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🌲くしゃみをするスギの木【創作童話】


ボクはスギの木。花粉症のスギの木。

春が来て花粉症の時期になると、自分の花粉でくしゃみをする。

そんな、自分が大嫌い。



ある日、ハクション!ハクション!と大きな声でくしゃみをしていた。

そんなボクのところに、翼をケガした鳥さんがやってきたんだ。

「スギの木くん、その大きなくしゃみで私の事を助けてくれないかい?」

ボクは鳥さんの言っている意味がわからなかった。

どうしてボクのくしゃみで助けたられるの?

ボクはくしゃみで毎日毎日、嫌な思いをしてるのに……。

「私は翼をケガしてしまって、自力では飛べないんだよ」

「でも、キミのその大きなくしゃみで飛ばしてくれたら、その勢いで飛んでいけると思うんだ」

ボクのくしゃみで飛べるはずないよ……。

そう思ったけど、鳥さんがあまりにもお願いするから、ボクは鳥さん目がけて大きなくしゃみをしたんだ。

すると鳥さんは、くしゃみに飛ばされて高く飛び上がり、そのまま風に乗って舞い上がったんだ。

「スギの木くん、ありがとう」

鳥さんはお礼を言って、空のかなたへ飛んでいった。

ボクのくしゃみが鳥さんの役に立って、ちょっと嬉しかった。



今日も自分の黄色い花粉でハクション!ハクション!とくしゃみをしていると、画家さんがやってきたんだ。

画家さんは何か困った様子でボクにたずねてきたの。

「私は画家でね、今は夜空の絵を描いているんだけど、どうしてもこの夜空に合う星の色が見るからないんだよ」

どうしてそんなことをボクに聞くのか不思議に思った。

すると画家さんはこう言うんだ。

「近くの村の人に聞いたら、スギの木くんが星に合う色を持っているかもしれないと言うんだよ」

「キミの心当たりはないかな?」

ボクはそんなモノを持ってないよ……。

なんか画家さんのガッカリさせたみたいで悲しくなってきたんだ。

そのとき、強い風が吹いてボクの花粉がたくさん舞い上がったんだ。

ボクは自分の花粉でハクション!ハクション!とくしゃみをしたら、画家さんを吹き飛ばしてしまったの。

画家さんは飛ばされ、大切にしていた夜空の絵も飛ばされたんだ。

画家さんは慌てて、夜空の絵を見ると飛び上がって喜びだしたの。

ボクは何が起こったかわからなくて戸惑っていると、画家さんは喜びながらボクに近づいてくるんだ。

「キミの花粉で夜空の絵にキレイな星空が描けたよ!」

「キミの花粉はなんて素晴らしいんだ」

画家さんはそう言ってボクに感謝をしてくれたの。

ボクの花粉が画家さんの役に立って、なんか嬉しかった。



それから少したって、画家さんから手紙が来たんだ。

夜空の絵がコンテストで金賞を取ったんだって。

なんだかボクもすごく嬉しかった。

するとまもなくボクの所に人が集まり出したんだ。

夜空のキレイな星空が、ボクの花粉だって知った人たちが、ボクと記念写真を撮りたいんだって。


ボクは相変わらず、自分の花粉でくしゃみをするけど、ボクのくしゃみや花粉が誰かの助けになって、ボクは嬉しかった。

そしていつの間にか、嫌だった自分自身がスキになってたんだ。


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最後までお読み頂き、ありがとうございました💖

自分の短所は見方しだいで、長所にもなるよというテーマで書いてみました。🌟

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