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#ミステリー
北山猛邦『人魚姫 探偵グリムの手稿』 少年アンデルセンが挑む人魚姫後日譚の謎
人間の王子を愛し、魔女の力で人間になったものの、想いは叶わず、儚く消えた人魚姫――誰もが知るアンデルセン童話「人魚姫」の後日譚として、人魚姫が愛した王子殺害事件の謎に少年時代のアンデルセン本人と人魚姫の姉、そしてグリム兄弟の末弟が挑む、奇想天外な物語です。
父を亡くし憂鬱な日々を送る中、父の形見の人形を落としてしまった少年・ハンス。偶然知り合った画家を名乗る黒衣の青年・ルートヴィッヒと共に、
森谷明子『千年の黙 異本源氏物語』 日本最大の物語作者の挑戦と勝利
<大河ドラマに便乗して本の紹介その1>
今なお数多くの人を魅了する『源氏物語』。その物語の存在そのものを題材とする作品も決して少なくはありませんが、本作はその中でもユニークなものの一つでしょう。何しろ本作は、作者たる紫式部を探偵役とした――それも、源氏物語そのものにまつわる謎を解き明かす――ミステリなのですから。
本作は、二人の主人公を――藤原香子、すなわち紫式部と、彼女に仕える女房の阿手木
羽生飛鳥『蝶として死す 平家物語推理抄』 生き残った男・平頼盛の探偵行
はじめに
平家の隆盛から源平の合戦、鎌倉幕府の成立と、激動の平安時代末期――平清盛の弟でありつつも一門では主流派とは異なる位置を占め、壇ノ浦以降も生き残った平頼盛を探偵役とした非常にユニークな時代ミステリ連作です。
平忠盛と池禅尼の間に生まれ、平清盛の異母弟でありつつも、出自という点では清盛よりも上の人物であった平頼盛。それが作用したか、あるいは後白河帝との距離の近さが災いしたか――頼盛
ジェイムズ・ラヴグローヴ『シャーロック・ホームズとサセックスの海魔』 邪神大決戦! ホームズ最後の挨拶
あのシャーロック・ホームズがクトゥルー神話の邪神と対決するクトゥルー・ケースブックの完結編であります。時は流れ、サセックスで隠退生活を送るホームズ。しかし突然の悲報に、彼は再び起つことになります。ドイツ人スパイの暗躍と、宿敵の再来と――死闘の末に、彼が選んだ道とは?
(以下、本作を含めたシリーズ全三作の内容に触れますのでご注意ください)
名探偵シャーロック・ホームズの生涯は、実はクトゥルー神