拝啓 けむくじゃら

お元気ですか?

今は真夜中、窓の外はザバザバ雨が降っています。
今日は久しぶりにワインを飲んで酔っ払ったので、あなたに手紙を書いてみることにしました。

ちゃんとごはんを食べていますか?
野菜をとっていますか?
元気に働いていますか?
新しい彼女はできましたか?
いつも、この世のどこかで、あなたが彼女とイチャイチャしながら楽しく生きていることを願っています。

あ、「怖い」って言わないでくださいね。
深読みもしないでください。
本当にそう思っているし、そのまんまの意味しかないので。


私は最近とても眠いですが、元気にやっています。
「24歳過ぎたら女の価値は右肩下がり」だとか、ハラスメントめいたことを言われながら、それでもニコニコ笑って頑張っています。

社会とは大概そういうものなのでしょうか。
鈍感な人のかたまりの中でさりげない一言に傷ついたりするのは愚かでしょうか。

そんなことはさておき、最近、土曜日にはたまにデートをします。
鈍感なかたまりの一部を構成する人と。

デートをするたび、その人のことではなく、私自身のことを深く知ります。
「私って、こういうこと言われるとひいちゃうんだな」とか。
それはそれは冷静に。
果たしてこの末に恋が生まれるのかは甚だ疑問ですが。

「こういう時、こうしてほしいのにな」とか「こう言ってほしいのにな」と思ってしまうのは、わがままでしょうか。
わがままですよね。
大体、気づいてほしかったらちゃんと言わないとわからないですよね。

そんな時、あなたは偉大であったと思い知ります。
「あ」と言えば、「うん」と言ってくれるかと思いきや、「えん」と言われて、「あぁ、亜鉛か」と気づくような。
そういう斜め上のエンターテイメント性がすばらしかったです。

とはいえ、別にあなたが芸人なみのセンスを持っているとか、そういうことではなく、絶妙に波長が合う人というのはいくらでもいそうで意外といないんだという当然の帰結のようにも思えます。


雨がなかなかやみません。
このまま朝までやまないのでしょうか。

雨の音を聞きながら、カーテンを閉め切って眠るのは意外と好きです。
そういえば、最近、韓国人の知り合いに「雨は嫌いですか?」と聞かれて、「いいえ、好きです」と答えたら、「私も好きです。雨は埃やチリなどの汚いものを洗い流してくれますから」と言われて、美しい答えだなと感動しました。

埃やチリと一緒にもっといろいろなものを洗い流してくれればいいのにね。
もっと汚い、いろいろなものを。


こういう世の中になって、一人の時間が増えて、ついついいろいろなことを考えちゃいませんか?
大事なことから、余計なことまで。
今日の夕飯から、答えの出ないことまで。
もういっそ占いにでも行こうかと思うくらい、煮詰まったりもします。

でも、私は占いには行きません。
前に言ったかもしれませんが、私は占いとか、神様とか、幽霊とか、この世のあらゆるものを信じていません。

でも、昔、友達に連れられて一度だけ占いに行ったことがあります。
テレビでも紹介されたことのある有名な占い師だったらしいのですが、恋愛を占ってもらったら散々なことを言われました。
当時、結構好きだった人のことを占ってもらったので、とてもモヤモヤしました。
そして、「占うんじゃなかった」と思いました。

だって、占わなければニュートラルに判断できていたものが、占ってしまったことによって「この人はやめておいた方がいいんだ」とか「この人は運命の人じゃないんだ」とか余計な先入観に支配されてしまって、もう100%純粋な気持ちで恋愛を楽しむことができなくなってしまったから。

そんなのって、本来は自分で決めるべきことじゃないですか。
その人が運命の人かどうかなんて、占い師じゃなくて自分で判断すべきことじゃないですか。

それ以来、占いには行っていません。
でも、最近、一人で将来のことを考えすぎると、ついいっそ占いに逃げてしまいたい気持ちになります。


まるで、高三の夏に残された白紙の進路希望調査のようです。
真っ白なブランクがいくつも空いているような。
そんな気持ちにたまになります。時々。

他人の情報はググれば出てくるのに、自分のことはネットにないんですよね。
不便な世の中です。

そのブランクに「仕事」とか「結婚」とか埋めることが正解なのか、それが幸せということなのか、正直よくわかりません。
「どうかそれだけではありませんように」と願ってみても、実際、何十年も経った後に振り返ってみたら、やっぱりそれだけのような気もします。

でも、それで幸せだったらそれでいいような気もします。

今思い出したのですが、あなたといたとき、どういうわけか私の前にブランクはありませんでした。

どういうわけか。

幸せとは、もしかしたらブランクの存在自体を忘れることなのかもしれません。


そんな思春期みたいなことを私が考えている今も、あなたはあほみたいな顔して眠っているでしょうか。
それとも、あほみたいな顔はしていないでしょうか。

いいんです、別に寝ていてくれて。
あなたには何も答えを求めていないし、アドバイスも共感もいりません。
ただ、雨音を聞くように聞き流してくれればよいのです。

あなたが眠るベッドが温かいベッドであればいいなと思うし、楽しい夢を見ていればいいなとも思います。

そして、あわよくば、この手紙が亜鉛のヘルツに乗って、眠るあなたの左耳に届けばいいなと思います。


今夜は宇多田ヒカルを聴きながら眠ろうと思います。


おやすみなさい。



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