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唄 / 詩

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解離性同一性障害、多重人格者です。 紬さんウタさんによる言葉を綴っています。
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2020年7月の記事一覧

桃の花
かける頃

白羽の矢
君を撃つ

わらべ そぞろ集う中
錦の色濃く 衣羽織る

君が拐われていく

鬼子の俺

その細い首に手をかけ
俺の首を縄で吊った

泡沫の夢

キミにはいつものこと

さじ加減は角砂糖の数だけ溢す

わらうこと
なぐさむること

いとおしむこと
さらうこと

白紙の広場に色を垂らしては鮮やかに
にじむ水跡を詠み上げる

錦糸を蔦って撚り上げるは 紡ぎの唄

裾のあと 楔の穿ち
香の残り香 黒い爪

空描く言葉

積み上げたいしを足掛かりに 君は渡る

拙く 危うげに
儚く 朧気に

それでもそれが現の場にあるならば
そこがあが生きる場

夢の場に堕ちようと

もがき いきをし
かえろうと あがあれと

いしの場 崩れようと
また積み上げる

滑稽で うつろで
うろんで 幼稚で

ひとよと

拙い葦
零れ落ちる記憶

暗やみの中
対峙する

私を観る眼
しづかしづか

君の話をしようか

どれだけ手を伸ばしても
君と私は雑ざらない

君の持つ記憶が
私の手から離れたように

君の心も
私のものではなくなった

射抜く

君が静観している

私は君の働きに値するだろうか

蒼い空からふる雨の色は白灰

茂る翠をも染めゆく

遠雷 黄金に空気を染め

ひたりと時を留める

かえろうや かえろうや
地鳴りはついぞ、やっては来ぬ

あまねくこと 聴き漏らすまいと
天音くそら言 呟き漏らすまいと

その瞳を美しいと想う

この声も稲光りは拐う

薄紅色
桃の香

いろは歌
わらべの声

夏の空 君を見つけた

赤い眼の俺
神様は知らない

無垢な心
無邪気に笑う

君は知らない
君は知らない

俺がどれほど意地汚いか
こんなこと 知らなくていい

知らないまま ただ

ただ

俺が君に掬われたように

俺が君を救いたいと

海岸沿いを歩く
波打際にはまだ遠い

潮の香りが鼻腔を擽る
夏が来たことを知る

白波に誘われるように近づく
夕暮れ時 君の香りがした気がした

焦げるような想いも
今は凪

いつだったか君とした約束が
もう終わりなのだとわかった

じゃあまたねって

たぶん、明日も君は僕と会う

聴け 月下光
とどまること罷り成らん

紡げ 紡げ 紡げ

謳え このちの果てを
踊れ 瞬きの間に誇らしげに

刻め 刻め 刻め

はやる鼓動 秘する事もなし
きょうかい とかす事有るまじき

ただ潜めよ しづしづと
水泡 恐れざる

産声をあげ想い遂げよ 月下香

艶やかに彩る 君の瞳
儚くも瞬く その刹那と刹那

夢のような時間
ひとときも漏らさない

欠片と欠片 差し出しあって
幸せの余韻を手繰る

まるで繊細な糸を紡ぐように

果肉に護られた君を
刺ごと食べたいと言ったらどうだろう

咲き誇るのは 孔雀仙人掌

ずっと君は僕のもの

足もとを観やる
素足

天を仰ぐ
地表が遠い

沼地には蕀
砂地には硝子

歩けども 歩けども

右手には氷の杖
左手には諸刃の剣

溺れるように喘いでは 慟哭響くのみ

誰ぞ観てはいまいか
誰ぞ此処まで堕ちては来まいか

干上がった空気 飲み下すがごとく
ちの果てを只待つのみ

この身体で混じり逢う 君と私
この心は 解け合いながら

この身体で交じり合う 君と僕
この心が 溶け逢うことはなくて

真っ白な頭のなか
ぷかぷかうかぶ

連れ去るのは霞の向こう

このひとつの身体
いくつもの心が不粋で

誰もいない世界に
何処かに連れて行きたくなった

SLANG SLANG
呟くよ 君の名を

もう逢えないと解りたくない人がいて
あんたをおもちゃにした

からかって からかって
告白させて 突き放した

手を振り払って それでも
あんたが私の手を取っていたら、、

面倒くさい女

感情任せの嘘泣きも
本当の涙になったろうか

晴れた空からの どしゃ降りの雨
全身ずぶ濡れの どしゃ降りの雨

あの日の雨がなければ
私はなかずに済んだだろうか

曇り空 暗雲立ち込める
私は君と笑ったろうか

ひとりなく 空の広きこと
言の葉なく 雲の蒼きこと

あの日の雨宿りが 私を変えただろうか

見上げるばかりの空日

重なる手を 解いたのは誰だったのか
紡いだ時を 手離したのは誰だったのか

ふたり あの時のまま
結んだ手

去りては時にまみれ
現 夢の在り場のみ

重ねては還すものも無く
ふたり 寄り添いの場

さがす さがす

ここに在ること ただ其のみぞをしる

わたし舟と こうりょう