思いつき短編：テッペンタケタカ

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。　

テッペンタケタカーーーーーーー。

鳴き声がそういう感じで聞こえる鳥がいる。

この鳥の名はホトトギス。

全長：28cm

屋久島以北の山地の林に飛来。

北海道では南部のみで少ない。

ヒヨドリほどの大きさ。

腹のしま模様はカッコウより太く、少ない。

主にウグイスに托卵する。

飛びながらよく鳴き、夜も鳴く。

雄の声は「テッペンタケタカ」「特許許可局」などと聞きなしされる。

私の地域ではテッペンタケタカと読んでいる。

いつも夕暮れ時や朝方に鳴き声を聞く。

それがなんとも不気味なので、テッペンタケタカが鳴くとその日は何か、不吉なことが起きると言われている。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。

そして早朝にその声を聞いてしまった。

とはいえ、老輩の方々からの言い伝えなので嘘に決まっている。

朝の散歩をしていると朝から井戸端会議をしている老輩達はテッペンタケタカの声を聞いたことで持ちっきりだ。

今日は何か嫌なことが起きる。

どこも行かず、大人しくしていよう。

そんな内容のひそひそ話が聞こえる。

私は朝の挨拶をしたところ、急に話しかけられたからか、かなり驚いていた。

だが直ぐに、私の顔を見て安堵する。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。　

テッペンタケタカーーーーーーー。

また鳥の鳴き声がすると、それに誘われたように遠くで雷鳴が聞こえた。

私と老輩達は、朝から嵐がくると思った。

朝の散歩を早めに切り上げ、急いで家に戻る。

家に入って居間に座ると同時に、激しい雨音がする。

風も出てきた、会社の方へ今日は遅刻すると連絡を入れようとした時だーーーー。

パンッ、と乾いた音がした後に地鳴りのような雷の音がした。

余りにも大きかったので耳を塞ぐ。

家内もきゃー！！と悲鳴をあげていた。

今日は、仕事を休もう、そう判断した私は会社に状況を説明して有給を取らせてもらった。

テレビをつけて、地域のニュースチャンネルをかける。

整ったスーツを着て、テーブルから上半身を映されているアナウンサーが、私が住んでいる今の嵐に関しての情報を発信していた。

どうやら直ぐには収まりそうもない。

まるで私の地域にだけ台風がいるような状況だ。

子供にも今日は学校を休ませるように家内言った。

それが耳に入ったのか大きな声でやったー！！と叫んでいた。

そんな光景に苦笑しながらも、耳は現在の豪雨に関してのニュースに傾けていた。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。　

テッペンタケタカーーーーーーー。

何故か鳥の鳴き声が家の中で聞こえた。

老化のほうが騒がしい、行ってみるとそこには例の鳥がいた。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。

テッペンタケタカーーーーーーー。　

テッペンタケタカーーーーーーー。

ごめんなさい、外の様子を見ようと思ったら、入ってきたの。

家内は不安そうに言った。

私はその時、何か不吉な予感がしたので鳥を逃したあと直ぐに、家族を自家用車に乗せた。

車を２０分ほど走らせた所で隣町の個人経営の飲食店に入った。

今日はここで朝ごはんを食べよう、好きなものを頼みなさい、と私は言った。

子供は大喜びで朝からオムライスを頼んだ。

私と家内はコーヒーとトーストを頼む。

料理が運ばれるまで店内のテレビを見た、他局でも私の地域の豪雨について放送されていた。

ーーーーすると、速報が入る。

画面の上の方で黒縁の白い文字が私の自宅すぐ近くの川の氾濫を伝えていた。

ヘリコプターから上空の映像が映し出されていた。

茶色く濁った大量の水が、どんどん這って行くように浸水してくる。

山と山の間に村を囲うように川が流れているので頑丈な堤防はあるものの守りきれなかったようだ。

みるみるうちに水かさはまして、２階建ての家屋の１階の部分は濁流の中に飲み込まれた。

そして追い打ちをかけるようにまた速報が入った。

今度は、土石流が発生した。

もう、私の住んでいた地域は一瞬にして無に帰ってしまった。

少しでも逃げ遅れていたらと考えると顔が青ざめる。

家内は口に手をあて、愕然とテレビの中継に目を釘づけていた。

テッペンタケタカーーーーーーー。

他の客が店に入る時、テッペンタケタカの声を聞いたような気がした。

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今日もみなさまがいい日でありますように🥰

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