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在るまでの日々

59
これまで書いた中で好きな文章、 かつ読んで欲しいものをまとめました。
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2020年5月の記事一覧

そして夏よ、今年は颯爽と駆け抜けて何処か遠い場所で休んでおくれ。

そして夏よ、今年は颯爽と駆け抜けて何処か遠い場所で休んでおくれ。

縁側に桜の花びらが一つ、また一つ降り注いでくる。 
そこに珈琲と少しのピーナッツとアーモンドを添えて座り込む。今日はひさしぶりの雲のない立派な青空でぱりっとした空気と手をつないだ風が僕の肺に入り込み、すっかり季節は変わったなと二つに割れたピーナッツを口に含む。ちょっぴり塩がかかっていて美味しい。すかさずアーモンドを口に含み、珈琲を流し込む。

今日は暑い。縁側の向こう側に見える歩道にはおばあちゃん

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丁寧に畳んだ制服がくしゃくしゃになる時、私は私を保てるだろうか。

丁寧に畳んだ制服がくしゃくしゃになる時、私は私を保てるだろうか。

家の屋根に登って胸に溜まりまくったゴミを思いっきり地平線の向こう側の国まで飛ばしてやりたい、朝。まだ目が萎んで力が入らない。

服はヨレヨレ。今日は昨日には帰れないな。
学生服が部屋の扉の前でシワクチャのまま放り投げられていて、
しかも踏まれたような形跡がある。それは私の無意識が起こしたこと。そう割り切って生きていこう、今日はそういう適当に暮らしてみたい。とはいっても適当にも意味があって、ゾンビの

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私が私を手繰り寄れるまで、ありとあらゆる武器を使って生きるのです。

私が私を手繰り寄れるまで、ありとあらゆる武器を使って生きるのです。

私が私としての肉体のまま歩き続けれる保証も、これから幾千も拾うであろう石ころを磨き、そして真心と愛情の狭間で手を加えた産物を世の中に放つとき確かな光明を放ちながら人の胸の中でさえ、淡い壁を隔てたとしてもしっかりと心の目で見れるものを作れる自信が、私にはこれっぽっちもないのです。

その思いは恐らく生涯を通じて有り続けるであろう負の遺産なのだと思います。そして私には生きるテーマや目標もないのです。仮

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真夜中の光に、朝をみる。

夜は途方もなく長いのに、
夜が明けるとなると一瞬なのは何故なんだろう?
いつぞやの朝焼けに放った様々な言葉が巡りめぐって僕の胸で響き渡る。数ヵ月前に放った言葉で体がふらつくなんて笑えるけれど、そんな体験が出来る伏線を敷いておいて良かった。

もう一度。
僕にとって朝って美しいものじゃなかった?
遠くからの鉄道の音の旋律や街が徐々に明るく、それでいて鮮やかな彩りのもと呆気にとられた僕は自転車をこぎな

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