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【俳句鑑賞】春尽きて山みな甲斐に走りけり 普羅

時期、まさに晩春。あと1週間ばかりで暦の上での「夏」が始まる。晩春のこの時期、夏にむけたワクワク感で心も体も満たされている幸せを感じる。

前田普羅(まえだふら)。1884年(明治17年)4月18日 - 1954年(昭和29年)8月8日)は、俳人。高浜虚子に師事。「辛夷」主宰。本名は忠吉(ちゅうきち)。別号に清浄観子。(以上Wikipediaより)

俳句には山岳俳句というものがあり、これは登山しながら俳句を詠んだり、単純に自然の雄大さを詠んだりとするもののようだ。前田普羅はこの山岳俳句の第一人者とのこと。

「山みな甲斐に走りけり」という山を擬人化し、甲斐に走ると表現したスケールの大きさに魅かれた。春の季語で「山笑う」というものがある。春の山を表わした季語なのだが、笑っていた穏やかな山々が、春が終わるとともに甲斐に走っていたのはどうしてなのか。。。

もしくは、甲斐の山に登ると、日本中から山が集まったように、青く輝く山脈の連なりが視界いっぱいに広がったのだろうか。

季節で、その表情が変わる山と向き合いに行きたい俳句だ。

・指輪の跡消えるまで待つ春の果て masajyo

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