『屋上のウインドノーツ』 額賀澪 作 #読書 #感想
「ウインドノーツ」は「風の音」という意味だそうで。
吹奏楽部の青春小説。綺麗事だけが書かれているわけでもなく、目を背けたくなるようなことにも真剣に向き合おうとする人たちの姿が描かれている。
多分高校生の頃に読んでいたら、もっと素直に受け取れたんじゃないかな?と思うくらい、眩しすぎる青春小説だった。
額賀さんの吹奏楽に関する小説だったら、『風に恋う』の方が好みかな〜といったところだ。
そんなふうに自分のことを思っていた、「変わりたい」と思っていた主人公と、過去をどこかで引きずったまま 同じ失敗を繰り返したくない….と臆病になっていた吹奏楽部部長との出会い。
2人がお互いに感化されて、笑ったり泣いたり怒ったりという感情を素直にぶつけ合っている様を見ると、あまりにキラキラしすぎていて少しだけ目を背けたくなった。
この小説で最も印象に残っている一文がこれである。
少し物悲しい一文だなと思ってしまうのだが、、、確かに悪い方に捉えると、この考え方は決して間違っていないな、、と思ってしまう。
この子は私がいないとダメなんだ….って思うような存在って、ある意味自分の承認欲求を満たしてくれるような存在だよね。
自分の良くない気持ちに支配されそうで、怖いなと感じてしまった。
吹奏楽部では金賞でも次の大会に行けない「ダメ金」と呼ばれるものがあって、他の部活とはまた違った厳しさや悔しさがあるんだろうなと想像する。
だって運動部よりも長時間練習しているイメージなんだもん。
人生を全部注いでもいいと思えるくらい頑張ることができる何かに出会えた2人は、たとえ結果がどうであれ 悔しいという気持ち含め価値ある時間を過ごせていた…..そんなふうに捉えて、これをそっと閉じたい。