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Year-end に思う「教師の精神的余裕」

うちの宇宙人(=息子)が通っているSecondary(高校)は、生徒数2,200人のマンモス校です。普段の連絡はもっぱら一斉送信のメールにて。学年末のこの時期は、ボンボンボンと立て続けにお知らせが送りつけられてきます。

以下は先週送られてきたお知らせからの抜粋です。


【Year-end Calendar Notes for Students & Parents】
Thursday, June 20
Term #3 Ends (last day of formal classes)

Friday, June 21
Flex Day (only for students with appointments with teachers)

ほとんどの生徒は、先週木曜6月20日が夏休み前最後の授業日でした。ご覧の通り終業式はなく、学校は「ぶつっ」と終わり、いきなり夏休み突入です。もちろん宿題は全くでません(いいのか?!)。先生も生徒も思いっきり解放されますね~。

単位を落とした子はサマースクールに通ったりして挽回します。さもなければ来年もう一度同じ科目をとらないといけないはめに。このへんは高校も大学も一緒です。

学校にもFlex Dayがあります。いや、真面目なハナシ、カナダの学校の休み方、日本の学校にもぜひ見習っていただきたい。なにしろ緩急のつけ方が上手いのです。

例えば、Professional Development Day (PD day)と呼ばれる日があります。先生方の研修日で、その日は休校。そして、ほとんどのPD dayは「連休の前後にくっつけられている」のがミソです。教師をやっている友達によると、一応研修などは行われているようですが毎回強制的に出席という訳でもなさそうで。

日本の教育を受けた私から見ると、ただでさえ授業日数が少ないのに(例えば夏休みは2か月以上)こんなに休校日が多くて大丈夫なのか?という感じがしていたのですが、今では、こうしてあちらこちらに「ガス抜き」の日が設けられているから、先生も生徒も適当にリラックスできていいのかなと思うようになりました。キチンと休むの、大切です!

そして今週。

Thursday, June 27
Term #3 marks available on-line at time

注目!学校が終わって一週間してやっと成績がでるのです。日本の学校は最後の日に成績表を持ち帰ってくるのが一般的ですよね?

こちらでは先生方も事務方も、通常業務がなくなってからゆっくりと成績表にとりくむようです。しかもon-lineバージョンです。先生方、コメントのコピペやり放題(←あくまでも想像)!紙の成績表に手書きでコメントを書きこむなんて面倒くさいことはやりません(笑)。

こちらでのこうした効率的なやり方を見聞きするたびに、日本の教育現場の非効率さをつくづく残念に思うのです。

こちらの学校システムは、日本にくらべて教師優遇です。「教えること」のプロである教師はその技術を尊敬され、基本「教えること」しかしません。

掃除はジェニター、事務処理は事務員が担当します。小学校であれば、休み時間や放課後30分を見守る専用のスタッフが、給食の時間はカフェテリアのスタッフがいます。教師が「教えること」だけに集中できる環境があります。

このように
1.役割分担をハッキリさせ、
2.ITを駆使して無駄な仕事工程をけずり、
3.上述したような適当にガス抜きできるスケジュールを組む

ことにより、教師に精神的余裕が生まれるようにする。

こういったことは日本では不可能なのでしょうか?教師にも、いえ教師にこそ「余白のススメ」です。キチンと休むの、大切です!

残業続きで土日は部活、夏休みも部活指導でしょっちゅう登校、燃え尽きてうつ病多発などという話を聞く度に、カリキュラムだけでなく、教師をとりまく環境を見直さない限り、日本の教育の質はかわらないだろうとの思いを強くします。

「教師の精神的余裕」は、指導の質を大きく左右します。
日々雑務に追われ、よれよれに疲れ切って自己研鑚の気力も時間もないような先生に、生徒をインスパイアするような魅力的な授業ができるのでしょうか?日本は、現行の教育システムの限界を、教師個人の自己責任の話しにすり替えている場合ではないと思います。

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