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「読書感想文」なんていらない。 →「小論文」を義務教育にしよう

「『読書感想文』って必要なくない?」という国語教師のツイートが話題になっています。

そのツイートを見たことで、数年前の朝日新聞の記事を思い出しました。

私が2006年に立ち上げた小学生限定の新人公募文学賞「12歳の文学賞」受賞者へのインタビューです。

(鈴木るりかさんのデビュー作はこちらです↓)

3年連続・大賞を受賞し、中学生作家として華々しくデビューした鈴木るりかさんですら、
読書感想文は苦手で「書き出しをみんなと同じにするよう直された」そうです。

下手したら、彼女ほどの逸材さえも、
読書感想文によって「私は文章が得意じゃないのかも」と思い込まされてたかもしれません。

15年ほど前に「12歳の文学賞」を立ち上げた時、
「作文教育に対するアンチテーゼ」・「読書感想文の被害者救済」
の役割も果たしたい、
という想いがあったことを改めて思い出しました。

■ロジカルな文章読解・構築能力は作文・読書感想文では身につかない

冒頭の記事内、「読書感想文は必要」派の意見で、以下のようなコメントがありました。

<『問題点を集約せよ』『それに対しどう思ったか』の能力は大変重要で、出来ない人間の相手は困難を極めます>

これは論点が違うと思います。

ロジカルに問題点を把握し、意見を構築する能力は、たしかに非常に重要です。

問題なのは、
作文教育や読書感想文では、この能力はほとんど身につかない、
ということです。

文章を大量に書かせることで、上記の能力が伸びる可能性はあるので、全く無駄とは言いません。
しかし、極めて効率が悪いので、教育制度としては無駄と言わざるえません。
(2020年7月16日・追記: 現在読んでいる本『武器としての「資本論」』に「教育の商品化」について記された項があります。その論考を踏まえた、上記についての考察をいつか書いておきたいと思っています)


他者の文章を論理的に把握し、自分の意見を他者に論理的に伝える、
そのような能力が鍛えられるのは作文でも読書感想文でもなく、
「小論文」です。


※作文と小論文の違いは、こちらの記事がわかりやすいです。


■小論文を義務教育に導入してほしい

私は小学生の頃から本屋にいるのが大好きで、
中学生の頃に編集者になりたいと思ったような人間です。
子どもの頃から文章を書くのは好きでした。

でも、高校時代に受験対策で小論文を国語教師から習い始めたとき、
目からウロコが落ちまくりました。

「一体、今まで書いていた文章はなんだったんだ?!」と。


読書感想文・作文教育で伸ばせる能力なんて、社会に出たら、謝罪文を書く時くらいにしか役立たないと思っています。

それも「心の中では謝ってない謝罪文」を書く時のみ、です。

(今の御時世、すごく必要なスキルじゃないか!と思う方もいるかもしれませんが。笑)


ロジカルに文章を構築し、他者に自分の意見を誤解なく伝える能力、
それを鍛えられるのは「小論文」です。

一刻も早く、義務教育から作文と読書感想文がなくなり、
小論文が導入されることを切に願います。


ちなみに、「読書感想文は必要か論争」の発端となるツイートをされた当のご本人はアカウントを削除してしまったようですね。
教師としては身バレを怖れたのでしょうか。

そういうところにも教育の問題点はあると思うのですが、
それはまた論点が異なるので別の機会にでも。


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