ちゃわんむし
2021年10月中旬。
私は仕事帰りに数年ぶりにばあさんの家に向かっていた。
17時に仕事が終わって18時にバスが出発。
バスで約3時間はかかるところにばあさんの家はある。
つまり、到着時刻はおおよそ21時である。
遡ること数時間前。
先生(彼女の事についてはキンプリちゃんの記事参照↓)に、
「今日ね、ばあさんの家に数年ぶりに用事で行くんだけど、よくシカとかクマとかキツネとか
出るから怯えてんだよねー」と話したら、
「クマに出逢ったら死ぬかもしれないですけど、シカなら骨折くらいで済みますよ!」と陽気に言われた。
バスに乗って約2時間45分後。
あと少しでばあさんの家の最寄りのバス停に着くであろうとゴミを捨てたり上着を着たりしようとした瞬間、急ブレーキがかかった。
プップププーッ!!!
と激しめにクラクションを鳴らしまくるバスの運転手。
少し立ち上がり様子を伺うと親子らしきシカが2頭おり、暗闇の中バスのヘッドライトに照らされていた。
(なんか神々しささえ感じるほどのドヤ顔がはっきりと照らし出されていた)
奴ら(シカ)は一瞬何かボケーっと考えたあとに
「やっべ!道路に出ちった!(てへぺろ)逃げろー!!!(てへぺろ)」とばかりに山の方向に走って行ったのが見えた。
(暗すぎて山は見えなかったけどw)
そう。
骨こそ折ることはなかったが先生が言ったことがまた少し本当になった瞬間だった。
(骨折まで本当になっていたら結構恨み案件になっていたであろうぞ。)
“あの人なんやねん!予知者か!”と心の中でぶつくさ言いながら、今か今かと降りる準備万端な私。
そして15分も経たずして降りる駅に到着した。
バスを降りる際に私より先に降りる人達が何かを運転手に渡している。
私はすっかり忘れていたが、あれは切符だ。
久々にばあさんの家に帰ったので運転手に切符を渡すなんてことをすっかり本当にすっかり忘れていて、なんならあの切符は私は予約票だと勘違いしてさっぱりどこに突っこんだかわからなくなっていた。
(どうして予約票と勘違いしたかというと、数日前から札幌駅に直接行って予約した際にもう貰っていたし、紙がデカかったので全く切符感というか乗車券感がなかったのだ。)
こうなったら運転手にも乗っているお客さんにもめちゃくちゃ謝り倒しながら切符らしくないデカい紙を必殺に探し、何個か持ってきた袋の一番底にあったのを3分後くらいにやっと見つけて最後の最後まで謝り倒してバスを後にした。
これはすべて奴ら(シカ)のせい。
(いや、お前の性格全て物語ってる結果これ)
額にかいた冷や汗を夜風で乾かす暇もなく、待たせていた予約済みタクシーに乗り込み家に向かった。
家に着いてからはばあさんが作ってくれた茶碗蒸しを食べたり、札幌から買っていったものを食べたり、そんでもってグータラしていたのだが(食べることしかほぼしてない)なんせ仕事終わりに向かったので眠たくてしょうがなく、さっさと寝床に就いた。
(ばあさんはもともと早寝の人なので、私が買ってきたお寿司をつまんでから私より先に布団に入っていた。)
寝室は居間と隣接しており、その間にはガラスの引き戸があるのだがそこを開けとけば寝室からテレビを見ながら寝ることができるようになっていた。
布団に入ってしばらくはテレビを見ていたのだが、目が本格的にウトウトしてきたのでテレビを消した。
その際に布団の中でまだ起きていたばあさんが、
「テレビ消すなら戸閉めなさい。開けてると寒いから。」と言ったので、閉めて目を瞑った。
シーンと静まり返る家。
しばらくしてから
ガリガリガリガリッ
という音が居間の方から聞こえてきた。
私は“あれ?うちの犬、なんか掘ってるな?”と寝ぼけて少し勘違いしたが、ここはばあさんの家だとふと気づき恐怖で目が少し冴えてきた。
(もちろん犬は札幌の我が家にいる。)
すると、もう寝ていると思っていたばあさんが
「なんだか物音するな。。ネズミかな。。」
とボソッ言い出した。
“え、無理なんですけど”
となった瞬間から目がバキバキになり結局スマホをいじりながら“ネズミがもう寝てくれますように”と願っていた。
音もしなくなり、目がバキバキになったのも束の間、やはり疲労が半端なくまたすぐにウトウトゾーンに突入し少し眠りに落ちた。
ガリガリガリガリッシャカシャカガリガリガリガリッ
また起こされた。
居間は居間でも先程より私との距離が近くなったように思う。
これはガラス戸を閉めてるとてヤバいのではないかと思い、
「ばあさん?ばあさん?音ヤバいて」
と話しかけたが今度こそズコーっと気持ちよくいびきをかいてばあさんは寝ていた。
“もう知らん!寝る!”
