107. "創作"は組合わせと順序、そして思想に宿る|Moromi Works™️
1|新しいものとはなんだ?
"誰も観たことのないショーを創りたい"
こう考えないショークリエイターはいないでしょう。
誰もが一度は通るであろうこのテーマについて、一考を記してみます。
先に結論を述べます。
"誰もみたことのないショーを創ることは、ほぼ不可能だろう"
「え?そんなこと言っちゃうの?」
という方は多いと思います。
なぜそう言えるのか、洋服を例に記します。
2|服を例に考えよう
「誰もみたことのない服を創ろう」
とすると、大きく2つの選択肢が生まれます。
(1)服という機能から離れる
(2)服という機能を残す
(1)洋という機能から離れる
この択肢は、賛否を巻き起こすでしょうが、もはや洋服とは呼べないものになってしまう可能性が出てきます。極端な例を挙げると、ヨーロッパのコレクションでたまにみられる、布をまとっているだけのようにな半裸にも映るものなどです。正確には、デザイナーの思想を服で表現したものをコレクションとして発表しているものなので、背景の思想まで含めてみないと、理解が難しいです。
(2)服という機能を残す
服という「ある種、完成された/普遍的な機能を変化させない」ということになるため、「誰もみたことのない洋服を創る」ことにはならない。
では、「誰もみたことのない服は創れないのか?」
できます。
ポイントは、"全くあたらしいもの"に拘らないことです。
① 洋服という機能は残しながら
② 現在、余りみられない「組み合わせ」や「アイデア」で
③ その服を創る理由(思想)
の元に、「現在なら新鮮に感じられる服を創る」なら、手の届く範囲で創作できるでしょう。
分かってきましたか?
"誰も観たことのないものを創りたい"
という言葉の正体が。
3|黒の衝撃:COMME des GARÇONS
ヨーロッパのオートクチュールの世界において、「黒」の衣装はタブーとされていました。ファッション業界で好まれて黒を使うことはなかったのです。
1980年代にフランスメゾン界で、
- 「COMME des GARÇONS(コム・デ・ギャルソン)」(川久保玲)
- 「ヨウジヤマモト」(山本耀司)
によって、センセーショナルなコレクションが発表されました。
それまでタブー視されていた「黒」を使ったコレクションだったのです。
「黒の衝撃」と呼ばれ、ファッション界に賛否を巻き起こしました。
以来、他のブランドでも黒が扱われるようになりました。
私たちが一般的にイメージする「モードの黒」は、2人の日本人デザイナーが起こした革命によって創られたものなのです。
これが私たちのイメージする、
"誰も観たことのないものを創りたい"
という言葉の正体ではないでしょうか。
4|知識がないと始まらない
"誰も観たことのないものを創る"
とは、
① 外し(現在のトレンドから)
② 組み合わせ(アイデア)
③ 構成順序
④ 思想
によって構築されるものだと考えています。
こうした視点をもつためは、最低限の知識/見識が必要です。
(何をもって最低限というかについては言及しません)
知識/見識がないまま取り組むと、どこかでバランスを欠いたものになります。全体としてまとまりのないものになる可能性が高くなります。
どうすればいいの?
好奇心を存分に発揮して、ありとあらゆるものに興味を向けることが出発点だと想います。
"今が一番若く、最高到達地点"
ですから、"今"を更新し続ければいいだけです。
5|THE FOCUS 2024 "colors two"
THE FOCUSのショーをデザインしています。
この記事に記していることは当然に考えながら、ショーをデザインしています。こうした制作者の裏側も含めてショーを観るのも面白と想います。
ぜひ一緒に、ショークリエイトの世界を楽しみましょう!
"今が一番若く、最高到達地点"
107."創作"は組合わせと順序、そして思想に宿る|Moromi Works™️
[Moromi Works™️ ]
- Show Design and Coordinate
- Music Arrangement
- Drill DesignRehearsal Design
- Marching Consultant
沖縄県出身 / 東京在住
好きな食べもの:沖縄そば / タコライス
Blue Devilsでマーチ
多数団体にショウ制作や指導、大会審査員などの活動を行なっている。
Mail:moromi.works@gmail.com
[執筆希望のみなさま]
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⑵ 後日、事務局よりご連絡致します。。
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