小西優司

劇団月とスカレッタ/スカレッティーナ演劇研究所の主宰で演劇が仕事。理屈っぽいけど、自分…

小西優司

劇団月とスカレッタ/スカレッティーナ演劇研究所の主宰で演劇が仕事。理屈っぽいけど、自分の仕事は感覚派。求道者。

記事一覧

9月朗読会 出演者変更

小西優司プロデュース朗読公演 「裏垢~匿名世界の恋愛~」 作・演出 小西優司 *出演* 華奈 *日替わり出演* 小西優司 長田大史(劇団ムツキカ) フジタタイセイ(劇団…

小西優司
2年前
2

9月朗読会

9月に朗読会をしようと思うんです。 研究所や劇団とは関係なくプロデュースという形で。 いま、お芝居の公演をどうやってやるか、安全か、感染対策はどうするか、出演者の…

小西優司
2年前
1

例えば「鎌田」の必要性について

サッカーの五輪代表は銅メダルも叶わず、4位に終わった。言い方は悪いが予想通りだった。なぜ、4位に終わったのか?一つは自国開催のために予選ラウンドから「負けられなか…

小西優司
2年前
1

ワインと小説 ④

あなたのいないこの部屋に、冬が来るのを僕は恐れています。 彼から来た手紙の最後の一行は、こう記されていた。 私たちが別れたのは、ほんの数日前だ。それは長すぎた春…

小西優司
4年前
7

ワインと小説 ③

よく晴れた夏の日だった。いや、晩夏と言った方がいいだろう。 名前も知らない町の外れにあるバス停で真夜中、黄色いバスがくるのを待っていた。満天の星空には白鳥とアル…

小西優司
4年前
2

ワインと小説 ②

これはまだ、私が若かった頃の話だ。 あの夏、東京はいつもの年をはるかに超えて暑かった。私は当初、鎌倉あたりの海の家にひと夏、アルバイトに行くつもりだった。 ところ…

小西優司
4年前
7

ワインと小説 ①

あの古い木造校舎は、もう取り壊されてしまったという。  十五年も前の話だ。  私は長野県にある過疎といってもいいほどの小さな村の小さな小学校に通っていた。同級生…

小西優司
4年前
8

未来じゃなくて「続き」を

生まれる直前と直後にオイルショックがあった。知らなかったし、歴史の教科書で習ったくらいの知識しかない。 バブルが崩壊した。実感がない。知らないと言ってもいい。 …

小西優司
4年前
3

演劇に出来る事、じゃないのよ

本当に残念なんだけど、どこにも寄付が出来ない。演劇で莫大に稼いでないから。演劇で生活しか出来てないから。演劇をしてるだけだから。芸術家だけでなく、富裕層の多くは…

小西優司
4年前
6

朗読への想い

日本語は字で読むと意味が分かるという世界でもかなり稀な言語である と、思ってる それはもう、幼い頃から読書しまくった僕としては、読めば読むだけ意味がわかって来た…

小西優司
4年前
9

朗読とは何か?

朗読会やるわけです、はい。朗読ってなんだろうなっていつも思ってるし、ここんとこライフワークでした。でも、いまはハッキリと思ってる事があって。 1つは 作家と向き…

小西優司
4年前
2

『温室の前』

彼らに『ワーニャ伯父さん』はまだ早いから、それに似た何かでもっとコンパクトにもっとマニアックなもので「舞台演劇における‘足と手’だけ教えよう」と思って稽古をスタ…

小西優司
4年前
3

稽古終わって、思う事

『リアリティが先か、物語が先か』② どっちだろうね。僕は物語なんてものはお金を出す側がその把握のために便宜上、作り出した概念だと思ってる。それ以上でもそれ以下で…

小西優司
4年前
3

頭の中を曝け出す、色々

『リアリティが先か、物語が先か』① 19歳で演劇養成所なるものに入った 高校を卒業してイタリアへ留学して帰国して その時は「上手い=リアリティ」だとボンヤリとだけど…

小西優司
4年前
2

自由

我がハム2が終わった。もちろん沢山の方に感謝している。でも、ここにそんな事を書くつもりはないから思ってる事だけ、書く。「自由」についてだ。特に演じる自由について…

