マガジンのカバー画像

わが家の風景

26
夫が1人と子どもが2人います。幼児と乳児と大人2人の家族の風景です。
運営しているクリエイター

#家族の風景

ぞうさんとゆでたまご

鍋を火からおろして、流しに持っていく。
蛇口をひねると、あまり冷たくはない水が勢いよく飛び出してくる。
卵を回して水を行き渡らせてから、ひとつとって調理台に打ち付ける。思い切りよく、しっかりヒビが入るように気を付けながら。

ゆで卵をよく作るようになった。
一人暮らしをしていた頃から料理は好きで自炊していたけれど、卵料理はなぜか苦手だった。卵焼きは作ることができるのに、スクランブルエッグはフライパ

もっとみる
味噌汁のある風景

味噌汁のある風景

土井善晴さんが好きだ。
あの柔らかながら、ピリッとしたところもある関西弁。それから、料理番組って丁寧に作業をするので世の主婦は「美味しそうだけど、作るの面倒」ってなりがちなところを、「お母さん、適当でいいんですよ」とやってくれるところ。
実際、わたしはこの土井さんの「一汁一菜」に助けられている。

主婦になって気づいたのだけれど、わたしは給食のような献立を作りがちだ。
主食があって、主菜、副菜、場

もっとみる
シーツを洗わない週末

シーツを洗わない週末

赤ちゃんの朝は早い。

5時ごろにはフンフン言い始めるのを、何とかなだめすかして布団に引きずり込むこと数十分。
朝寝坊は夜間授乳の報酬だと信じているので、布団の中でぐずぐずしていると、夫が根負けして布団を出て行く。息子を小脇に抱えて。

「助かった!」

と、寝返りを打ったその手に、冷たいもの。
シーツにはドッヂボールくらいのシミ。ついついため息が出てしまう。
ーーまたかね…

ここのところ、息子

もっとみる
かたくてすっぱくておいしい

かたくてすっぱくておいしい

朝、カーテンを開けて娘が感嘆の声をあげた。

「ママ!いっぱい赤くなってる!5個だよ!5個赤くなってる!!」

語尾にいっぱいビックリマークをつけながら、娘は興奮しながら小さな庭を指差す。
まだ言葉を理解できていない息子も、娘の興奮ぶりが気になるのか隣に潜り込んで外を眺めようとしている。

今夏何度かはすでに収穫しているトマト。それでも娘は毎回興奮してくれる。
自分で植えたトマト。
水やりを手伝っ

もっとみる
わたし的四種の神器とポテトサラダ

わたし的四種の神器とポテトサラダ

だいたい2年ほど前、夫が言った。

「食洗機買わない?」

もともと家事・育児はお互いがやるものという合意があったものの、勤務時間の短いわたしが主体となりがちだったけれど、このころのわたしは心が完全にやられていて家事・育児から遠ざかり気味だった。

「もったいなくない?手洗いの方が綺麗になりそうだし、水道代も電気代も上がっちゃうよ」
と否定的な意見を述べたわたしに、夫は「食器洗いは俺の仕事になりが

もっとみる
言葉の威力に完敗だった

言葉の威力に完敗だった

そろそろ第2子が1歳を迎えるので、職場復帰が決まった。
通常時から「家庭保育できる日は預けない」という決まりごとはあるのだけれど、コロナ禍でルールの厳守を求めるメールが来ている。
わたし自身としても、保育園などでのクラスター発生というニュースも目にし、仕事さえなければ家でみることに異論はない。

ただ。

コロナで登園できなくなってから、ずっと我慢し通しの娘に何かねぎらう時間を作ってあげたい。

もっとみる

今年も春がたくさん見つかった、これが当たり前でありますように。

突然だが、わたしは千昌夫の「北国の春」が好きだ。

白樺 青空 南風
こぶし咲くあの丘 北国の
ああ 北国の春

出だしだけで、色めき立つ季節を感じる。
まだ冷たさの残る、それでも胸を刺すようなトゲはない、初春の空気を吸った気がする。

それから、「早春賦」も好きだ。

春は名のみの 風の寒さや

という、これも出だしだけでその季節を感じることができてしまう。
冷たく、それでもなんとなくやわらかな

もっとみる

イヤイヤの後ろ姿

イヤイヤ期とか、魔の3歳児とか、色々な呼び方はあるけれど、2〜3歳前後の子どもは本当にパワフルだ。
中高生くらいのころのことを「反抗期」と呼んだりするけれど、この2〜3歳ごろは「第一次反抗期」と言うらしい。

娘は赤ちゃんの頃から主張の強い方で、私の記憶の中の赤ちゃん時代の娘はほとんど泣いている。
里帰りしていた実家から自宅に帰るとすぐにコリックが始まり、後追いも他のお友達よりも早くからあった。

もっとみる

ついに夜泣きが始まった

娘が赤ちゃんの頃は、必死で必死で、目の前の5センチ位しか見えないような視野の狭さで育児をしていた。
いい育児グッズ、あらゆる人的サポート、レトルトの活用、ミルク育児。
すべて、それを利用することは自分に「ダメ母」のレッテルを貼る行為だと思い込んでいた。

当たり前だけれど、母親一人で育児を全てする必要なんてない。
もし一人でするなら、適度に手抜きをするのは怠けではないはずだ。
一時保育、ベビーシッ

もっとみる

2度目の離乳食はわりと楽しい

茹でる、つぶす、裏ごしする
専用の容器に小分けにして冷凍保存
1回分ずつ解凍
器に入れて息子の前に置く
息子の笑顔
パクリ
ちょっとタイミングが合わない
パクリ
顎の肉を持ち上げてみる
嚥下反射はすぐに起きている
パクリパクリパクリ
くちびるの端からこぼれた
スプーンですくうと口を開けて待っている
パクリパクリパクリ
「これで最後だよ」
パクリ
・・・
エプロンを外す
泣き出す息子を椅子から下ろし

もっとみる
子育てのきたところ

子育てのきたところ

年末、4ヶ月健診にいってきた。

この市は集団健診のため、健診の部屋にはすでに30組みほどの親子がいた。
よくよく見ると、当たり前だけれどどの子も違う顔をしていて、こんなに小さいのに本当に個性があるんだなあとしみじみしてしまう。

兄姉を連れてきている親もいたり、夫婦揃っていたり、お母さんとおばあちゃんだったり、来ているメンバーもそれぞれだ。中にはお母さん一人で双子を連れている人もいて、ダメ母のわ

もっとみる
白い部屋で

白い部屋で

なかなかPCに向かう時間が取れなかった。
我が家は乳児と幼児を育てる、4人家族。実家は双方共に遠方。
そんな生活の中、なんと引っ越しを断行してしまった。
師走のそれでなくてもバタバタした季節、それでなくてもバタバタした乳児育児中、荷物をまとめて2週間でお引越し。
無謀だと思ったけれど、やってみればできるもので、なんとか生活は継続できている。

思えば、前の部屋はオレンジ色だった。
わたしたち夫婦が

もっとみる
寒い朝

寒い朝

息子が熱を出した。
夜中に授乳で起き、母乳を飲む口の中が異様に熱くて気づいた。
まだ3ヶ月。こんなに早く風邪を引かせてしまうなんて、自分いたらさなさにうんざりする。
鼻の調子が悪いのでぐずぐずと眠れない息子を抱いて、リビングをうろつく。そういえば、娘が赤ちゃんの頃にもこんな風に抱っこしたっけ。
なかなか眠らない息子のぐずり声と、寝かしつけるわたしの声を気にして、夫が起きてきて抱っこを代わってくれた

もっとみる