実はもうすでに本当の自分ではないのかも… 小説「燃え尽きた地図」安部公房 ★3,5
「失踪した男の調査を依頼された興信所員は、追跡を進めるうちに、手がかりとなるものを次々と失い、大都会という他人だけの砂漠の中で次第に自分を見失っていく。追う者が、追われる者となり……。」
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1967年「燃えつきた地図」安部公房
(解説ドナルド・キーン)
探偵が、ある失踪人を探す依頼を受けて、調査を始めるのだが、誰の話からも、特に際立った手掛かりを得られず、むしろ、話を聞けば聞くほどに混迷していくかのよう。
なんだかずっと煙に巻かれる感じで話は進んでいく。はっきりとした問題の糸口すら見えてこず、話が進めば進むほど、はっきりしないもやもやした空気間が世界を包んでいく。
読みながら、不思議と、探偵(ぼく)と同じような感覚を共有するかのように、なんとも不安定な世界の不安定な存在となり、奇妙な不安感を感じたり、感じなかったり笑。
最後のあたりは、幻覚・幻想のような世界観になっていて戸惑うけど、結局、探偵は暴行受けた後だから、それで記憶喪失になって、街をふらついてる感じだったのかな。
でもどうやら、探偵が自分の家だと思ってる場所が、探偵の家ではなく、失踪人の家の場所になっているようで、これをどう捉えればいいのか、困惑させられる。
探偵が失踪人と重なってしまう。探す人が探される人に。「追う者が、追われる者となり……。」探偵の世界と、失踪人の世界を隔てる壁が、不確かになり、一体化してしまったかのよう。
よくわからないけど、何かを追い求め過ぎると、自分を見失ってしまうかもしれない。その見失った自分はどこへ行ったのか?自分を失った殻の中には何が入るのか?実は、もうすでに本当の自分ではないのかもしれない…。
あとは、ちょっとした登場人物がけっこうクセ強めのキャラが多かった印象。ゴキブリ食うやつとか。中でも、田代君なんかは非常にヤバめ。まともかと思いきや、嘘ついて、自殺して。まあ誰にでも悩みはあるんだろうね。
「失踪」三部作↓
「砂の女」(1962)、「他人の顔」(1964)、「燃え尽きた地図」(1967)
今、「他人の顔」持ってないな~。
読みたいけどー…買うかー。
楽しかったです!(^_-)-☆
★\(^^)/☆
Jah よ! へるぷみ~ (T人T) ナムナム アーメン タスケテ・・ ☆彡(-人- ) 星に願いを・・・ らぶみーてんだー ♡♡♡ <3