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発達性協調運動障害は注意を向ける内容が重要


本日参考にした論文はこちら↓


雑誌名:Neuroscience Letters
Impact Factor: 3.197

※内容に個人の見解や解釈が含まれます。ご理解の上ご覧ください。



発達性協調運動障害の姿勢安定化


発達性協調運動障害の子供は、目の開閉に伴って姿勢の揺れが大きくなることがわかっており、

バランスを維持することが難しくなることが特徴の1つとしてわかっている。


さらに、

・握ること
・ボタンをかけること
・ジッパーを閉める
・ハサミを使う
・靴紐を結ぶ
・物体を操作する

などの、手先を使ったパフォーマンスが大幅に低いことも特徴として報告されている。


これまで、作業遂行中における注意力の集中について、多くの研究が行われてきた。


それらの研究によって、内部の注意点(自分の身体や動きに目を向けること)ではなく、


外部の注意点(物体や環境に対する動きの影響に目を向けること)を意識させると、様々な動作のパフォーマンスが大幅に向上することがわかってきた。


本研究では、DCD児と定型発達児に対して、注意課題として、

  1. 外部の注意点に向けて課題を行うこと

  2. 内部の注意点に向けて課題を行うこと

  3. 注意する指示を与えなかった


という、3つの条件で、運動パフォーマンスが変わるかどうかを検討している。



その結果、

内部の注意点に向けて課題を行った時や特に注意指示がない場合と比較して、

外部へ注意点を向けた時に対しては、ボールを保持する課題における静止時や動作時の姿勢が変化し、パフォーマンスは向上されることがわかった。


この変化の背景として、

外部への注意性を促すと、課題に関連する神経ネットワークの機能的な連結性が促進され、


課題の遂行に望ましい行動と、効果的に結びつくことが証明されている。


この観点から、本研究の課題をこなす(ボールを一定場所で保持する)ために、姿勢の安定性を強化しようとした反応が身体に生じたことは理にかなっていると言える。


反対に、内的な要因に目を向けると、


課題の目標から注意が逸れてしまい、神経処理の破綻につながり、それによって目標と行動の結合性が低下する可能性が考えられた。



そして、本研究の特徴的なこととして、「特に指示をしなかった場合」にある。


この時に、研究に参加した子どもたちの約80%は、「内的な要因に注意を向けていた」ことがわかった。


つまり、課題達成に対して、達成がしにくい機構を自ら選択していたと考えられ、


注意の指示が与えられない場合、自発的に「内部に目を向けてしまう可能性」が考えられた。


その結果、運動パフォーマンスに良い影響を与えなかった可能性があるとしている。


上記を分かりやすく、もう少し具体的な内容に落とす。


例えば、子どもに「ボタンをはめる」ように指示したとする。


その場合に、ボタンをはめるという目標(目的)に対して、

  1. ボタンを斜めにすると付けやすいから、そのようにすると良い(外的な標的)

  2. 指先を曲げて付けると良い(内的な標的)

  3. 何も指示をしない

上記のようにそれぞれ指示を変えた場合、


いわゆる外部に意識を向けたケースの方がボタンがつけやすいということである。


この時に、「指をもっと曲げて!」「指先でつけないと!」などのように、

身体内部に意識を向けるような声掛けをしてしまうと、

ボタンをつけるという望ましい結果を得ることができなくなる

というのが、DCDにおける特徴の1つと解釈して良いかもしれない。


さらに、この時に指示がなかった場合は、


自然と、「指を曲げることや指先でつけないと」と身体内部に意識を向けている子どもが8割というのが今回の結果であったと解釈できる。



まとめ


1. 発達性協調運動障害に対して、外部に意識を向けた介入や指示、課題を行うことで、その運動パフォーマンスや行動は良い結果になる場合が多い。

2. 身体内部に注意を向ける声掛けをすることで、そのパフォーマンスは達成されない場合が多くなり、また、指示をしないでいると、子供は身体内部に意識を向けてパフォーマンスを行う可能性がある。

3. 何か達成させたい運動や行動、生活動作がある場合、外部に意識を向ける指示や声掛けは達成できるための重要な要素かもしれない。


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