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SNS仲間と[理想の洗車ワックス]を製品化した話④Web3で「平等な意思決定」

 僕が1000人を超える仲間と[理想の洗車ワックス]を製品化した話の4回目です。

 3回目までは、洗車に嵌った僕が、よりよい洗車用品を求めて海外を含む情報を求め、SNSで裏アカウントを立ち上げて、賛同してくれる1000人ほどの仲間を得て、そのコミュニケーションのなかで「理想のものを探すのはもうやめて、みんなで作ってみようか」となったところまでを書きました。



まず抽象的な質問から投げてみた


 自分のビジネスにおいて、ぜひとも実現したかった、新しい小売業のモデルとなる「共創」(きょうそう)が、仲間たちとの趣味の世界で実現できるかもしれない――。

 そう期待しつつも、僕はもともと商社出身なので、モノ作りのプロセスそのものには明るくない。しかも、今回作ろうとしている洗車で使うワックスがどういう過程で作られているか、知る由もありません。

 そこではじめに、Twitter上で、仲間たちに向けて抽象的な質問から投げていきました。

 「どんなワックスが欲しいですか?」とあえて漠然と問えば、撥水、艶、の好みに始まり、「光沢がとにかく強いのがいい」「匂いが大切!」「黒のボディに特化したやつがほしい」など、予想以上に発言がバラバラで、収拾がつかなくなりました。


モノを作るときには、何から決めるのか?

 1カ月くらいそんな状態を続けながら考えたのは、こんなことでした。

①そもそも、「モノを作るときに決めなきゃいけないこと」は何だろう? 

②「何をどの順番で」決めていけばいんだろう?

 僕は大学でシステムを作ってきた経験もありましたので、ワックス作りのプロセスを学んで、そのプロセス分析をすればいいやと考えていました。

 では、そもそものプロセスは誰に聞けばいいのか

ワックス作りの流れを学んでプロセスを分析

 実は、ワックスメーカーの元社員が仲間になってくれたのです。「自分もぜひ一緒に作ってみたいから」と。

 ヒアリングし、「こういうことから決めていきます」という一通りの流れを教えてもらいました。

 その順番ごとに決めていくプロセスをSNS上でやればいいし、そのプロセスの中も、意見がちゃんと集約できるように、期間を限定しました。

 例えば「今月の1日~15日は、ワックスの色について話しましょう」、「決まったら、今月16日~31日までは、ワックスの香りについて話しましょう」、「翌月の1日~15日は、ワックスに撥水はどうあるべきかを考えましょう」。

 こんなふうに、仕様について求めるものを提示しました。

DAOを使った投票システムで意思決定

 近年話題になっているWeb 3の中に、DAO(ダオ)という、中央集権型でなく分散型の自律組織(コミュニティ)の仕組みがあります。有名なとこで言うと、山古志村のような過疎の村の運営をDAOで行っていたりもする

 僕もWeb 3の技術を使ったフリーソフトで投票するシステムを作り、最終的な意見を3つか4つに集約して、メンバーに最後投票してもらう形としました。

 例えば「色については赤と黄色と白と、緑という意見が出たけど、どの色がいいかを投票してください」という具合です。


「中立性」と「納得・合意」のプロセスが何より重要

 ここでのポイントは、僕はあくまで「まとめる役」であり、僕を含めて「全員を公平に扱う」ことです。

 洗車に詳しい人、発言回数の多い人の意見を通すのでなく、投票権をみんなに公平に付与し、投票によって決めていく

 プロセスをきちんと踏んで、全員それに納得し、次に進んでいきました。

 この投票という「中立性」と「納得・合意」というプロセスを必ず踏むことが、共創においては、本当に大切なことなんだ、ということ学んだことは、僕にとって、後々の財産ともなる貴重な体験でした。

SNS仲間と[理想の洗車ワックス]を製品化した話
①    愛せる洗車製品が見つからない理由
②    Twitterに仲間が集まってきた
③    1000人との「共創」開始
④    Web3で「平等な意思決定」
⑤    AI駆使、韓国企業に発注
⑥    まさかの仕事依頼
⑦  [共創]を通じての気づき-買い手主体のモノの買い方-


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