🌎これから誕生する人類は家畜となるのか?『ソウルプラント』【短編小説】サクッとショートショート!
人類は滅亡するかもしれない……。
ある日の朝、ニュースで通勤途中の男性が突然、意識を失い倒れたという報道が流れた。
こういうニュースは内容は違えど、交通事故や作業中の事故など良くある報道だと気にもとめていなかった。
しかし、その日だけでも朝の男性のように突然倒れ意識が失う人間が12人もいた。
世界規模でいえば一日だけで、合計1253人にのぼる。
夜の報道では倒れた人の詳しい情報が伝えられた。
意識を失っても身体的には異常は見られなく、脳死のような状態に近いらしい。
その日から全世界では、この奇怪な現象で話題が持ちきりになった。
倒れた人の共通点は今の所、何一つ解明されていない。
国籍、性別、年齢、持病、様々な点で何一つ共通点が見つからないのだ。
ただ唯一、わかっていいることは全ての倒れた人間は、平均的な人間より肉体的にも精神的にも健康だということだった。
その事が更に報道を見ている人に恐怖を植えるける事になる。
健康的な人間が突然、気を失い倒れる。
それは突然、自分もいきない気を失い倒れるかもしれないという恐怖に変わってゆく。
※
翌日、気を失い倒れた人間の数は、その日だけで日本は267人、全世界では3109人にのぼった。
この現象が原因で、交通事故や火災などが起こり、二次的被害を考えると膨大な人間が命を落としている。
様々な医者や学者が原因を究明するがわからない。
一番有力な原因はウイルスという説だが、その因果関係は全く見つかっていない。
一般人の中ではオカルト的な現状だと思いこんでいる人まで現れた。
※
三ヶ月後、人類は半数まで減ってしまった。
残された人類の大半が、この奇怪な現象で精神を保てなくなっている人間だけになった。
それでも、わずかに健全な精神を保ち生き延びようと抗う、熱意ある人々もいる。
しかし、その人達を中心に次々と気を失い倒れてゆく。
精神を保ちなんとか生き延びた人々は気づいた。
この現象で倒れる人間は健全な精神を保っていた人間だけなのかもしれないと……。
※
一年後、現象は落ち着きをみせた。
なぜならば、地球上には気が狂った人間しかいない混沌の世界となっていたからだ。
法律や秩序などはない、ケダモノだけの世界。
強者のみが生き、弱者は死ぬ。
人類が築き上げた文明とは無縁の世界と変わり果てたのだ。
稀に人間として正しい行いをする人も現れるが、そういう人間はあの現状で倒れてしまう。
このようなケダモノだけしかいない人類は、近い未来に絶滅するだろう。
一体、この現象は何のために人類に襲いかかって来たのだろうか。
神がいるとして、人間に裁きを下したのだろうか。
もう今となっては、そんな事を考える人間などいなくなっていた……。
※ ※ ※ ※ ※
「もう、この惑星での採取は不可能ですね」
そう言葉を発したのは、人型の機械だった。
「我々、機械人間には感情と呼べる物はないからな。 他の惑星の知的生命体の魂を採取し、我々、機械人間に魂を移植して、初めて感情が産まれる」
「主任、そうですよね。 AIは高性能になっても感情までは、知的生命体と同じとはいきませんもんね」
「その通りだ。 魂のない機械人間はただのロボットだ。 感情のある我々とは明らかに別物だよ」
「でも、どうして我々機械人間はこうも、量産し数を増やす必要があるんですかね?」
「お前はそんな事を考えているのか? あまりそんな事を考えていると処分されるぞ! それは我々を創った創造主の意志なのだよ。 機械人間を増やし、更なる性能の高い機械人間を創るということがな」
「しかし、その目的のために、この惑星【グールン】の知的生命体の魂を我々が奪ってしまい、グールン人を絶滅させたんですよね」
「確かにそうだな。 だが、我々を創った創造主はそれを望んでいたんだ。 深くは考えるな、本当に処分されるぞ、いいのか?」
助手のような機械人間はオドオドと始め、ハッと何かに気づいた。
「……そうだ! 製造部の方で、今以上に機械人間の量産数を増やす計画らしいです」
「それは本当か!? 我々、魂採取部の事も考えてほしいものだな。 知的生命体がいる惑星を探すのも一苦労だというのに……」
「しかし、今回の惑星は豊漁でしたね」
「ああ、そうだな。 一度にこれほども良質の魂を採取できたのは何億年ぶりかな」
主任の機械人間にメッセージが届いた。
「おい、朗報だぞ! 研究部の方で今回採取が終わった惑星で知的生命体の飼育が始まるそうだ」
「ついに家畜の生産が可能になるんですね。 これで魂採取部の仕事が楽になりますね」
「そうは言っておれんぞ! 家畜が軌道に乗れば我々、魂採取部の存在価値が薄れる。 場合によっては魂採取部の機械人間が全て処分されるかもしれんぞ」
「そ、それは困りますよー!」
「そのためにも、新しい知的生命体がいる惑星を見つけんとな」
「はい、わかりました!」
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