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親とのこと

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#母

寄り添い方の、模索。

寄り添い方の、模索。

高次脳機能障害を持つ義母は、言語化に不自由だ。
彼女はそれをもう10年以上悩んでいて、一時期は鬱っぽくなり何種類もの薬を飲んでいた。

あの時ほどではないけど、今も昔の自分と比較して必ず嘆く。75と言えば、障害の有無に関わらず不自由度が似たり寄ったりする年齢なのだけど。彼女は年を取らないのかもしれない。もはや憂鬱とは、義母のルーティンワークだとおもって眺めている。

元々ちゃんとしていた頃

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娘から母へ、ハンドクリームを。

娘から母へ、ハンドクリームを。

母が二泊でうちに来ていました。
仕事を辞めてから、軒並み家族も体調不良で春の寒暖差の影響をバシバシに受けていました。
その最中にはるばる静岡からやってきた母も、やはり不調なのでした。

東京に来て、田舎の車生活と年齢の影響で如何に母の足腰が弱っているかを、本人もわたしもよくよく知りました。

61の母はわたしの手を見て、綺麗な手だねと言いました。
それはわたしが二十歳の頃から、何度も聞いてきた

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エビチリと、おでんの日。

エビチリと、おでんの日。

10月 神無月。世は祭り一色。
金木犀薫る 祝福ぬくむ風が、町に響くお囃子や子どもの声を 高々と 広い空に届ける。

そんな日でも、わたしの母は 絶賛 鬱である。

どうにも心もとない乱降下する気圧のような心を、老いた細いからだに とどめ、いつだって泣き出せそうな声を、ふり絞っているのがわかる。

「おはよう」

「お母さんおはよう。お昼ご飯はたべた?」

電話の先では 狂った時計を読み違えていた

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Mother Mary comes to me

Mother Mary comes to me

2週間前に足の靭帯を少し切ってしまった。
否応もなく、足の痛みに甘んじて引きこもることになった。諏訪旅行の目論見は泡となって消えた。なんてつまらない連休の連続。
ところがこの2週間、一日置きに来客があり、毎日誰かからの連絡を貰い、引きこもりのようで社交的な生活を送ることになったのだ。

中でも友人のNちゃんとは、子ども同士が仲が良いからか、はたまた子どもとわたしの感覚が近いのか、急速に距離が近づい

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暗証番号 XXXX

暗証番号 XXXX

月と気圧の影響をもろに うけてしまう。

月の満ち欠けとともに わたしの体も水を孕む。
ただわたしのためだけの孕み子を 産み落とす。

毎月そうリセットを迎え、いまを占う。

古には鹿の骨を焼いて
その焼け跡から未来をのぞいたのだという。
わたしの経血と水は
月の見えない引力に 操作されているのだが、
その未来はだれが見せているのだろうか。

未来を 見せられる というよりも
未来に向けて

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