三田主水

小説から漫画、映像作品からゲームその他諸々、時代伝奇について何でも語る伝奇時代劇アジテ…

三田主水

小説から漫画、映像作品からゲームその他諸々、時代伝奇について何でも語る伝奇時代劇アジテーターです。文庫解説などお仕事もします。 主な文庫解説: 『一鬼夜行 鬼が笑う』(小松エメル)『暗夜鬼譚 春宵白梅花』(瀬川貴次)『渦中 辻番奮闘記』(上田秀人)『震雷の人』(千葉ともこ)

マガジン

  • よりぬき伝奇さん

    これまでこのnoteに掲載した記事のうち、特におすすめの作品に関するものについて、よりぬいています。

最近の記事

  • 固定された記事

自己紹介です

 三田主水(みた もんど)と申します。noteは少し前から触っていましたが、ちょっと本腰を入れてみたいと思い、振り返りも兼ねて自己紹介させていただきます。 プロフィール伝奇時代劇アジテーター、書評家  小説・漫画は言うに及ばず、ゲームからアニメ、古典芸能や演劇等々、時代伝奇に関することなら何でも語ります。これまで18年以上、書評を中心にしたブログ「時代伝奇夢中道 主水血笑録」を毎日更新してきました。というか今でも毎日更新しています。  また、文庫解説や書評も執筆いたしま

    • 和泉桂『陰陽師一行、平安京であやかし回収いたします』 おかしなトリオ、「山海経」に挑む

       陰陽師が親友とコンビを組んで事件を解決するというのは定番の設定ですが、本作は「陰陽師一行」とあるとおり(?)、その定番を超えたコンビ+1のトリオが活躍する物語。「山海経」から抜け出した唐渡りの化生を捕らえるため、商人の佐波、陰陽師の時行、検非違使の知道の三人が、平安京を駆け巡ります。  顔見知りの検非違使・藤原知道から頼まれ、唐から「山海経」なる巻物を取り寄せた佐波。しかし決して中を覗いてはならぬと言われたにもかかわらず、知道にそそのかされた佐波が巻物を開いてみれば、中か

      • 黒崎リク『呪禁師は陰陽師が嫌い 平安の都・妖異呪詛事件考』 世間知らず呪禁師と将来の大陰陽師が挑む怪事件

         今なお衰えを見せない人気の陰陽師ものの中でも、本作は少々変わり種――というよりも、正確には陰陽師ものではなく呪禁師もの。呪禁の技を操る外法師の青年・竜胆が、若き陰陽師・賀茂忠行に引っ張り回されて都を騒がす怪事件に挑むという、いささかユニークな物語です。  京の外れの化野でひっそりと暮らす青年・竜胆。腕は確かですが人付き合いが苦手の彼は、育ての親であり、数年前に姿を消した千種から伝えられた技で、人々を癒す薬師を営んでいます。  しかし、彼が師から伝えられたのは薬師の技だけで

        • 牧野礼『六四五年への過去わたり 平城の氷と飛鳥の炎』 美しきタイムスリップと、少女の確かな成長

           タイムスリップを題材とした歴史時代小説は少なくありませんが、本作はその中でも比較的珍しい、過去から過去へのタイムスリップを描いた作品です。日本書紀執筆のために奈良時代から飛鳥時代――乙巳の変の最中に飛ぶという危険な任務に挑む少女の成長を描く、極めてユニークで内容豊かな児童文学です。  平城京で姉の真桑と二人、身を寄せあって暮らす少女・沙々。しかし彼女の運命は、姉がその美貌に目を付けた貴人に突然攫われたことで、大きく変わることになります。  周囲から相手にされず、ただ一人で

        • 固定された記事

        自己紹介です

        • 和泉桂『陰陽師一行、平安京であやかし回収いたします』 おかしなトリオ、「山海経」に挑む

        • 黒崎リク『呪禁師は陰陽師が嫌い 平安の都・妖異呪詛事件考』 世間知らず呪禁師と将来の大陰陽師が挑む怪事件

        • 牧野礼『六四五年への過去わたり 平城の氷と飛鳥の炎』 美しきタイムスリップと、少女の確かな成長

        マガジン

        • よりぬき伝奇さん
          47本

        記事

          栗城祥子『平賀源内の猫』第1-2巻 少女と源内と猫を通じて描く史実の姿、人の姿

           様々な時代猫漫画が掲載されてきた「お江戸ねこぱんち」誌の中でも、史実との繋がりを巧みに物語に織り込んでいた数少ない作品を電子書籍でまとめたのが本書です。タイトルどおり平賀源内とその猫、そしてお手伝いの少女の二人と一匹を中心に展開する、ユニークな連作です。  生まれついての赤い髪が幼い頃からコンプレックスとなっていた少女・文緒。父を亡くし、義母から疎んじられた末に、彼女は江戸に出て住み込みである家の手伝いをすることとなるのですが――その相手こそ平賀源内でした。文緒は、源内、

