YOSHIMI LOVINSON|大西芳実

ラーメン職人歴21年『うずとかみなり』店主 数々のラーメン本の優秀賞受賞 某歌舞伎役…

YOSHIMI LOVINSON|大西芳実

ラーメン職人歴21年『うずとかみなり』店主 数々のラーメン本の優秀賞受賞 某歌舞伎役者や他有名店とのコラボレーション TV・ラジオ出演、催事・イベント出店 ラーメン店プロデュース ミシュランガイド掲出などメディアへの露出や店舗外の活躍も多い noteは自叙伝

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  • ラーメン屋である僕たちの物語3rd season

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    四天王プラス

    『うずとかみなり』の主力商品4種類のスペシャル味くらべセットに、炭火焼きチャーシュー1/2ブロックを同梱した「四天王+ SHITENNO PLUS -」です『うずとかみなり』の味をご自宅までお届けします。麺は国産小麦の自家製麺、スープは地鶏×魚介の完全無化調。いずれも店内でご提供しているものです。●商品内容:醤油RAMEN、塩RAMEN、味噌RAMENガパオ、雷SOBAの計4食セットトッピング用炭火吊るし焼きチャーシュー1/2ブロック(400g前後)チャーシュータレ(150cc)一本※醤油、塩: 麺とスープ、チャーシュー、メンマ※味噌:麺とスープ、ガパオ、メンマ※雷:麺とスープ、肉味噌、メンマ醤油:地鶏と魚介の深遠なる旨味。基本にして至高の一杯。塩:世界一高ミネラルなぬちまーす使用。豚と貝の滋味深い味わい。味噌:四百年の伝統徳島県米味噌使用。ガパオとスパイスの香り、ほのかな甘みと深い旨味の味噌雷:自家製雷油&辛味タレ、スパイス香るエスニック旨辛麺チャーシュー1/2ブロック:四元豚ありすぽーくもも肉の炭火吊るし焼き※ 【発送日】ご入金確認後「毎週月曜日締め切り、水曜日発送」とさせていただきます。⚠️火曜日ご注文は翌週水曜日発送になります。ご注意ください。※冷凍便でお届けします。保存はききますが早めにお召し上がりください。※原材料等の表示情報は画像をご覧ください
    ¥7,100
    うずとかみなりonline
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    風雷神プラス

    醤油と塩の基本味2種×2セットに、炭火焼きチャーシュー1/2ブロックを同梱した「風雷神+ -FURAIJIN PLUS -」です『うずとかみなり』の味をご自宅までお届けします。麺は国産小麦の自家製麺、スープは地鶏×魚介の完全無化調。いずれも店内でご提供しているものです。●商品内容:醤油2セット+塩2セットの計4食セット※麺とスープ、チャーシュー、メンマトッピング用炭火吊るし焼きチャーシュー1/2ブロック(400g前後)チャーシュータレ(150cc)一本醤油:地鶏と魚介の深遠なる旨味。基本にして至高の一杯。塩:世界一高ミネラルなぬちまーす使用。豚と貝の滋味深い味わい。チャーシュー1/2ブロック:四元豚ありすぽーくもも肉の炭火吊るし焼き※ 【発送日】ご入金確認後「毎週月曜日締め切り、水曜日発送」とさせていただきます。⚠️火曜日ご注文は翌週水曜日発送になります。ご注意ください。※冷凍便でお届けします。保存はききますが早めにお召し上がりください。※原材料等の表示情報は画像をご覧ください
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記事一覧

ラーメン屋である僕たちの物語3rd 12

♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢ 【読者の皆さんへ】 ※後編は大西の「ファンタジーフィルター」の影響により、随所に幻想的描写が含まれます。ご了承の上、お楽…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd 11

I said maybe you’re gonna be the one that saves me and after all you're my… 「芳実さん…」 薄い月明かりが、小さな部屋に青白く差し込む。 よう子はゆっくり…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑩

「WATER BOYS」 2006年 5月 いよいよ来た! 今年も1番の掻き入れ時の GWがやってきた! 正月三が日の賑わいもすごいのだが、やはり一番はなんと言ってもゴールデンウ…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑨

「Dang Dang」 「Prrrrrrrrr」 「Prrrrrrrrr」 夜営業に向けて仕込みをしていると、めじろ川崎店のY太から着信があった。 「P!」 「はい、もしもし」 「芳実さん!…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑧

「These Days」 「店長!久しぶりですな!」 「…Tっさん!」 買い出しから戻るとTっさんがいた。 懐かしい姿がひなどりにあった。 僕は嬉しくて飛び上がり、Tっさん…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑦

「BURN」 2005年 12月初旬 AM10:30 「こなぁぁゆきぃ♪ねえ、えいえんをまぁえにぃあまりにもぉろくぅ〜♪あぁあああ〜♪」 最近流行りの歌を口ずさみながら、僕は硬…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑥

青の火の 色無き風と さらさらり 「FLOAT」 湿度を脱いだ風が、夏の終わりを町中にふれ回る。 蒸篭の中にいるような季節を越えて、蓋の抜けた空を見上げると、秋の…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑤

