歴史を感じる内装の重厚感も素敵なスペースです。


東京都渋谷公園通りギャラリー
その名の通り、渋谷の公園通りにある、東京都が運営するギャラリーです。
そこまで広くはなく、老若男女どんな人にも気軽に足を運んでほしいというスペースで、いつでも誰でもふらっと入れます。

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これからの季節、お散歩にお薦めな 丸の内仲通り

おもいっきりオフィス街ですが、道沿いに彫刻やオブジェが点在してますし、建ち並ぶビルのウインドウは、どれも素敵。CADAN有楽町というギャラリーなどもあります。

しかも!ちょうど今、「ART WALK YURAKUCHO 2022」というイベントの会期中で、有楽町の辺りでは『有楽町ウィンドウギャラリー2022』なんて取り組みも開催中ですよ。


実はこのあたり、ちびっ子連れにも優しい街なんです。
丸ビル・新丸ビル、ブリックスクエア、その他のビルもおおむねバリアフリー化が進んでいて、東京駅や地下鉄各線からもアクセスしやすく、並木道の歩道も広めで歩きやすいです。

さらに、平日の11時から15時、土日祝日は11時から17時まで「アーバンテラス」として車が通らず、歩行者が車道を歩けたり、ベンチやテーブルが広げられたりします。
飲食店の選択肢も、レストランにコンビ二、スタバ、キッチンカーも出るなど幅広くて便利かと。


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まとめ

長々と読んでいただきありがとうございました!
ご紹介したコツはこちら。

展覧会や美術館・博物館の選び方のコツ
(1)企画展 より コレクション展・常設展を選ぼう
(2)企画展に行きたいときは、会期の前半・平日に
(3)いっそ連れて行ってもOKなところ&タイミングに行く!
  ▼"子どもと一緒に楽しむ"が前提の美術館・博物館へ
  ▼とにかく広ーいところや、地元密着の施設、公園に併設のところへ
  ▼都内は諦めた!敢えての遠征だ!
  ▼上野・東京都美術館『託児サービス パパママデー』の活用も✨

番外編
誰でもウェルカム!入場無料のミュージアムとパブリックアートめぐりも

皆さまが美術館・博物館へお出かけする際の、何かしらの参考になりましたら嬉しいです。

また、ここでご紹介した以外に、実際に出かけてみたら子どもと楽しめて良かった!お薦めしたい!というところをご存知でしたら、ぜひぜひコメント欄やSNSなどで教えていただけると嬉しいです。この記事に追記してご紹介いたします。

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