孤独とは万人に降り注ぐ日差し 逃れようとしても いつかはそれを浴びねばならない 我々の身体に必要なものを生み出すために 燦々とした夏の日差しの足元 鋭く黒い影を落と…
うまく泳げないの 息の仕方を忘れてしまう どうやって手を動かして どうやって足を動かすのか うまく走れないの 息の仕方を忘れてしまう どうやって手を動かして どうやっ…
腹の中でつかえてしまって一向に出てこない これが益になればいいものの 糞なのだからそりゃもう無益 1円にだってなりゃしない マグネシウムにトマトジュース 食物繊維に乳…
目のない何かに見られている 目がないのならば見られているは間違いか これが何かはうまく言えぬが カモシカとタヌキの中間のような 兎にも角にも哺乳類の区分には含まれそ…
ひんやりとした床に寝転がりながら スマホでナシゴレンを注文した 少し先のことを考えながら生きていくと 少し先の私はありがたく思うかもしれないが 少し先の私は少し先…
鮭の切り身を焼いているときに小さな地震が発生した。すぐに火を消し、念のためダイニングテーブルの脚元へと潜る。小さな揺れは30秒ほど続いた。壁の向こうでどさどさとい…
「なんにせよ分かってほしいという気持ちを持ち続ける力が年々無くなっていくのです。だから代わりに文章が書けるようになったのかもしれませんね」 そう先生は話してくれ…
どこかでカリンバの音が聞こえる。 昼に進められるマンション新築工事の最中、唸るモーター音、太い杭を打ちこむ音、怒号、その柔らかい金属音はそれらを掻い潜り私の耳ま…
美しくきらめく会場から 今抜け出そうとする一つの影 穴の空いた外套を纏いソールの薄い靴を履く 気を抜くと振り返ってしまう シャンデリアの光が鋭く瞳孔に刺さる 輝きが…
粘着性の高い黒い物質が噴き出してくる事件が いろんなとこで相次いで発生してるのって知ってる? その物質がなんなのかまだ判明してないみたいだよ 人によってはなんだけ…
かわいいのね あなたは 真っ黒の毛並みがつやりとひかる 小さいのね あなたは ふかふかした足と湿った鼻 結構喋るのね あなたは 撫でられたくって身体を寄せる あなた…
今日は大丈夫でした 明日はわかりません 正しくは1秒先もわかりません 実は今日も駄目でした もう何年も前から 物心ついた頃から わたくしはずっと駄目でした チェックリ…
人を殺したかもしれない 首を絞めていた 唾液が手の甲に付着した 隠蔽工作をした 服をゴミ袋につっこんだ これは夢の話 そう夢の話 着ていない服をゴミ袋に詰める 口が解…
この道は霧の向こうまで続いています 自分は立ちすくんでぼんやりしています そこには何がありますか こういった質問を どなたかに聞くのも憚られます 恥ずかしいのです …
口に合わないカレー屋の照明が灯る 何を着るにも困る髪色にされたヘアサロン いつまで経っても借り手のつかない月極駐車場 埃まみれの空き店舗 以前はなんだったか 仏具屋…
寂しさを感じたことはあるかい 僕はね ないんだ どんなことが寂しさとなるか それは想像がつくよ 大事な人が死んじゃったりとか 大切な場所から離れなきゃいけないとか …
山夢
2022年8月21日 07:56
孤独とは万人に降り注ぐ日差し逃れようとしてもいつかはそれを浴びねばならない我々の身体に必要なものを生み出すために燦々とした夏の日差しの足元鋭く黒い影を落としこの世を極彩色に包み込む穏やかな冬の日差しの足元影も落とさぬ弱々しさと日を懐かしむ感情よそのどちらもが孤独の本質決して逃れられないものでなくてはならないものなのだ
2022年8月16日 17:16
うまく泳げないの息の仕方を忘れてしまうどうやって手を動かしてどうやって足を動かすのかうまく走れないの息の仕方を忘れてしまうどうやって手を動かしてどうやって足を動かすのかいつも忘れるのはおなじこと呼吸と体の動かし方思い出し方も思い出せないだからね新しいことで満たすの泳がなければ問題ないし走らなければ問題ないし何で満たそうこの空白を少し前は満たせるモノがあったの
2022年8月13日 23:00
腹の中でつかえてしまって一向に出てこないこれが益になればいいものの糞なのだからそりゃもう無益1円にだってなりゃしないマグネシウムにトマトジュース食物繊維に乳酸菌全部摂っても厄は落ちず腹ばかりが張っていく最後に頼むは神であるが生憎私は神を信じず信じるものは己の身そんな心情であるからして頼りたいとは毛頭言えぬしかしここは日本であるから遠く離れたインドの神なら多少なりとも許して
2022年8月11日 01:09
目のない何かに見られている目がないのならば見られているは間違いかこれが何かはうまく言えぬがカモシカとタヌキの中間のような兎にも角にも哺乳類の区分には含まれそうだ目を閉じた線が毛で埋もれはじめからおわりまでそいつには目が無いのが当たり前のようだった毛についた埃までわかるほどに寄る生き物に思わず身体が硬直したが草食動物の類なのだろうし大人しくしてればそのうち去るだろうしっと
2022年8月8日 19:33
ひんやりとした床に寝転がりながらスマホでナシゴレンを注文した少し先のことを考えながら生きていくと少し先の私はありがたく思うかもしれないが少し先の私は少し先の私を手助けしているので今日はなるたけ手を抜くよ今の私は過去の私に助けられていない未来の私は過去の私を助けられない過去の私だけは今と未来の私を助けられるでも今日はなるたけ手を抜くんだから今の私も過去の私も今の私を責めないで
