マガジンのカバー画像

ロンボク島民号

12
ロンボク島の人々との出来事を中心に、彼らの考え方や風習などから学んだことなどを書いています。
運営しているクリエイター

記事一覧

歯医者と漬物石

歯医者と漬物石

2週間前、歯医者でお腹の上に漬物石を置かれた。

発端はこうだ。

朝5時ごろ、早朝から書き物の仕事をしていた私は、小腹が空いたのでゴソゴソと台所のお菓子ボックスをあさった。前日に夫が買ってくれたらしいピーナッツ・チョコバーが家族の人数分ある。ラッキー。これ食べよう。

チョコバーを片手にああでもないこうでもないと仕事を続けていると、脳天が突き抜けるような痛みが走った。
「いっつーーーー」
稲妻の

もっとみる
薬物依存とつながり

薬物依存とつながり

コーチング・セッションが終わった。
台所へ行き、プラスチックの円柱状のタッパを2つ開ける。スプーンで中に入っている極細挽きのカカオコーヒーと砂糖をカップへ掬い入れ、お湯を注ぐ。ぐるぐるっとスプーンでかき混ぜて、はいロンボクコーヒーのできあがり。

ふぅぅぅ、香りが沁みるなぁ。お疲れ、私。

守秘義務があるのであまり細かいことは話せないが、今日のコーチング・セッションの主題は近親者の薬物依存だった。

もっとみる
リド君の5,000ルピア

リド君の5,000ルピア

数週間前。
娘の改名手続きが終わったので、小学校へ報告へ行ったときのこと。

学校移転時に植えた樹々が私の背丈を超えて、濃い緑の葉をつけていた。
少しかがんで一本の木の下をとおると、職員室のある校舎の前だ。
休み時間なのか、教室の前にも職員室の前にも児童たちがいて、ザワザワとほどよく騒がしかった。

校舎前のテラスで、近所の市場の裏に住むリド君(仮名)が「おばちゃーん」と高い声で駆け寄ってきた。

もっとみる
バリ島在住の甥、朝3時から働いてるんだってよ

バリ島在住の甥、朝3時から働いてるんだってよ

領事館に用があってバリ島へ行くことになった。
領事館のあるデンパサール市内には、義理の甥が住んでいる。

甥はロンボク島出身、30才。
地元の高校を卒業後、しばらくロンボク島のホテルで働き、隣の島・バリ島のヴィラへ転職。通算10年以上、宿泊業界で働いた。

だがコロナ禍の去年2月に会ったときは、甥は宿泊業の仕事に見切りをつけて複数の単発仕事をかけもちしていた。ウェブサイト作成やらCMの英語ナレーシ

もっとみる

結婚式に行かなかったのに料理を振舞われて学んだこと

昨日の夕方、「こんにちは~」と女性の声がした。

「はーい」と門へ向かうと、義兄2号の元嫁さんの親戚がいた。

元嫁さんに何かあったのかと身構えていたら、身内に結婚したので料理を持ってきたとのことだった。

こちらでは、結婚式に参加できなかった場合でも、近くに住む身内や関係者であれば料理が振舞われる。

しかし、私は焦った。

結婚式に参加できなかったどころではなく、結婚式があったことさえ知らされ

もっとみる

インドネシア語で「お疲れ様」は?

29日、インドネシア・西ヌサトゥンガラ州の日本人会の年末恒例もちつき大会があった。

私は餅つきのお餅の返し手係だった(写真、山吹色のヒジャブを被っている)。餅つきが終わった後、つき手を担った旦那衆3人(3人ともロンボク島の人)に「お疲れ様でした~」などと声をかけた。

この3人の方々は日本で働いた経験があったため理解してくださったが、そういえば、私はいつも夫にインドネシア語で「お疲れ様」と言いた

もっとみる

昼下がりの訪問者

娘と遊びながらごろりと昼寝をしはじめたころ、「アッサラームアライクム(こんにちは)」と庭から声がした。

知らない声だったので、誰だろ?と窓からチラ見。

一目でイスラム教の何かだという格好をしている男性が二人ともう一人ヒジャブをかぶった女性がみえた。

(あ、これはダメ)

咄嗟にそう判断して、昼寝のふりをして返事をしなかった。

彼らはイスラーム系の学校や福祉施設などからコーランなどを販売しに

もっとみる

ナイラちゃんの泣き声

インドネシアでは、朝と夕方の一日二回、マンディ(沐浴。水を柄杓ですくって体にかけること)をするのが一般的である。子どもたちも、赤ちゃんのときから一日二回がお風呂タイムだ。

お向かいのナイラちゃん(もうすぐ2歳)は、今朝のマンディの時間に大泣きした。

あまりに大きな声で長い間泣いているもんだから、一体どうしたのかしらと心配になって見に行った。

ナイラちゃんは、庭の日の当たるところにタライを置い

もっとみる

妖精の恩返し

今日、我が家ではブドウ棚の手入れをした。
枝を剪定し、葉を全部刈り取ったのだ。

今から、手入れをした理由を書きたい。
大きく二つある。

一つ目は、ブドウの生育をよくするためだ。

私はブドウの栽培を経験したことがないので詳しいことは知らないのだが、こちらでは葉が生い茂ると一度全部刈り取るのが普通らしい。
そうしないと、ブドウの実のつきが悪くなるんだとか。

もう一つが今日のメイン。

ブドウ棚

もっとみる
ジャックフルーツと恥じらい

ジャックフルーツと恥じらい

数日前の朝、夫の友人で観光客のドライバーとして仕事をしているアグスがフラッと我が家へやってきた。

「ちょっと待ってね、夫は今シャワー浴びてるの」

夫に用事があるんだろうとそう声をかけると、彼は「ちがうちがう」と笑って、大きな袋を差し出した。サンタクロースが手にしている白い袋ほどの大きさだ。

「庭でとれたんだ、みんなで食べてよ」

袋を開けると大きなジャックフルーツが入っていた。
わ~、立派な

もっとみる

夫の兄弟たちを自慢する!w

「アッサラームアライクム(こんにちは~)」

挨拶をすると、義兄弟がそろって返事をしてくれた。

「わ~、いっぱい来てるねぇ!」

今日は長兄の住んでいる村のマウリッド。
マウリッドとはイスラム教の預言者ムハンマドの生誕祭のこと。

本来は生誕祭は誕生日だけ行われるのだが、私の住んでいるロンボク島では生誕月の一か月間、あちこちの村で日替わりでお祝いをする。
A村は1日、B村は2日、C村は3日…とい

もっとみる

甥の誕生日会で見知らぬ人にあって感動したこと

今日は、夫の異母兄弟であるジョー姉さんの子ども・Gの4歳の誕生日。
娘とともに、夕方から開催された誕生日会へ行ってきた。

「わ、遅れちゃった!」と慌て気味に行くと、何人かが準備をしていた。
そうだ、この島はこのペースでいいんだった。
もう何年もこの島に住んでいるのに、いまだ時間厳守で行動してしまう。
のんびりゆったりでOKなのだ。

せっかくなので、準備を手伝うことにした。
ほかの姉さんたちがこ

もっとみる