【俳句鑑賞】炎帝につかへてメロン作りかな 鳳作

夏の俳句紹介に入りました。夏の季語はウキウキするものがたくさんあります。ドンドンと紹介していって、みなさんがお気に入りのお酒のように、「いつもの一句」が増えていくお手伝いができればなぁ、と思っているmasajyoです。

「夏」の呼び方いろいろ

夏という一字だけで俳句ではもちろん季語になりますが、夏の別名といいますか、いろんな呼び方がありますからご紹介しましょう。

三夏…初夏、仲夏、晩夏の総称。

九夏…夏九十日のこと。

炎帝…漢名。中国で、夏をつかさどる神。太陽。(「コトバンク」より引用)

朱夏…漢名。中国の五行説による。赤色を夏に配することから。(「コトバンク」より引用)

炎帝につかへる身とは?

夏を夏と言わないところに、夏の厳しさを感じることがあります。炎帝はいかにも強そうな神様。人間たちに暑さを与え苦しめているのかもしれません。人類、動物すべて自然の神様に使える身なんですよね。

作者、篠原鳳作。

篠原鳳作(しのはら ほうさく、1906年1月7日 - 1936年9月11日)は、鹿児島県出身の俳人。本名は篠原国堅(くにかた)[1]。1906年(明治39年)、鹿児島市で生まれる。1929年東京帝国大学法学部卒。病弱のため都会での就職を避け郷里で句作に没頭。1931年より教諭として沖縄県立宮古中学校に赴任、1934年に結婚を期に母校の鹿児島二中に転任した。1936年(昭和11年)、30歳で夭折、死後、「海の旅」、『篠原鳳作全句文集』が纏められた。(Wikipediaより)

若くして逝った作者のみずみずしい俳句。病弱でしたから畑仕事をモリモリするような方ではなかったでしょうが、句にメロン作りとしたところが、おしゃれ感もあり、憎い演出に思えます。これがトマトだったりナスだったりすると俳句が生み出すドラマ性も変わってきますからね。

炎帝は「暑さ」という一種の苦しみを私たちに与えますが、一方でメロンなどの食物の贈り物もしてくれます。使える身としながらも、決してマイナス思考ではない、自然が分け与えてくれる恵みを短い詩のなかですがすがしく謡っていいるように感じるのです。

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