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#至福のスイーツ
パータ・ケックって、なんだ?[生地編vol.3]
思わず、視界が潤む。
何年か振りの、パウンドケーキのせい。
心象、幼少、昼下がり、母、愉快な鼻歌、鼻を香りがくすぐった。
口に含めば、しっとり、綻んでいく。
現実、焦燥、行き止まり、また、悔しさ嵩んだ、夜半を煙草が燻った。
今だけ全て忘れさせて。
温い思い出に浸らせて。
パウンドケーキを、食べてる間だけ。
おはようございます!
見習いパティシエ、真白けいです!
今よりもっとお菓子屋さん
パータ・ビスキュイって、なんだ?[生地編vol.2]
名前も知らずに、食べている。
洋菓子のスポンジは一種類だ。
違う。
ショートケーキのあれだけだ。
違う。
違いなんて、どうでもいいのか。
パティシエだけが、知っていればいいのか。
おいしい、それだけでいいのかもしれない。
それがお菓子にとって正義だろうから。
スポンジ生地です、で済ませる笑顔の裏、
呑み込んだ黒い塊。
それを消化してしまいたい。
だから今日も書いている。
おはよう
パータ・ジェノワーズって、なんだ?[生地編vol.1]
「ショートケーキとは、つまり生地なのだ」
彼女は最後のピースを口に運ぶと、フォークを置きながらそう結論づけた。
はあ、先生のケーキバカっぷりには困ったものだ。
毎度毎度、強引に連れてこられては独自のケーキ論を延々と聞かされる僕の身にもなってくれ。
ちなみに僕はもう30分も前に食べ終わっている。
満足気に紅茶を嗜む彼女を尻目に、僕は機嫌を損ねないように帰りを切り出すタイミングを伺っていた。
「