          栗城祥子『平賀源内の猫』第1-2巻 少女と源内と猫を通じて描く史実の姿、人の姿

          永尾まる『猫絵十兵衛 御伽草紙』第24巻 旅路から江戸へ 「帰ってきた」十兵衛

           約一年ぶりの『猫絵十兵衛 御伽草紙』は、前々巻から続いてきた旅情編(?)がいよいよ完結――長らく江戸を離れていた十兵衛とニタが、いよいよ江戸に帰ってきます。旅先でも江戸でも変わらぬ人の、猫の、妖の姿が、二人を狂言回しに今日も描かれます。  ふらりと江戸を離れて越後、佐渡を訪れた猫絵師の十兵衛と猫又のニタ。のんびりと旅を続ける二人は、途中で猫絵に奮闘する若き殿様と知り合ったりと、行く先々で様々な人や猫に出会ってきました。  そしてこの巻の半ばまでは、二人が江戸に帰るまでの旅

          永尾まる『猫絵十兵衛 御伽草紙』第24巻 旅路から江戸へ 「帰ってきた」十兵衛

          八月納涼歌舞伎『狐花 葉不見冥府路行』 京極作品の歌舞伎化という点では満点の一作

           京極夏彦が描き下ろした新作歌舞伎、そして何より中禅寺秋彦の曽祖父にして、『了巷説百物語』でも活躍した中禅寺洲齋が登場するということでファンとしては見逃せない『狐花 葉不見冥府路行』を観劇して参りました。「この世に居るはずのない男」の起こす事件に、憑き物落としの男が挑みます。  作事奉行・上月監物の一人娘・雪乃が垣間見て以来心を奪われた美青年・萩之介。しかし雪乃付きの女中・お葉は、萩之介を見かけて以来寝付いてしまうのでした。  そして材木問屋の近江屋の娘・登紀、口入屋の辰巳

          八月納涼歌舞伎『狐花 葉不見冥府路行』 京極作品の歌舞伎化という点では満点の一作

          京極夏彦『数えずの井戸』 二重の意味で再構築された江戸怪談

           ついに刊行されたシリーズ完結編である『了巷説百物語』。しかしその冒頭のエピソード「於菊虫」は、過去のある出来事を巡り展開するものでした。そしてそれを描いたのが本作『数えずの井戸』――江戸時代の著名な怪談を、独自の視点から新たな物語として描いたシリーズの第三弾です。  番町に屋敷を構える旗本・青山家の家督を継いだ青山播磨。しかし彼は幼い頃から空虚な欠落感を常に抱え、その果てに何事にも無関心になった若者でした。  そんな彼のもとに、叔母が持ち込んで来た名門・大久保家の娘・吉

          京極夏彦『数えずの井戸』 二重の意味で再構築された江戸怪談

          犬飼六岐『火の神の砦』 若き日の愛洲移香斎と幻の刀

           日本の剣術の三つの源流の一つである陰流の流祖・愛洲久忠は、しかし伝説的な存在であるためか、フィクションで取り上げられる機会は少ない人物です。本作はその久忠を主人公に、彼が若き日に出会った奇妙なある里での出来事を描く、なかなかユニークな物語です。  室町幕府の威光も衰え、世情騒然とした戦国時代初期、剣術修行の旅の途中に出雲を訪れた愛洲久忠。ある理由で出雲各地の市を巡っていた彼は、国境の市で刀を売っていた一人の女を見つけます。  土地の役人に絡まれたその女を、山中又四郎と名乗

          犬飼六岐『火の神の砦』 若き日の愛洲移香斎と幻の刀

          『火の神の砦』(犬飼六岐 文藝春秋)は、若き日の愛洲移香斎という珍しい主人公による名刀奇譚である一方で、人が人らしく生きるための共同体が、それ故に因習村めいたものになっていく人の世の皮肉を描いた作品として楽しめました。結末は賛否分かれると思いますが、あれ以上の描き方は難しいかと

