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2022年5月に読んだ小説TOP5

こんにちは。
2022年から読書(主に小説)にはまり、最近もずっと本ばかり読んでいます。

5月は面白い本に沢山出会えました。
読了は15冊。
その中から、厳選して特におすすめの5冊を紹介します。

ちなみに私が5月に読んだ本はこちらです。↓

ブクログ本棚

それでは、この中からTOP5を紹介していきます。

1. 永井みみ「ミシンと金魚」

第45回すばる文学賞受賞作です。
認知症の高齢女性の一人称で語られる小説。

著者の永井みみさんは、本作がデビュー作で、ケアマネージャーとして働きながら執筆したそうです。

あらすじ

「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らす認知症を患うカケイ。今までの人生しあわせだったかと、みっちゃんの一人から尋ねられ…。暴力と愛情、諦念と悔悟。絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。

感想

認知症のおばあさん視点で描かれた小説で、認知症の方の思考が知れて面白かった!傑作だと思います!!

認知症のカケイさんは、デイサービスの介護士さんの区別がつかず、全員「みっちゃん」と呼んでいます。
前半は、「みっちゃんの笑顔は貧乏人の笑顔だ。かあいそう」と思っていたり、デイサービスで出るとろみのついたご飯を「腐っている」と思っていたり、思わず笑ってしまうようなエピソードが多いです。

しかし後半は、「本物のみっちゃん」を思い出し、カケイさんの壮絶な人生が描かれています。

死期が近づくカケイさんが、壮絶な人生を振り返って最後に何を思うのか。

印象に残ったセリフはこちら。

「わるいことがおこっても、なんかしらいいことがかならず、ある。
おなし分量、かならず、ある。」

「ミシンと金魚」

144ページの本で比較的短めなので読みやすいです。
前半と後半で2日にかけて一気読みでした。

私は認知症の方の視点で描かれた本は初めて読んだので、新たな視点をくれる本でした。


2. 朝倉秋成「俺ではない炎上」

六人の嘘つきな大学生」で大注目の朝倉秋成さんの最新刊です!
今回も面白すぎて一気読みでした!

あらすじ

ある日突然、SNSで「女子大生殺害犯」に仕立てられた住宅会社営業部長の泰介。ほんの数時間にして日本中の人間が敵となり、必死の逃亡を続ける泰介が辿り着いた驚くべき真相とは…。書き下ろしミステリー。

感想

六人の嘘つきな大学生」の時も続きが気になりすぎて一気読みでしたが、今回もまさにそうでした!

身に覚えのないツイッターの投稿で、犯人ではないのに犯人扱いされてしまった主人公は、このまま警察に行っても信じてもらえないと思い、とにかく逃げます。
主人公が逃げる、警察が捜査する、大学生たちが追いかける…と視点が変わり、ハラハラしながら続きが気になりすぎて一気読み。

終盤で、「え??どゆこと??」ってなります。それでもう一度読み返しました。
ミスリードがさすがすぎる。

自分の行動を思わず振り返ってしまう、ドキリとさせられるメッセージ性もあります。
辻村深月さんの作品、特に「噛みあわない会話と、ある過去について」や「闇祓」「琥珀の夏」などが好きな人にもおすすめです!

「六人の嘘つきな大学生」は、Amazon Audible(オーディブル)版もあります。オーディブルとは、聴く読書サービスです。月額1500円で対象作品が聴き放題ですが、30日間は無料で聴くことができます。


3. 角田光代「タラント」

角田光代さんの今年2月に出た新刊です。
長編で、とても読み応えのある本でした!

