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和歌短歌を味わおう❗️

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大人の国語の教科書です。情報を得る読書もいいですが、心が疲れたときは「感じる文学」も有効です。
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【百人一首鑑賞】わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾くまもなし 二条院讃岐

【百人一首鑑賞】わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾くまもなし 二条院讃岐

■わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾くまもなし 二条院讃岐

(詠んで味わう)わがそではしおいにみえぬおきのいしの ひとこそしらねかわくまもなし

92番目の讃岐の和歌を取り上げました。
讃岐という名前だから讃岐と関係ある人なのか??
→確認すると関係ありませんでした。

■現代語訳
わたしの袖は たとえればあの沖の石のよう
ひき潮にもあらわれぬ深海の石
ぬれにぬれ 人は知らないけど
涙は

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【百人一首鑑賞】月見ればちぢにものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど 大江千里

【百人一首鑑賞】月見ればちぢにものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど 大江千里

■月見ればちぢにものこそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど 大江千里

(詠んで味わう)つきみればちぢにものこそかなしけれ わがみひとつのあきにあらねど

こんばんは。これまで取り上げた百人一首の中に、20番台と80番台の和歌が
ないことに気が付きました!これはいかん(汗)ということで、まずは20番台の和歌を【そこはかとなく】眺めていたのですが、いつかいつか調べてみたいと思っていた歌人「大江千里」

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【百人一首鑑賞】大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 小式部内侍

【百人一首鑑賞】大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 小式部内侍

【百人一首鑑賞】大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 小式部内侍

■大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 小式部内侍

(詠んで味わう)おおえやま いくののみちのとおければ まだふみもみず あまのはしだて

百人一首60番目の和歌。私が百人一首で【イチオシ】する和歌です。
好きとか嫌いではなく【イチオシ】です。

クレバーで、嫌みがなく、すっきりとした空気を味わえる和歌。

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【百人一首鑑賞】み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり 参議雅経

【百人一首鑑賞】み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり 参議雅経

■み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり 参議雅経

(詠んで味わう)みよしののやまのあきかぜさよふけてふるさとさむくころもうつなり

今回は94番目に位置する、こちらの和歌を取り上げます。

■現代語訳
吉野の山の秋風よ ふけゆく夜の静寂に砧の音が寒々と聞こえる
ふるさとのこの地にもの思えというがごとく…
田辺聖子著「田辺聖子の百人一首より」

■語句説明
砧…今風にいうと、アイロンが

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【百人一首鑑賞】田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人

【百人一首鑑賞】田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人

■田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人

(詠んで味わう)たごのうらにうちいでてみればしろたえの ふじのたかねにゆきはふりつつ

百人一首4番目のこちらの和歌を取り上げたいと思います。
これは、日本国民ならば、一度は口ずさんだことのある和歌だと思います。
富士は古代日本人の心も捉えていた、不変の美しさがあの山にはあるのですねぇ。

■現代語訳
駿河の国の田子の浦にたた

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【百人一首鑑賞】朝ぼらけ有明の月とみるまでに吉野の里にふれる白雪 坂上是則

【百人一首鑑賞】朝ぼらけ有明の月とみるまでに吉野の里にふれる白雪 坂上是則

■朝ぼらけ有明の月とみるまでに吉野の里にふれる白雪 坂上是則

(詠んで味わう)あさぼらけありあけのつきとみるまでに よしののさとにふれるしらゆき

百人一首31番目の和歌を今日は取り上げたいと思います。
坂上是則ってどんな人?
三十六歌仙の一人です。死去したのが930年ごろ。
地方の官僚だったようですね。平安時代中期も後半にさしかかった頃に活躍した方。有名な紀貫之より少し前の先輩、というところで

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【百人一首鑑賞】難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世をすぐしてよとや 伊勢

【百人一首鑑賞】難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世をすぐしてよとや 伊勢

■難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世をすぐしてよとや 伊勢

(詠んで味わう)なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわでこのよを すぐしてよとや

■現代語訳
難波潟に生い茂る芦
その中でもことに短い芦のその節と節のあいだはいっそう、短いわ
そんな短い逢瀬の機会さえ あなたはつくってくれず
あたしにこのまま過ごせというの?
これっきりだと あなたはいうの?                

