1台のシルバーのセダンがとある村へと向っていた。
助手席には経験豊富な先輩刑事と、刑事課に入って間もない新米刑事が運転をしている。
時折くぐもった音で無線機から話し声が聞こえるが、まるで興味がないかのように現場へ急ぐ。

到着した時にはお昼を少し過ぎていたーーーー。
現場は数台のパトカーが止まっており、立入禁止の規制線が張られていて、二人の警察官が立っていた。
セダン車は数メートル手前で停車し、車から二人は外へ出た。
とても澄んだ空気に心地良さを感じながら辺りを見廻すと、蒼青とした緑の中に埋まっているかのように転々と家屋があった。
早足で現場の方へ歩いた二人は警察官に手帳を見せる。
「ご苦労さまです!」
姿勢正しく敬礼すると、規制線を持ち上げて二人を中へ迎え入れた。
現場の一人が、状況を説明する。
「害者は身元不明で性別は男性、歳はおそらく、30代後半。畑へ農作業をしにいこうとした老人男性が倒れている男性を見つけ110番したそうです」
「死因は?」
「それがなんとも…見ていただければ……」
被害者が横たわる現場へつき、その場でしゃがみ込む。
水色のゴム製の手袋を着用して手を合わせ、太陽に照らされたブルーシートをめくる。
遺体を見た印象は異様だった。
某タイヤのマスコットキャラクターのように全身、身体が腫れ上がっており、所々から膿が滴っていた。
そして、その腫れ上がった身体に茶色くふさふさした毛のようなものが皮膚から生えていた。
ーーーーが、人間でも毛の濃い男性はいるが、こんなに生えるものだろうか?
刑事が毛に触れようとすると。
「その毛には触らないでください!!」
大声を上げたのは現場の鑑識官であった。
「その毛、毒があるんです。詳しくは持ち帰って検証しないとわからないのですが、鑑識の一人がゴム手袋をした上からでも毛が刺さり、パンのように腫れてしまって、今病院ヘ運ばれました」
触れようとしていた手を素早く引っ込める。
すると、背後が騒がしい、何だと振り返ると幾人かの村人が叫んでいる。
「毛人様のタタリじゃー!!」
どこかで聞いたことのあるフレーズだなと思いながら視線を再び視線を遺体へ戻す。
一応念の為に、と後輩刑事が騒いでいる村人たちの方へと駆け寄って行った。
「外傷はこの毒を持った細い毛。それ以外には外傷がない」
なるべく得体の知れないその毛が無いところに触れて死体を観察する。
後輩刑事が戻ってきた。
「先輩、一応村の人達に話を聞いてきました」
「どうだった?」
「遺体の男性はこの村の住民ではないようです。何でも、その毛人様というこの村に住み着いている怪人に会いに来たらしいです」
「毛人様?」
「ええ、何でも全身が茶色の毛に覆われていて、顔にも認識できないほど毛が生えているらしくて、何か機嫌を損なうことをすると抱き着いて毛を擦り付け、その猛毒で相手を殺すようなんです。……ま、そんな人間、有りえないですけどね」
毛人様、なんともふざけた名前だ、俺にも少しくらい分けてくれと冗談混じりに思う。

ふと、草むらへ視線を動かすと直径28センチくらいで、だ円形に草が枯れていた。
よく見ると、足跡のようにも見える。
その円形状に枯れた部分が山の方へと続いている。
刑事はその足跡を辿って山の方へ歩みを進めた。

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