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原田 透
2020年1月14日 23:16
「わたしには夢があります」と、彼らは言う。「わたしには夢がありません」と、わたしは言う。朝は6時半に起きる。白米と味噌汁と、それから小粒の納豆。いわゆる満員電車に乗る毎日。横から飛んでくる誰かの罵倒。改札前はいつも、どこにSuicaを入れたか忘れてまごつく。朝から晩まで、0と1の世界に潜り込んで、夜になったらまた元の世界に戻る。木々が生い茂るところ。塩がしょっぱいところ。海が
2020年1月13日 22:52
18時8分発、JR東海道新幹線のぞみ248号、東京行。12番線はいつもと同じ人混みで、いつもと同じシナモンの香りがする。電車は電光石火のように素早くやってきて、1分も経たないうちにわたしたちを乗せて走り出す。最後に京都タワーを拝む暇もなく、気がつけば岐阜羽島を過ぎている。車内は結局静かで、世界はわたしを置いていく。それとも、置いていったのはわたしかな。後悔かな、諦めかな。速