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【国語の教科書にのっていた短歌を味わおう】観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生 栗木京子

【国語の教科書にのっていた短歌を味わおう】観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生 栗木京子

■観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生  栗木京子

お久しぶりです。なかなかと更新できずにウズウズしていたところです。
これまでは

・百人一首
・短歌
・俳句

と取り上げてきましたが、国語の教科書に掲載されていた
ものもここに味わってみたくアップいたしました。

このプロジェクトでは
「白鳥は悲しからずや・・・」
以来となります。

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【百人一首鑑賞】誰をかも知る人にせむ高砂の
松も昔の友ならなくに 藤原興風

【百人一首鑑賞】誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに 藤原興風

■誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の友ならなくに 興風

(詠んで味わう)たれをかも しるひとにせむ たかさごの
まつも むかしの ともならなくに

■現代語訳

誰を友達にしたらよいものか
高砂の松も昔からの私の友人ではない

■語句解説

・誰をかも 誰がいいか
・高砂の松 現在の兵庫県高砂市の老松を指している。松は長寿の象徴。

高齢社会の今こそ、目を向けるべき和歌現代は超高齢化社会。

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【俳句鑑賞】夏嵐机上の白紙飛びつくす 子規



季語は「夏嵐」。青嵐とも、風青しとも表現される。青葉の頃に吹き渡るやや強い南風で、繁茂した草木を揺り動かす風。(角川書店「俳句歳時記 夏」より)

躍動感を感じる、青春の句のようにイメージ「青」は若々しさを連想させる。弱弱しい感性の中にも、力強い躍動感がうずまいているような。とてもアンバランスな世界なのかもしれない。かんがえてみれば人生は矛盾にできているかもしれない。体力があり元気な時期はお金

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【俳句鑑賞】嫁ケ島見えて昼寝の枕あり 蕪城



夏は昼寝の季節です季語は昼寝。午睡とも。酷暑の折は疲労も激しく、昼寝が推奨されたそうです。職人たちの仕事場での昼寝を「三尺寝」と言うそうですが、これは大工など足場や材木の上の三尺に満たない狭い場所で寝るから、または日陰が三尺動く間だけ昼寝が許されたから、とも言われているそうです。

嫁ケ島が見えるところで昼寝という贅沢嫁ヶ島(よめがしま)は、島根県松江市嫁島町の西約200mに位置する宍道湖唯一

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【俳句鑑賞】炎帝につかへてメロン作りかな 鳳作

夏の俳句紹介に入りました。夏の季語はウキウキするものがたくさんあります。ドンドンと紹介していって、みなさんがお気に入りのお酒のように、「いつもの一句」が増えていくお手伝いができればなぁ、と思っているmasajyoです。

「夏」の呼び方いろいろ夏という一字だけで俳句ではもちろん季語になりますが、夏の別名といいますか、いろんな呼び方がありますからご紹介しましょう。

三夏…初夏、仲夏、晩夏の総称。

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【俳句鑑賞】停年の後のことなどふらここに 義明



ふらここ。これ、実は「ぶらんこ」のこと。春の季語なんです。ぶらんこはふらここ以外にも、鞦韆(しゅうせん)、秋干、ふらんと、半仙戯(はんせんぎ)とも言われます。俳句をしていると言葉を覚えますね(笑)。

なお、なぜ半仙戯という漢字が当てられているかというと、

〔唐の玄宗が寒食(かんしよく)の日に,宮女に半仙戯(鞦韆(しゆうせ))の遊戯をさせたことから。「半仙戯」は半ば仙人になったような気分にさ

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【俳句鑑賞】春尽きて山みな甲斐に走りけり 普羅

【俳句鑑賞】春尽きて山みな甲斐に走りけり 普羅

時期、まさに晩春。あと1週間ばかりで暦の上での「夏」が始まる。晩春のこの時期、夏にむけたワクワク感で心も体も満たされている幸せを感じる。

前田普羅(まえだふら)。1884年(明治17年)4月18日 - 1954年(昭和29年)8月8日)は、俳人。高浜虚子に師事。「辛夷」主宰。本名は忠吉(ちゅうきち)。別号に清浄観子。(以上Wikipediaより)

俳句には山岳俳句というものがあり、これは登山し

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