「Rock and Roll,Pt2」 ピ ヒ ョ ロ ロ ロ ロ ロ ・ ・ ・ 高く、高く 水色の中を泳ぐ一羽の鳶が、遠くで鳴いた チャプン チャプン パチャ パチャ 僕は果てしなく…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ④

「The Truth Is No Words」 「てめえ!!!」 「なんでお客さんを 大切にできねえんだ!!」 7坪の小さな店に響き渡る大きな怒号。 怒鳴っているのは、僕だ。 想い…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ③

「Neverland」 I 'm not a man! ぼくは、やろうなんかじゃない! I'll never be a man! おとなになんか、ならないんだ! LABOテーマ活動の友 「ピーターパン」よ…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ②

「Another One bites The Dust」 2005年5月 鎌倉麺や ひなどり 「いらっしゃいませー♪」 「ありがとうございます♪」 Kが入店してから一ヶ月が過ぎ、今年もG.Wを迎え…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ①

「Bohemian Rhapsody」 ピ | ヒ ョ ロ ロ ロ ロ ロ ・ ・ ・ 高く、高く 水色の中を泳ぐ一羽の鳶が、遠くで鳴いた。 さらり柔らかい風が、段葛をすり抜けていく。 淡…

ラーメン屋である僕たちの物語2nd 11

「ロストマン」 後編 是非、再生しながら読んでください 「この曲をかけながら読む」前提で書きました このエピソードの後、ずっと聴いていた 特に思い入れのある曲です …

ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑩

君を失ったこの世界で 僕は何を求め続ける 「ロストマン」 中編 「癌、ということです」 カチ カチ 僕たちの距離を、重い足取りで時間が歩いていく。 カチ カチ …

ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑨

「ロストマン」 前編 状況はどうだい? 僕は僕に尋ねる 旅の始まりを 今でも思い出せるかい? 2005年3月 AM8:00 鎌倉駅前「ら〜めん専門ひなどり」 ゴッ… …ジ…

ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑧

「哀 戦士」 後編 よく見ておくのだな 実戦というのは ドラマのように格好の良いものではない シャア・アズナブル ➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖ 【読者の皆様へ】 ※…

ラーメン屋である僕たちの物語3rd 12

ラーメン屋である僕たちの物語3rd 12

♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢

【読者の皆さんへ】

※後編は大西の「ファンタジーフィルター」の影響により、随所に幻想的描写が含まれます。ご了承の上、お楽しみください。

♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢

「あー、気持ちいいー」

『麺やBar渦』開店まで、後3週間。

全てが順調だった。

弟と並び自転車を漕ぐ僕は、湧き上がる充実感に満たされながら、火照った身体を夜風にあて

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd 11

ラーメン屋である僕たちの物語3rd 11

I said maybe

you’re gonna be the one that saves me

and after all

you're my…

「芳実さん…」

薄い月明かりが、小さな部屋に青白く差し込む。

よう子はゆっくりとブラウスのボタンを外し、自身の柔らかい輪郭を薄明に浮かび上がらせながら、目を伏せた。

月の光が、その膨らみから滑り落ちていく。

再び僕に向けたよう子の瞳

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑩

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑩

「WATER BOYS」

2006年

5月

いよいよ来た!

今年も1番の掻き入れ時の
GWがやってきた!

正月三が日の賑わいもすごいのだが、やはり一番はなんと言ってもゴールデンウィーク!

我らがひなどりも年々日々、最高成績を更新していた。

この年も前年を凌ぐ、沢山のご来店があり、僕たちも日々必死でラーメンを作っていた。

そして怒涛の最終日を迎え、最後のお客さんを見送った後、僕たちは

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑨

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑨

「Dang Dang」

「Prrrrrrrrr」

「Prrrrrrrrr」

夜営業に向けて仕込みをしていると、めじろ川崎店のY太から着信があった。

「P!」

「はい、もしもし」

「芳実さん!助けてください!」

Y太の悲痛な叫びが受話口を超えて、ひなどりに響き渡った。

「Y太!おい!どうした!?」

電話口のY太の剣幕に只事ではない気配を感じた。

「お、親父さんが…!」

親父が!

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑧

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑧

「These Days」

「店長!久しぶりですな!」

「…Tっさん!」

買い出しから戻るとTっさんがいた。

懐かしい姿がひなどりにあった。

僕は嬉しくて飛び上がり、Tっさんに抱きついていた。

「なんだよ!お見舞いも断るし、退院してから今まで来ないし!つれないじゃんかよ!」

そして思いの丈をぶつけた。

「いやあ、すいません。ちょうど病院が混み合ってて、脳神経外科の病棟に入れられて、正

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑦

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑦


「BURN」

2005年

12月初旬

AM10:30

「こなぁぁゆきぃ♪ねえ、えいえんをまぁえにぃあまりにもぉろくぅ〜♪あぁあああ〜♪」

最近流行りの歌を口ずさみながら、僕は硬さを増した空気の中を走り抜け、原付を駐輪場に停めて店に向かう。

Gが入店してから、僕は2人に朝の支度を任せて、憧れの「重役出勤」を手に入れていた。

ひなどりの開店は11:30。

僕はそれまでに銀行で両替をし

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑥

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑥



青の火の

色無き風と

さらさらり

「FLOAT」

湿度を脱いだ風が、夏の終わりを町中にふれ回る。

蒸篭の中にいるような季節を越えて、蓋の抜けた空を見上げると、秋の色を帯び始めた。

気づけば無我夢中のまま、僕たちはまた一つ夏を駆け抜けていた。

「あれ」から3ヶ月が経とうとしていた。

2005年 9月末日

鎌倉麺や ひなどり

PM15:00

「よ〜し!