小西優司
4年前
5
9月朗読会 出演者変更

9月朗読会 出演者変更

小西優司プロデュース朗読公演
「裏垢~匿名世界の恋愛~」
作・演出 小西優司

*出演*
華奈
*日替わり出演*
小西優司
長田大史(劇団ムツキカ)
フジタタイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会)
坂口裕哉(スカレッティーナ演劇研究所)
水内清光(賢プロダクション)

*タイムテーブル*
2021年9月17日(金)~18日(土)
17日(金)
15時30分【小西優司】
18時30分【長田大史】
18日(

もっとみる
9月朗読会

9月朗読会

9月に朗読会をしようと思うんです。
研究所や劇団とは関係なくプロデュースという形で。
いま、お芝居の公演をどうやってやるか、安全か、感染対策はどうするか、出演者のモチベーションは?お客様は何を観たいか…色んなことを考えていく中で、朗読会は僕にとって「お客様の脳内映画館で上演される」事を旨として、技術と個性と芸術性で「読める」人を集め、作品を執筆し、シンプルでスタイリッシュな演出を心がけ、静かにお客

もっとみる

例えば「鎌田」の必要性について

サッカーの五輪代表は銅メダルも叶わず、4位に終わった。言い方は悪いが予想通りだった。なぜ、4位に終わったのか?一つは自国開催のために予選ラウンドから「負けられなかった」からだと思う。個人的な見解を述べれば(昔のブログによく書いたが)予選なんてものは突破すれば良いのだ、ただそれだけだ。一勝一敗一分けでも、一勝二分けでも、なんでもいい。突破すればいい、のに、三勝してしまった。それが。決勝トーナメントの

もっとみる

ワインと小説 ④

あなたのいないこの部屋に、冬が来るのを僕は恐れています。

彼から来た手紙の最後の一行は、こう記されていた。
私たちが別れたのは、ほんの数日前だ。それは長すぎた春に終止符を打つ、というような現実的なものでは決してなかったし、かといって別の恋が生まれたからというような情熱的な理由でもなかった。私はこれまで務めていたデザイン事務所を退社して、本格的に絵の勉強をするためにイタリアへ渡る決心をした。
彼は

もっとみる
ワインと小説 ③

ワインと小説 ③

よく晴れた夏の日だった。いや、晩夏と言った方がいいだろう。

名前も知らない町の外れにあるバス停で真夜中、黄色いバスがくるのを待っていた。満天の星空には白鳥とアルタイルが今にもこちらに飛んできそうなくらいはっきりと見えた。
気がつくとバスは目の前に停車していた。運転手は柔らかなまき毛の初老の男で、鼈甲の縁のメガネをかけていた。ドアの前につっ立ったままの僕を見ると、しゃがれた声でこう聞いた。
「どこ

もっとみる
ワインと小説 ②

ワインと小説 ②

これはまだ、私が若かった頃の話だ。
あの夏、東京はいつもの年をはるかに超えて暑かった。私は当初、鎌倉あたりの海の家にひと夏、アルバイトに行くつもりだった。
ところが、夏休みに入る直前に叔母から一本の電話があった。
知人の教師がお目出度で、夏の間、その教師の登校日を代わりに担当してくれないかと。当時の私は、出来たばかりのスイミングスクールのコーチをしながら、中学の教師になるための勉強に日々を追われて

もっとみる
ワインと小説 ①

ワインと小説 ①

あの古い木造校舎は、もう取り壊されてしまったという。

 十五年も前の話だ。

 私は長野県にある過疎といってもいいほどの小さな村の小さな小学校に通っていた。同級生と呼べる人も少なく、同じ教室の中に三学年の生徒が合計で十人ほど一緒に授業を受けていた。冬には暖房が入れられていたが、夏場には扇風機とは名ばかりの、その機械の周りに先生も生徒も一緒になって集まり、下敷きや団扇で自分たちを仰ぎながら先生の話