あらすじ

周囲の人々が“意義ある仕事”に邁進する中、心に深傷を負い、無気力な中年になったみのり。不登校の甥の手で、心にふたをした義足の祖父の過去が繙かれるとき、みのりの心は…。『読売新聞』連載に加筆修正し単行本化。

感想

最初の方は、正直なかなか読み進められなかった本でした。
でも中盤くらいから面白くなってきて、読むのが止まらなくなりました。

戦争、パラリンピック、ボランティア、不登校、震災、難民…と様々な要素が出てくるけれど、
ボランティアや途上国支援に対する違和感や葛藤、
才能や使命感(タラント)に満ち溢れた行動力のある友達が、どんどん遠くへ行ってしまう感じ、劣等感、
主人公のなんにもやる気がなくなってしまう気持ちなどが細かく書かれていて、わかるなぁと思いました。

特に好きな箇所は、中盤に出てくる主人公が経験した海外での話。
西加奈子さんの「サラバ!」を読んだ時もエジプトでの話が好きだったけど、日本人視点での海外での体験記みたいな話がとても興味深いし、ショックを受けたり、なぜショックを受けるのかを主人公が考えたりするところがとても面白かった。

あと、各章の最後に必ず出てくる、おじいちゃんの回想記も読むのが楽しみでした。戦争、戦後の話で壮絶なパートだけど、どうしても読んでしまうという感じ。

「誰しもが何かしらのタラントを持っている」と主人公が気づくところで、私も大それたタラントはないけど、こうやって色んな本を熱中して読んでいるのもタラントなんだなぁと少し嬉しく思えました。

最初の方で挫折しかけたけど、全部読めて本当に良かったなと思う本です。
実は角田光代さんはこの本で初めて読みました。他の本も是非読んでみたいと思います。


4. ミン・ジヒョン「僕の狂ったフェミ彼女」

SNSで話題の韓国の小説で、日本語訳版が2022年3月に出ました!
韓国では「『猟奇的な彼女』のフェミニスト版」と言われ、ドラマ化・映画化が決定しているそうです。

あらすじ

初恋の人がフェミニストになった!?「愛」も「権利」もゆずれない、2人の戦争のような恋愛が始まる。主人公「僕」の視点で描かれる、フェミニストの彼女の姿。そこには、今を生きる私たちの「現実」が詰まっている――。

感想

まさに「猟奇的な彼女」の現代版(フェミニスト版)って感じで面白かったです!
読みやすくて2日間くらいで一気読みしました。

優しい彼氏なんだけど、事あるごとにフェミニスト彼女の地雷を踏んでいくのが面白い。笑

韓国の話だけど、日本人でも共感してしまう部分は多いです。
30代女性の私から見て、アラサーの生きづらさは解像度高いなと思いました。

韓国人の友達からたまに聞く話や、「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んで、女性の生きづらさや、子育てと仕事の両立の難しさなどは日本以上だと思うけれど、韓国の女性たちが声を上げるのも日本以上だと感じるので、これは現代版の「猟奇的な彼女」だなと思いました。

「82年生まれ、キム・ジヨン」ほど暗くなく、韓国映画の雰囲気も楽しめるので、韓国映画好きな人や「猟奇的な彼女」が好きだった人にもおすすめです。


5. 篠原悠希「後宮に星は宿る 金椛国春秋」

金椛国春秋シリーズの第1作目。
帯には「今、売れに売れている中華ファンタジー!」と書かれていました。

あらすじ

金椛帝国の名門・星家は皇帝崩御に伴い、一族すべての殉死が決定。 体の弱い星家の御曹司である遊圭もその対象になったが、からくも逃げ延びた。 しかし、その身は追われることとなり…?

感想

「金椛(ジンファ)」という架空の王朝を舞台にしたお話で、SF的なファンタジーではないので、ファンタジー苦手な私でも楽しめました。

ジンファ帝国の法律では、皇后の一族は、皇后本人を除いて全員殉死することになっているのですが、主人公の叔母が皇后になってしまい、一族は殉死することが決定してしまいます。
主人公(10代前半の男子)はなんとか逃げて、後宮(日本でいう大奥みたいなところ)に女装をして身を隠す…というお話です。

少し、「薬屋のひとりごと」と雰囲気が似てます。
でも、主人公が男の子で女装してバレないようにしているところが違います。ハラハラドキドキです。

中国の後宮用語が読み慣れなくて少し難しいけれど、ラノベっぽさもあり、内容は面白いです。
シリーズ物なので続きを読むのも楽しみです。

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