今年も春がたくさん見つかった、これが当たり前でありますように。

突然だが、わたしは千昌夫の「北国の春」が好きだ。

白樺 青空 南風
こぶし咲くあの丘 北国の
ああ 北国の春

出だしだけで、色めき立つ季節を感じる。
まだ冷たさの残る、それでも胸を刺すようなトゲはない、初春の空気を吸った気がする。

それから、「早春賦」も好きだ。

春は名のみの 風の寒さや

という、これも出だしだけでその季節を感じることができてしまう。
冷たく、それでもなんとなくやわらかな春風に、頬を撫でられた気がする。
そして、三番が特に好きだ。

春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の想いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か

わたしは秋や冬など、乾いていて静かな季節が好きなのだけれど、
確かに春の気配を感じると、なんだかソワソワしてしまう。

じんちょうげが咲いた!
たんぽぽだ!
桜の蕾が赤くなってきたね!
カエルがいたよー

息子を抱き、娘と手を繋いで春を見つけるのは楽しい。
今年は抱かれている息子も、きっと来年は一緒に探してくれるかも知れない。
それを想像するのも楽しい。


2月の終わりに、こぶしの蕾を見つけた。
冒頭の「北国の春」を口ずさみ、お仕事でよく歌うんだよ、と娘に教えた。
わたしの仕事は高齢者を相手にするため、だんだんと覚えた。
「早春賦」も同じで、仕事をしながら高齢者と楽しめる曲として学んだ。
産前休暇からまもなく10ヶ月。
毎年一緒に歌った面々を思い出しながら、今年は娘と歌っている。

そういえば、まだまだ寒い頃に娘とケーキ屋さんへ出掛けた時に見つけた木蓮の蕾。
今年はもう散ってしまったに違いない。
子どもを連れて外出することが、色々な理由で不安になってしまった。
うつることも、うつすことも、やたらに神経質になる自分にも疲れて、外出がこわい。
早くこの息苦しい毎日が過ぎてくれますように。
そして、来年はそんなこともあったねと、笑いながら春を迎えられますように。

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