ネズミより眠気が勝った瞬間だった。
翌朝の早朝。
早起きのばあさんがまだ寝ている私に、
「いやぁ、もさ(私)、あんた持ってきた袋やられてるど」と言ってきた。
うっすら目を開けると
完全に私のエコバッグに穴が空いていたwww
このエコバッグは何個か持ってきた袋のひとつなのだが、この中にたくさんのお菓子を入れており、それをちょうどテレビの真下に置いていた。
そしてこの穴から奴ら(ネズミ)は、第2関門のジップロックを突き破り第3関門の小さな袋も突き破りとあるものを獲て去っていった。
それはミニ大福アソートのかミニかぼちゃ大福だった。
「え!ネズミ、大福食べていったんだけど!!!ネズミ肥えちゃったんじゃね?」
驚きすぎて、またもやネズミに起こされたのだった。
(二度あることは三度あるとはこのことを言うのだ。)
これは誰かに話したい!と思い、朝っぱらからサブウェイマップの面々(つまりいつメン(いつものメンバー)の事なのだけど“サブウェイマップ”の名についてはまたブログにて!)に速攻このエコバッグの穴画像と共にネズミ報告をした。
ネズミ報告をした瞬間にばあさんに、
「あんた、こんなこと恥ずかしいんだから誰かに言っちゃいけないよ。」(家がボロくてネズミが出るという事実が)と言われたが、
ばあさん、、、時既に遅し後の祭りや。。。
(そして今noteにもネタとして書かれてしまっているという事実。)
この日以来、食べ物は全て戸棚に片付けるように徹底したら全く音がしなくなった。
このあとは、ばあさんとの用事をこなしたり、手を繋ぎながら散歩したり、喧嘩したり、グータラしたり、ばあさんの失くし
た物を探したり(結局見つからず)、トイレに現れた巨大な虫をばあさんに退治してもらったり、喧嘩したり、道の駅でお土産話を買いに行ったり、ご飯食べに行ったりとなかなか濃い2日間を過ごした。
↑思い出を振り返ろうシリーズ①(田舎の猫)
↑思い出を振り返ろうシリーズ②(謎な白いうどん)
↑思い出を振り返ろうシリーズ③(田舎なのに無駄に拘ったソフトクリーム)
↑思い出を振り返ろうシリーズ④(不意に撮ったらEmotionalな感じになってしまった田舎の画)
そして帰る日。
母は私に
「もうばあさんは90歳にもなるんだから何でもやってきてあげてね」
と言われていたので、
「ばあさん、なんか他にやっていくことある?」
と聞くと“窓の網戸を外していって欲しい”ということだったのでやってあげることにした。
(田舎なのでわざわざ夏時期にだけ網戸をつけているらしく、寒くなると雪のことを考えて窓は閉めっぱなしになるのでそこらへんの住人は秋には外しているらしい。)
「おめぇ、外にまわれ」と言われたので外に出て窓のところにやってきた。
家の中にいるばあさんも窓の方に来た。
「これどうやって外すの?」
「ちょっと上に持ち上げたら外れるから」
と言われたので上に持ち上げてみようとしてもなかなか持ち上がらず、
「上がらないんだけど」
と言うと
「なんでさ、ちゃんと力入れてやれ」
とイラッとする一言を言われた。
しかし、本当に持ち上げられないのだ。
「上がらないんだって!」
とキレ気味に言うと
何かに気づいたばあさんは
「あっ、」
と言って網戸の端の上の方から順々に静かにガムテープを剥がしだした。(風に飛ばされないように留めていたらしい)
「おい、ばあさん。それはないんじゃないの?え?」
と思いっきりばあさんの前でおちょくった変顔をしてキレた。(30代のキレ方ではないw)
「いやぁ、腹立つねぇwけっけっけっw」と90歳のばあさんは笑っていたw
おい、笑ってないで謝れよ、ばあさん、、、w
昔からこういう喧嘩が絶えませんw
性格が合わない祖母と孫なのですw
ま、という事でやることはやって札幌に帰ってきた次第であります。
週明け。
会社に出社し、真っ先に先生に
「先生にちょっとオコなんですけど!シカちゃん2頭もバスの前に急に現れて急ブレーキだったんですけど!骨折れなかったけれどもさw
先生が私に言うことは現実になりやすい、まさに言霊感あるので今後は私に良いことしか言わないで頂きたいのよねー。“もさこうさんは良い人と結婚出来ますよ”とか“宝くじ当たりますよ”とか言ってもらえますぅ?」とゴリゴリに言っておいた。
(その時の先生の反応はもう全く覚えていないwww)
しかし昔から思っていたが、ばあさんの作る茶碗蒸しは秀逸よな。(行くたびに作ってくれる。)
味噌汁飲んで思ったけど、出汁がアホか!と思うほど美味いのよな。
(母も私もあの出汁は人生で取れずして終わると思う。)
あと何回、ばあさんの作った茶碗蒸しを食べれるのかなぁと心の中で茶碗蒸しに想いを馳せながらいつもの日常生活を送っているのである。
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