ブルネイ編(前編)-本当の自由を手に入れたいならユニークネスを目指すべき
こちらのnoteは「mameka記」シリーズになります。
「じゃあ、ブルネイ国際空港で待ってるね。車で送ってくよ」
友人からLINEメッセージが届いた。これから向かうのは、ブルネイダルサラームの首都、バンダルスリブガワンだ。
友人の名前はJ。ブルネイ大学(日本でいう東大)を首席で卒業した秀才だ。彼が日本に留学しにきた時に、日本語や日本文化についていろいろ話した。彼は、頭脳明晰なので、日本語の上達もかなり速かった。
ブルネイは、石油や天然ガスがとれる豊かな国だ。国民の税金負担はなく、医療や教育もタダで受けられるとJから教えてもらった。
「今回は、わざわざ、来てくれてありがとう。友人も日本人に会いたいっていうから連れてきたよ」
5人で卓を囲んだ。みんな、公務員や教師をしている。ブルネイの人たちは国が職業を用意してくれ、そのほとんどが公務員になるとのことだ。
「僕が日本にいたとき、美味しい日本食屋があるって言っただろ。今回はそこに連れてきたよ」
日本で食べる食事と大きな差はなく、普通に美味しかった。そして、デザートには、ココナッツの実に入ったココナッツプリンがとても美味しかった。
「ココナッツはどの家庭でもとれるから、こんなの普通だよ(笑)」
Jの友人、Fが話しかけてくれた。
「そういえば、この前、会合に呼んでもらって、総理のA夫人といろいろ話したよ。フランクでとても面白い人だったよ」
Fは、公務員で、日本に精通しているみたいだ。その専門性から、日本に関係するいろんな会合に呼ばれているらしい。
「きっかけは、趣味の剣道だね。どっぷりハマりすぎて、日本で学ぼうと思った。剣道を通じて、いろんな人と仲良くなって定期的に連絡したりしているかな。日本の政治家とかも友達にたくさんいるよ」
「mameka、そろそろうちに戻ろう。明日は、朝早くから森林ツアーだよ」
Jの車に皆で乗った。車内では、私に気を使って英語で話しているのかと思った。
聞くところによると、ブルネイでは、マレー語を話すが、英語でも普段会話をするらしい。「クラスであの子がワンパクで」といったごくごく普通の話だ。私が自転車が好きというと、
「バンダル(ブルネイの首都)では、自転車がとても流行っていて、週末には、歩行者天国の状態で、国民みんなでサイクリングをするんだよ」
「とても健康的だね」といった会話をした。
家に帰ると、Jの家では中国語で会話をしている。今回泊めてもらうため挨拶をしたが、どうやら、家族は英語は苦手とのこと。その日はすぐに寝た。
朝早くに起き、Jの車に乗って、川辺に向かった。
「それでは、森林ツアーを始めます。グループに分けます」
私たちのグループには、オーストラリア家族、ドイツ人家族とイギリス人の女の子がいた。それぞれ、ボートに乗る。
「今回は旅行?」人当たりの良いドイツ人夫妻が話しかけてくれた。
友人に会いに来ようと思ったということを伝えた。すると、寡黙だったとてもダンディなお父さんが口を開いた。
「そうか、僕は元々パイロットをしていたんだけどね、あまりにも仕事が忙しくて辞めようと思ったんだ。スチュワーデスをしていた妻とはそこで会ったんだ。縁あって、国王に仕えてパイロットをしている。家族との時間もとれて幸せだよ。あと、他にも駐在している家族がいるから子供たちに寂しい思いをさせていないと思っているよ」
「代えが効かないスキルというのは、人生において目指すべき姿だ。希少価値が高ければ高いほど自由な人生を送ることができる。パイロットをやっていて本当に良かったよ」
旅は面白い。普段話さないようなことも、さらっと話せて、いろんな人生に触れることができる。
ボートが島に到着した。熱帯気候のため、辺り一面が緑で生い茂っている。
皆で一緒にご飯を食べることになった。そこで、オーストラリアの子と話した。
「僕は、お父さんの仕事でいろんな海外を回っているけどさ、仲の良い友達ができなくて困ってるよ、大人からすると、数歳差なんてどうってことないだろって思ってるけど、実際、全然話合わないし。そういえば、mamekaは日本出身だっけ?僕の楽しみは、“寿司”だよ。寿司は大発明だね。今日も親に連れていってもらうんだ」
中学生くらいだろうか?彼なりに悩みを抱えているのだろうと思った。
しかし、歳のわりにはとても考えが自立していて、ハッと気づかされることも多かった。
ツアー中に、透き通った川に足をつけてみると自然のドクターフィッシュが寄ってきた。
とてものどかで自由でいられる。都会の喧騒とは真逆だ。誰にも触れられていない自然を感じる。名残惜しいが、ツアーが終わり、帰りのボートに乗った。
「あなた、旅行で来たの?珍しいわね」
イギリス人の女の子に話しかけられた。ツアー中、家族の長女かと思ったが1人で来ていたらしい。実際は、自分より大分年上だということがわかった。
「明日まで、この国にいるから、もしかしたらまた会うかもね」
(つづく)
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