2022年8月8日 00:31
鮭の切り身を焼いているときに小さな地震が発生した。すぐに火を消し、念のためダイニングテーブルの脚元へと潜る。小さな揺れは30秒ほど続いた。壁の向こうでどさどさという音が聞こえる。その後は何も音が聞こえなかった。沈黙だけが耳に届く。地震速報を見る。震源地がここではなく、そこではないかを一応確認した。グリルの窓から覗くと、鮭は余熱で丁度良く火が通っていたので、取り出して粗熱を取る。保存容器に詰め、
2022年8月5日 23:30
「なんにせよ分かってほしいという気持ちを持ち続ける力が年々無くなっていくのです。だから代わりに文章が書けるようになったのかもしれませんね」そう先生は話してくれた。「私はまだまだ分かってほしくって苦しくなることばかりです。早く先生のようになりたいです」私は先生が大好きだから。「あなたと同じくらいの頃に同じように分かってほしくて足掻いていましたよ。でも分かってもらえなくて、そのうち分かってもら
2022年8月4日 01:53
どこかでカリンバの音が聞こえる。昼に進められるマンション新築工事の最中、唸るモーター音、太い杭を打ちこむ音、怒号、その柔らかい金属音はそれらを掻い潜り私の耳まで到達した。しばし作業の手を止めてどこから聞こえてくるのかを探る。しかしあまりにも微かな音なので、音の発生源が同じマンションの住人なのか、近所の平屋なのか、はたまた隣の公園かどうかは掴めなかった。とにかく誰かがカリンバを練習しているのだろう
2022年7月30日 22:56
美しくきらめく会場から今抜け出そうとする一つの影穴の空いた外套を纏いソールの薄い靴を履く気を抜くと振り返ってしまうシャンデリアの光が鋭く瞳孔に刺さる輝きが私を絡めとる前に前に駆け抜けろお前が目指すのは誰も寄り付かぬ陰鬱な森足首に濡れた草が小さな切り傷を生むのを柔らかな声すらもことごとく無視をして茨が行手を遮ろうとも目的地まで走り抜けろここまでこれば追手など来るはずもないそも
2022年7月28日 16:49
粘着性の高い黒い物質が噴き出してくる事件がいろんなとこで相次いで発生してるのって知ってる?その物質がなんなのかまだ判明してないみたいだよ人によってはなんだけどね晩御飯の献立を考える時に着飾って玄関の扉を開けた時にさあ描こうと絵筆を握った時にあと少しで完成する論文を書いている時に廃棄寸前のカップ麺買ってる時にみんなの前で怒鳴られてる時に子が口からオムライスをわざとこぼした時に足
2022年7月25日 19:34
かわいいのね あなたは真っ黒の毛並みがつやりとひかる小さいのね あなたはふかふかした足と湿った鼻結構喋るのね あなたは撫でられたくって身体を寄せるあなたと暮らす為にあなたの自由を奪わねばならないあなたが持つ権利と引き換えにわたしはあなたを人の考えうる限りではあるがあなたがなるべく幸せに過ごせるように尽力するよ賢いのね あなたはおもちゃの紐を咥えて投げる馬鹿なのね
2022年7月23日 22:45
今日は大丈夫でした明日はわかりません正しくは1秒先もわかりません実は今日も駄目でしたもう何年も前から 物心ついた頃からわたくしはずっと駄目でしたチェックリストはわたくしが作成したものですので編集権限はありますけれどそうそう編集いたしませんなぜならば 上の者が首を縦に振らないからです上の者といいましてもわたくし1人ではありますけれど1人が拒否すれば誰も反対いたしません大丈夫に
2022年7月21日 16:37
人を殺したかもしれない首を絞めていた唾液が手の甲に付着した隠蔽工作をした服をゴミ袋につっこんだこれは夢の話そう夢の話着ていない服をゴミ袋に詰める口が解けぬよう固く結ぶ眠る前に見た、妻が失踪する映画いくつかのパーツが組み立てられわたしの夜が始まった夜が終わりを迎えて真っ先に手が汚れていないか確認したリビングで眠る夫を横目に蛇口をひねる猫が足元に擦り寄る人殺しに
2022年7月19日 20:44
この道は霧の向こうまで続いています自分は立ちすくんでぼんやりしていますそこには何がありますかこういった質問をどなたかに聞くのも憚られます恥ずかしいのです自分がいかに頭の足りない人間なのか見たくないのです自分以外が軽快に道を歩く様を全てが遅いと怒鳴られ続けました覚えがとにかく悪いのです身体にいくつも穴が空いてるのでしょう入れたはなから溢れてしまうぎこちなく鼻から息を
2022年7月15日 01:05
口に合わないカレー屋の照明が灯る何を着るにも困る髪色にされたヘアサロンいつまで経っても借り手のつかない月極駐車場埃まみれの空き店舗 以前はなんだったか仏具屋ばかりの陰鬱で清潔な道遊具がひとつもない公園の抜け殻の隣には築45年の外壁だけ塗り替え続けたアパート緑色の虫が脚を天に向かって伸ばしている溜まっていた郵便物の端でひっくり返してやる何が起こったかわからないのかそれともわかっ
2022年7月13日 02:09
寂しさを感じたことはあるかい僕はね ないんだどんなことが寂しさとなるか それは想像がつくよ大事な人が死んじゃったりとか大切な場所から離れなきゃいけないとか言葉が誰にも伝わらないとかそういったことなんだろう大事な人なんて居たのかな大切な場所なんてあったかな言葉が伝わらない場所はどこだろう発せられない状態も含むのかそれに触れずにここまで生きたんだ寂しさって なんだろうねギヨ