- 運営しているクリエイター
記事一覧
(音楽話)105: Don Henley “The Heart Of The Matter” (1990)
【赦すということ】
人生には、色々なことがあるものです。
その出来事ひとつひとつになんらかの意味や感情的な結論や教訓のようなものを全て求めていたら、それだけで人の生は右往左往し、疲れてしまう。ひとつの出来事をいつまでも引き摺っていては、それに縛られてその他の事が見えなくなってしまう。でも、かといって、過去を全て忘れ去ってしまうと、その経験を活かすことができず、同じ過ちを繰り返してしまうかもしれな
(音楽話)104: Sheena Easton “The Lover In Me” (1988)
【たまには何も考えずに】
10代の若造には、思春期的な視点と刺激、ビートの心地良さとリズムの決まり具合が音楽を聴く上でかなりのウェイトを占めていたのは、偽らざる事実だと思います。特に80年代、音楽の目まぐるしい変化は、エンターテインメントの持つ興奮と驚きを常に提供し続けていました。
Sheena Easton。てっきり米国人かと思っていましたが、英国・グラスゴー郊外出身。1959年生まれで、8
(音楽話)103: ユニコーン “Hello” (2022)
【KOE KIKOE RUKAI】
10代の頃には相当年上の老体という印象しかなかった年齢に到達すると、「あれ?こんなんだっけ?」と思うことが多々あります。だって、もっと達観し、若者を苦々しく思い、世界を嘆き、ただ枯れていくものだと思っていたから。
でも現実は、今でもふざけていますし、くだらない冗談を言っては周りを困らせていますし、定期的に勝手に闇落ちしては自閉しますし、将来を考えてコツコツとな
(音楽話)102: Laufey “Christmas Dreaming” (2023)
【小さな幸せ】
年齢を重ねば重ねるほど、年月はあっという間に過ぎていく。それは私たちが、生きることに慣れ、日々の驚きや初めての体験、小さな発見を失っていくからかもしれません。無関心というか、既視感あるものはそのまま流してしまい、そこから何も得ようとしていない。
私たちは、すべてを当たり前と思ってしまいがちではないかと。
Laufey、本名Laufey Lín Jónsdóttir。日本語的には
(音楽話)101: Sly & the Family Stone “I Want To Take You Higher” (1968)
【有言実行】
Sly & the Family Stone “I Want To Take You Higher” (1968)その時々の社会が色濃く反映され、形を変えてきた音楽。その一方で、いまだに「音楽は政治と無関係だ」「たかがミュージシャン風情が社会問題に首を突っ込むな」などと平然と口にする方をお見掛けします。
森羅万象すべての物事は、社会と無関係では存在し得ません。そして、社会を形づくる
(音楽話)100: Nina Simone “Feeling Good” (1965)
【最高】
Nina Simone “Feeling Good” (1965)失礼、とっくに取り上げていたと思っていました。ちょうどいい、「音楽話」キリの良い100回目はNina Simoneにしましょう。
彼女抜きでは私の音楽経歴は成立しません。出会いは高校時代。姉が買ってきたジャズのコンピレーション・シリーズに入っていた”I Love You Porgy”、”Don’t Smoke In Be
(音楽話)99: Depeche Mode “Walking In My Shoes” (2023)
【道程】
Depeche Mode “Walking In My Shoes” (2023)世界的には非常に有名で大成功しているのに、なぜか日本では認知・人気が低いケースが、時々見られます。それは昔から続いている傾向で、デジタルに地平が開かれた昨今の音楽業界であっても、今だに続いています。
例えば、Tom Petty and the Heartbreakers。70年代から続いたアメリカン・ロッ
(音楽話)98: 杏里 “Goodbye Boogie Dance” (1983)
【敬意】
杏里 “Goodbye Boogie Dance” (1983)「シティポップ・ブーム」というものを、その発祥の地・日本は今だに擦り続けています。「海外でブーム!」「日本が誇るべきサウンドが〜」とかいって。そのトレンドを焼き直して、現代のシンガーやミュージシャンがマネまでしている。
ハァ…海外での「シティポップ・ブーム」は、2,3年前にもう終わっているというのに。
確かに4,5年ほど
(音楽話)97: Prince “Strange Relationship” (1987)
【不思議】
Prince “Strange Relationship” (1987)
Prince。永遠の憧れ、ヒーロー、いつだってワクワクさせてくれて、いつだってドキドキさせてくれた人。屈折した「君を愛してる」と、屈折した「僕を愛してよ」を狂おしいくらい美しいメロディとリズムで奏でた人。
あれから7年。一報を聞いてその場で倒れ込んで泣いてしまった時から、私はまだあなたを追い続けている。
も
(音楽話)96: Adele “Fastlove” (2017)
【会いたいよ】
Adele “Fastlove” (2017)
Adele。生でライヴを観たい!と思わせてくれるシンガーのひとりです。ご存知の方も多いでしょうが、世界中が一度は聴いたことがあるであろう彼女の歌声は、その声質はもとより、表現力の巧みさ、力強さ、スケールの大きさなど、圧倒的な「声の力」を宿していて、もう別格ですよね。
1988年、英国・トッテナム生まれ。16歳でシンガーを志し、20
(音楽話)95: James “Tomorrow” (original in 1997)
【明日】James “Tomorrow” (original in 1997)
明日(tomorrow)という言葉があります。文字通り、明くる日。
とても強い言葉だと私は思います。なぜなら、日が明けることが前提だからです。
明日はやって来ることを、私たちはごく当然のように受け止めています。「今週の水曜は++して、金曜は◯◯があって、土曜日は〜」など。それって、明日以降が確実にやって来ることが大
(音楽話)94: Jessie Ware “Free Yourself” (2022)
肯定でも満足でもない「自己礼賛」
自己肯定は誰にとっても生きていく上で必要なもので、意識・無意識にかかわらず、誰もが切望するもの。長年抱えてきた自己承認欲・他者からの賛同欲求が大解放されたSNS時代では、もはや当たり前。でもそれは諸刃で、自己肯定すればするほど、それを全否定して罵詈雑言浴びせる要素も存在する。また、自己肯定の意味を曲解し、傲慢で他者のそれすら踏み潰していく御仁もいる。
私は若い
(音楽話)92: Mad Dogs and Englishmen “Honky Tonk Woman” (1970)
【ズルい】
Mad Dogs and Englishmen “Honky Tonk Woman” (1970)
(Joe Cocker)
英国は、定期的にソウルフルなシンガーってのが世に出てきます。古くはTom JonesやSteve Marriott、Steve Winwood、Rod Stewart…比較的最近ではLeona Lewis、Amy Winehouse…Adeleもソウルフルと