もっとみる

未来じゃなくて「続き」を

生まれる直前と直後にオイルショックがあった。知らなかったし、歴史の教科書で習ったくらいの知識しかない。

バブルが崩壊した。実感がない。知らないと言ってもいい。

阪神淡路大震災があった。1995年で高校生だった。京都は多くの被害があったわけではないが映像にも聞き及んだ多くの話にも愕然とさせられ続けた。無力であることさえ感じなかった。

リーマンショックが起きた。結婚して間もなかったけれど、生活が

もっとみる
演劇に出来る事、じゃないのよ

演劇に出来る事、じゃないのよ

本当に残念なんだけど、どこにも寄付が出来ない。演劇で莫大に稼いでないから。演劇で生活しか出来てないから。演劇をしてるだけだから。芸術家だけでなく、富裕層の多くは国難の時に寄付しなきゃいけないと思ってるんです。じゃないなら医療関係の人のために働くか、もう働かないか(出歩かないってことね)だと思うんです。まぁ、医療関係じゃなくても、手が足りてなくて、人が必要で、長時間にならない仕事か、子供達のためにで

もっとみる

朗読への想い

日本語は字で読むと意味が分かるという世界でもかなり稀な言語である

と、思ってる
それはもう、幼い頃から読書しまくった僕としては、読めば読むだけ意味がわかって来たのだから、誰が否定しようが一切の相手をする必要もないほど真実であり、それがために日本人の「読解力」は世界でも有数の後進国だと感じている

いまここに挙げた「読解力」とは何が書かれているか分かる力のことじゃない、なぜ書かれたか分かる力の事だ

もっとみる

朗読とは何か?

朗読会やるわけです、はい。朗読ってなんだろうなっていつも思ってるし、ここんとこライフワークでした。でも、いまはハッキリと思ってる事があって。

1つは

作家と向き合うチカラ、です。はい。これなしに朗読なんか出来ない。文章を綺麗に読むだけなら誰でも出来るんです。でも書いた人(作家)の意に沿うように読むのは骨が折れる。つまり役作りです。

もう1つは

自分と向き合うチカラ、です。はい。コレニツキマ

もっとみる

『温室の前』

彼らに『ワーニャ伯父さん』はまだ早いから、それに似た何かでもっとコンパクトにもっとマニアックなもので「舞台演劇における‘足と手’だけ教えよう」と思って稽古をスタートした

先ず

台詞を工夫する役者が大嫌いなのです。要は「言い方」で何とかしようとする役者が。下品だし中身がないし、その姿勢ではメッキしか身に付かない。つまり本物に近道はないので、台詞をガチャガチャやって来ることはそもそも全否定した。

もっとみる

稽古終わって、思う事

『リアリティが先か、物語が先か』②

どっちだろうね。僕は物語なんてものはお金を出す側がその把握のために便宜上、作り出した概念だと思ってる。それ以上でもそれ以下でもない。ザッツオール。要は(要はって言うのって本当は良くないと思う)人間が大事だと思う。人間が原因で人間が結果で人間がプロセスでないと意味がないと思う。でも、お客様に伝わるのが「物語」だからみんな物語を工夫しちゃうんだよね。つまらん。ハリ

もっとみる

頭の中を曝け出す、色々

『リアリティが先か、物語が先か』①

19歳で演劇養成所なるものに入った
高校を卒業してイタリアへ留学して帰国して
その時は「上手い=リアリティ」だとボンヤリとだけど思ってた
もちろんメソッドとか知らなかったし、稽古したら上手くなるもんだと盲信してた
*盲信する事は或いは一つの才能だという事実は置いておく

演技力というものについて書こうと思う
演技力とはなにか?
表現力とはなにか?
魅力と個性と

もっとみる

自由

我がハム2が終わった。もちろん沢山の方に感謝している。でも、ここにそんな事を書くつもりはないから思ってる事だけ、書く。「自由」についてだ。特に演じる自由について。演じることについてはいくつかの段階が存在する。特に「人前で金銭の授受が発生している中で演じる」ということについては僕は絶対的にそのラインを守っていたいと思っている。

1.癖を取り除く

2.ただのプレーンな人となる

3.演じるための型

もっとみる