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演劇に出来る事、じゃないのよ

本当に残念なんだけど、どこにも寄付が出来ない。演劇で莫大に稼いでないから。演劇で生活しか出来てないから。演劇をしてるだけだから。芸術家だけでなく、富裕層の多くは国難の時に寄付しなきゃいけないと思ってるんです。じゃないなら医療関係の人のために働くか、もう働かないか(出歩かないってことね)だと思うんです。まぁ、医療関係じゃなくても、手が足りてなくて、人が必要で、長時間にならない仕事か、子供達のためにできる事をしなきゃいけない。いま、SNSに演劇の事はあげてないんです。もちろん、色んなことの準備や、交渉や根回しはそれこそ毎日してるけど、いま本当に必要なことは、必死で誰かを救おうとしてる人の邪魔をしないってこと。彼らにも休息があるよう願うこと、なんなら手伝ってあげられないか考えること。伝染病ってもうどうやってもそんなに簡単に食い止められなくて、それでも生きなきゃいけなくて、お金は必要だって、三重苦どころの騒ぎじゃない。僕らは(いや、この言い方には語弊しかないけど)戦後を生き抜いた人に育てられて、バブルの崩壊、阪神大震災、リーマンショック、東日本大震災を経験はしたけど、ほとんどの場合「当事者」と呼ぶには少し遠いとこにいた訳ですよ。もちろん色んな人と関わって来たし、その中には被災者の方もいたけど、日本中にいた多くの被災者、被害者の方にとって利用するにも値しない影響力と経済力で生きてるのが、ほとんどの芸術家なんです。僕はそれを酷く反省してるわけです。芸術の力で、世界も政治も変えられはしないんです。芸術にできるのは目の前の人の幸せや日常にほんの少し影響を与えていけること、そして、高名で偉大な芸術家になれば政治や宗教や権力に利用されるということ、そしてその中で、それでも世の中にできることというのは「献身」「奉公」「寄付」です。阪神大震災のとき、東日本大震災のとき、沢山の芸能界の方が炊き出しや、イベントに行きましたよね?YOSHIKIさんや、海外の多くのアーティストが寄付してます、配信してます。芸術で稼ぐ人たちの理想はここにあると思うんです。そして、その域に達してないなら先ずは自分の生活をきちんと送ること、この国難の後の準備を怠らないこと、次にこんな事が起きた時には上記の3つのうち、どれか一つでも実行出来る自分になろうとすること、これしかないんです。そして、有権者である限り、選挙に行く事、政権与党を見張る事、野党の怠慢を許さない事、国が国民を助け国民が国を支える事を常に念頭に置き感謝する事、それが有事の際に信頼関係となるのだと信じる事が肝要だと思うわけです。もし、今回の事で国から補償を受けたらそれは必ず国に返さないといけない。税金なんだから僕らに使われて当たり前だけど、感謝して芸術活動して国と国民の皆様に返さないといけない。それが国民としての最低限の活動であり、その中にこそ感動があるべきだと僕は思うんです。

稽古はしたいです。少しずつでも。少しずつだからこそ。東日本大震災の時も泣きながら稽古場行きました。計画停電の中、本番もしました。その時に沢山の方から勇気も貰いました。返さないと、それ。僕が大富豪なら今頃、寄付してます。当たり前ですよ、そんなの。ファンの方のお金で暮らしてるんだから。ファンあっての芸術家なんだから。でも残念ながら、そんなお金ないんです。久しぶりにバイト探しすらしてるんです。やり直すためです。国を糾弾する事はやめないですよ、今後、こんな政権で日本の人が幸せに暮らせるとは全く思えないし、おちおちお芝居なんかしてらんない。野党から立候補して一から正したいくらいです。そして、こういう経験をした僕ら世代の芸術家から政治家になる人が必要です。肌身で感じた人が政策を考える時代が来るんです。その時のためにも、いま、出来る事はしないと。

演劇に出来る事、じゃないんです。

1人の人間として、出来る事。お金稼ぐ事も、権利を主張する事も、自分の生き方を見つめる事も、感染を広げない事も、あらゆる意味で利用され利用する事も、全て含めて今、1人の人間としてできる事を見つめる機会なんです。お芝居したいですよ、そりゃ。でも「お芝居したいです」で生きてきた結果がこの無力さなんだから、なんか変わらないとダメなんですよ。なぜお芝居するのか、それが誰のどんな役に立つのか、その上でこれからはお芝居したい、稽古したい、役者さんを育てたい。国家の子供が国民なんじゃないんです、国民の生み出した子供が国家なんです。僕らが産んで育てたのが、あの、正に無能の極みなんです。変わらなきゃいけないし、変わりたいし、変えようとしないと。

なので。

僕は家族が当たり前の幸せを満喫できるまではお芝居の事は書かないですよ。お芝居しないのでも稽古しないのでもないです。いま、僕がすべき事を済ませて、また演劇に戻って来るんです。

では。

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