みんなお疲れさん!あ

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑤

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ⑤

「Rock and Roll,Pt2」














高く、高く

水色の中を泳ぐ一羽の鳶が、遠くで鳴いた

チャプン

チャプン

パチャ

パチャ

僕は果てしなく広がる青に浮かび揺られながら、遥か遠くの青と青が溶け合う所ー

水平線を眺めていた。

「はーーーーー、やっぱり俺なんてちっぽけなものだなあーーー」

サーフボードの上で大きな海と大きな空に包まる

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ④

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ④



「The Truth Is No Words」

「てめえ!!!」

「なんでお客さんを
大切にできねえんだ!!」

7坪の小さな店に響き渡る大きな怒号。

怒鳴っているのは、僕だ。

想いが伝わらないもどかしさの中でもがき、今にも暗闇の底へ沈んでいくところだった。

怒鳴ったところで、相手はより強固に心を閉ざすこともわかっていた。

それでも、もう飲み込めないほどのやり場のない感情はコントロ

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ③

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ③



「Neverland」

I 'm not a man!

ぼくは、やろうなんかじゃない!

I'll never be a man!

おとなになんか、ならないんだ!

LABOテーマ活動の友
「ピーターパン」より抜粋

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2005年

5月

鎌倉麺や ひなどり

ランチ営業

「いらっしゃいませー!」

「なまず」から数日後

「ありがとうございますー!」

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ②

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ②

「Another One bites The Dust」

2005年5月

鎌倉麺や ひなどり

「いらっしゃいませー♪」

「ありがとうございます♪」

Kが入店してから一ヶ月が過ぎ、今年もG.Wを迎えた。

Kは相変わらずニコニコと笑顔で、大きな声でお客さんに挨拶をしている。

いいね。

とてもいい。

それはとてもいいのだが…。

同日 ランチ営業後

「店長!メンマの仕込みってどうやる

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ラーメン屋である僕たちの物語3rd ①

ラーメン屋である僕たちの物語3rd ①

「Bohemian Rhapsody」


|











高く、高く

水色の中を泳ぐ一羽の鳶が、遠くで鳴いた。

さらり柔らかい風が、段葛をすり抜けていく。

淡く色づいた花弁同士が触れ合うと、サワサワと嬉しそうに囁き合った。

満開の隧道を、人々はその花の可憐な運命にうっとりと魅入っていた。

古都鎌倉に

およそ800回目の春が訪れていた

➖➖➖➖➖➖➖➖

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ラーメン屋である僕たちの物語2nd 11

ラーメン屋である僕たちの物語2nd 11

「ロストマン」

後編

是非、再生しながら読んでください
「この曲をかけながら読む」前提で書きました
このエピソードの後、ずっと聴いていた
特に思い入れのある曲です
※イヤホン推奨

2005年3月末日

PM16:30

ら〜めん専門ひなどり 店先

「忘れ物はない?」

「はい、大丈夫だと思います」

「もしあったら捨てておくよ笑」

「はい、焼き捨てておいてください笑」

僕とTっさんは、

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ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑩

ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑩



君を失ったこの世界で

僕は何を求め続ける

「ロストマン」
中編

「癌、ということです」

カチ

カチ

僕たちの距離を、重い足取りで時間が歩いていく。

カチ

カチ

僕はTっさんの言葉を真正面に受け止めながらも、どこか夢と現実の狭間に彷徨い込んだような浮遊感の中にいた。

カチ

カチ

宇宙の隅々まで探しても、Tっさんにかけるべき言葉は見つけられなかった。

カチ

カチ

なに

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ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑨

ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑨


「ロストマン」

前編

状況はどうだい?

僕は僕に尋ねる

旅の始まりを

今でも思い出せるかい?

2005年3月

AM8:00

鎌倉駅前「ら〜めん専門ひなどり」

ゴッ…

…ジャーーー

…パタン

「はぁ……」

「またですか?店長」

お腹を抑えてため息をついた僕に、Tっさんが心配そうに話しかけてきた。

「うん、今日もけっこう酷かったよ」

「心配ですね」

「うん、ストレス

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ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑧

ラーメン屋である僕たちの物語2nd ⑧

「哀 戦士」

後編

よく見ておくのだな

実戦というのは

ドラマのように格好の良いものではない

シャア・アズナブル

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【読者の皆様へ】
※前中編に引き続き、今話も一部登場人物に対して、大西の「贔屓目フィルター」が過分に影響している可能性があります。
ご理解、ご了承の上、用法、用量を守って、以下略。

ズン
ズン
ズン
ズン

「休みの日は何してるの!?」

大音

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