          『火の神の砦』(犬飼六岐 文藝春秋)は、若き日の愛洲移香斎という珍しい主人公による名刀奇譚である一方で、人が人らしく生きるための共同体が、それ故に因習村めいたものになっていく人の世の皮肉を描いた作品として楽しめました。結末は賛否分かれると思いますが、あれ以上の描き方は難しいかと

          仁木英之『モノノ怪 執』 時代小説の文法で描かれた『モノノ怪』

           2022年はアニメ『モノノ怪』15周年ということで様々な動きがありました。それは2年後の現在(2024年夏)公開中の『劇場版 モノノ怪 唐傘』に結実しているわけですが、この15周年時の大きな収穫が、スピンオフ小説『モノノ怪 執』であったことは間違いありません。  全六話が収録されたこの小説版を担当したのは、なんと歴史・時代小説でも活躍する仁木英之――実力派であると同時にマニア精神をよく知る作者だけに、満足度の高い一冊となっています。 はじめに  2006年、オムニバス『

          仁木英之『モノノ怪 執』 時代小説の文法で描かれた『モノノ怪』

          杉村麦太『キリエ 吸血聖女』 西部を行く吸血少女ガンマンを待っていたもの

           それほど数が多くない和製伝奇ウェスタンの中でも、本作はかなりエッジの効いた作品ではないかと思います。狂血病なる伝染病により、吸血鬼化した人々が存在するアメリカ西部を舞台に、吸血鬼と人間の混血の少女・キリエが死闘を繰り広げるガンアクションであります。  1870年――アメリカでは感染者が吸血衝動に駆られ、やがて理性を失う狂血病が流行、吸血鬼と化した者は周囲から迫害の対象となり、対吸血鬼機関・防疫修道会により処刑される運命にありました。  そんな中、西部の街に現れた、黒衣の少

          杉村麦太『キリエ 吸血聖女』 西部を行く吸血少女ガンマンを待っていたもの

          久保田香里『きつねの橋 巻の二 うたう鬼』 少年たちと平安の奇妙な「鬼」

           地方から出てきた少年武士・貞道と神通力を持つ白狐・葉月の不思議な交流を描く平安ファンタジー『きつねの橋』の続編です。貞道たちの仕える源頼光のもとにやってきた新入り・渡辺綱。それをきっかけに、親友の季武に憑いた奇妙な鬼を巡る騒動が始まります。  化け狐の葉月や大盗賊・袴垂を巡る騒動も一段落し、平和な日々を送る貞道。しかしそこに新入りの郎党・渡辺綱は、さっそく手柄を立てた上、弓を得意とする季武との勝負で彼を打ち負かしてしまいます。  落ち込む季武を紅葉狩りに連れ出す、貞道と二

          久保田香里『きつねの橋 巻の二 うたう鬼』 少年たちと平安の奇妙な「鬼」

          久保田香里『きつねの橋』 少年武士が渡った橋の向こう側

           これまで古代・奈良・平安といった時代を舞台とした児童文学を発表してきた作者の作品は、いずれも個性的で内容豊かなものが並びますが、少年武士と、白狐の不思議な交流理由を描く本作も例外ではありません。  元服して、都で源頼光の郎党となった少年武士・平貞通。橋で女性に化けて人をからかう狐が出ると聞いた彼は、橋に出かけてその狐・葉月を、一度は捕らえたものの、放してやるのでした。  それをきっかけに、葉月とお互いに何事かあった時は助けると約束した貞通。そして都を荒らし回る盗賊・袴垂に

          久保田香里『きつねの橋』 少年武士が渡った橋の向こう側

          ここしばらく、Bigme B751Cで電書を大量にDLして書庫状態にして使っていたのですが、ここにきて泥タブのkindleアプリの最大の弱点である、microSDのDL済ライブラリデータ消失が発生。DLし直せばいいとはいえ、やっぱり残念……

          ここしばらく、Bigme B751Cで電書を大量にDLして書庫状態にして使っていたのですが、ここにきて泥タブのkindleアプリの最大の弱点である、microSDのDL済ライブラリデータ消失が発生。DLし直せばいいとはいえ、やっぱり残念……

          中古美品で買った電子辞書ブレインPW-A7200、重宝していたのですが、何と下の液晶が全く映らなくなるという症状が発生。まず治らないと思いますが、それ以外は大丈夫なので、キー入力で普通に使っています(元々手書き入力は使っていなかったし……)

          中古美品で買った電子辞書ブレインPW-A7200、重宝していたのですが、何と下の液晶が全く映らなくなるという症状が発生。まず治らないと思いますが、それ以外は大丈夫なので、キー入力で普通に使っています(元々手書き入力は使っていなかったし……)