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【📰文系×医療🩺】なぜ「わき」ばっかり?汗が出る理由とは。

夏は汗をかいて嫌な気持ちになりますよね。
緊張すると汗をかいてしまい、匂いが気になるなんて経験をしたことがある人も多いのではないのでしょうか?

今回は、「人間が汗をかく理由」や人口の5%以上が発症しているといわれる汗の病気「掌蹠多汗症(しょうせき)」について学んでいきます!

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掌蹠多汗症について誤っているのはどれか。

a. 精神性発汗は亢進する。
b. 汗腺の数が増加している。
c. 真菌や細菌の感染を起こしやすい。
d. 治療にはイオントフォレーシスが用いられる。
e. Minor法はヨードデンプン反応を利用した検査法である。


汗をかく本当の理由とは?

我々が普段かく汗には2種類あります。体温をコントロールする汗「温熱性発汗」と緊張したときにでる汗「精神性発汗」です。
そして、汗が出る場所と言えば汗腺ですが、これも「エクリン腺」「アポクリン腺」があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。

発汗方法の前に、2つの汗腺の種類を見ていきます。

「エクリン腺」と「アポクリン腺」
エクリン腺は全身のほとんどに分布しています。主に体温調節のために汗を出す汗腺で、分泌される汗は無味無臭です。
アポクリン腺はカラダの限られた部分にあり、特にワキの下に多くあります。毛根にあるため、汗は白く濁っていて、脂質やタンパク質などニオイのもととなる成分を多く含んでいます。

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温熱性発汗
暑いときや運動をしたときに、上昇した体温を下げるための汗で、手のひらや足のうらを除く、全身から持続的に発汗します。汗腺はエクリン腺のみなので、無色無臭です。これは皮膚温度や筋肉代謝の情報が交感神経によって脳の視床下部にある体温調節中枢に刺激が行くことで発汗します。

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精神性発汗
緊張したとき、驚いたときに出る汗で、手のひら、足のうら、ワキの下など限られた部位で、短時間に発汗するのが特徴です。エクリン腺とアポクリン腺の両方から発汗するため、匂いがでます。精神性発汗のメカニズムは詳しくはわかっていません。

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(味覚性発汗)
辛い物を食べたときに鼻やひたいから汗が出てきますよね。これは味覚の刺激によって反射的に起こるもので、食べ終わると汗もひきます。エクリン腺からの発汗のため、匂いはありません。


汗の病気「掌蹠多汗症(しょうせき)」とは?

症状
手のひらや足の裏にたくさんの汗をかく症状で、手の多汗症の場合は手掌多汗症と呼び、足の裏の場合には足蹠多汗症と言い、多くの方がどちらも発症します。血管収縮による温度の低下や、湿った環境による真菌・細菌の繁殖と感染といった影響もあります。

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メカニズム
汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺があります。エクリン腺はほぼ全身にあり、部位ごとの汗腺数の個人差はほとんどありません。汗の量は温熱刺激や精神的緊張といった交感神経が関わります。特に精神性の多汗症には、神経伝達物質のアセチルコリンに関わるコリン作動性交感神経が過剰に反応していることで、発汗が促進されるとされています。

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原因
原因の病気がないものを原発性掌蹠多汗症と言いますが、5.3%の人がかかる病気でありながらはっきりとした原因は解明されていません。遺伝性という学説もあります。

治療
塩化アルミニウム外用薬イオントフォレーシスがあります。塩化アルミニウムは、汗を出す管(汗管)の細胞に作用し、この管を閉塞させることで発汗が減少するといわれています。イオントフォレーシスは、多汗症の部位を水道水に浸し、そこに弱い電流を流すことにより、水素イオンが汗腺を障害して発汗を抑制するとされています。

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ここで問題の選択肢を見ていきましょう。

a. 精神性発汗は亢進する。
→亢進とは症状の度合が進行することであり、掌蹠多汗症では精神性発汗が過剰になります。

b. 汗腺の数が増加している。
→汗腺数は変わらず、交感神経の反応の強さが影響しているとされています。

c. 真菌や細菌の感染を起こしやすい。
→特に足の裏では湿った環境となり、真菌や細菌が繁殖しやすくなっています。

d. 治療にはイオントフォレーシスが用いられる。
→治療には水の電気分解を利用したイオントフォレーシスがあります。

e. Minor法はヨードデンプン反応を利用した検査法である。
→今回は取り上げていませんが、発汗部位にヨードを塗り、色の濃さによって多汗症を検査するMinor法があります。

ということで誤っているのは「c. 真菌や細菌の感染を起こしやすい。」となります。

おわりに

今回は汗が出る仕組みやその種類、そして汗が過剰に出てしまう掌蹠多汗症について学んでいきました。
精神的な健康が臭い汗の予防につながるのだと感じました!

病気の原因になる栄養素について学んでいきます!

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