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#64 あなたに惹かれて

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 私はまた、恋に終止符を打った。そして、私は何年間分かの涙を流した。だが、今回ばかりは違うのだ。私は、過去史上最高に、愛していた。あなたを愛していたのだ。ただ、好きだったのではない。あなたとは、多くの時間を過ごし、あらゆるものを共有した。一番に共有したくなったのがあなただった。
あなたが見せてくれた笑顔や言葉、仕草、私は今後も忘れはしないだろう。あなたとの思い出は、愛しい時間で、最高に幸せだからだ。美化されていると言われるかもしれない。もちろん美化されていたっていいのだ。私はあなたと過ごした時間は確実にそれまでに感じたことのない幸せだった。家族以外から愛を受けることは、奇跡のようだった。あなたも私と別れたことは心底後悔しているでしょう。だって、私だって本当はそうはなりたくなかったから。あなたは私に心底惚れていたし、私たちは愛し合っていたことは紛れもない事実なのだから。
だからこそ、私たちは前を向いて生きて、次の恋に進むしかない。愛し、愛されたことは、必ず私たちを成長させた。これも紛れもない事実なのだ。
あなたとの思い出の品は、処分した。周りは、売ればいいのにと言ってきた。でも、私は、それは違う、そうじゃないんだと思った。あなたとの思い出は、お金などに変えられない。本気であなたに向き合った、その想いは美しい。その美しさは、決して、お金などという国家の信用で成立しているものに変えられてたまるか。周りの友人たちは本当の恋にまだ落ちていないだけで、今は分からないのだ。この恋の、尊さが。
私は、この恋に誇りを持ち始めている。堂々と、あなたのことが大好きだった。そう言えるからだ。
私はあなたのことを、毎晩寝るたびに少しずつ、忘れていく。儚いことである。できるならば、あなたのことを覚えていたい。しかし、その忘れていく過程さえ、美しいと思ってしまう。
もう、あなたと会わなくなったことが、遠い昔のように思える。あなたと連絡を取る手段はもうない。だが、私たちは人生の一瞬を濃密に過ごしたという事実は変わらない。心の隅で、今もあなたに惹かれ続けている。
好きで、好きで仕方なかったあの頃、私は本気で恋した。あなたも本気で好きだった。この恋は私たちの思い出の中で永遠に葬られた。だからもう、次の恋へ進もう。
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