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学ばない人達への独り言
もしも誰かに頬を張られたら、あなたはやり返しますか?それとも黙って我慢しますか?仮にやり返そうとして、相手に「お前は暴力を使う権利はないから全てを放棄しなさい」と言われたらどうしますか?隣にいるこの友人は長年お前に苦しめられてきたのだから、その友を守るための暴力は正義である、と言い放つ。私が与えた苦しみとやらを具体的に示すこともなく、友人を長年苦しめてきたとんでもない奴だから俺が守るのは正義だと
もっとみる好きなもの、嫌いなものの独り言
「若い頃はマーラーとか好きだったけどねえ、もう今はしんどいわ。モーツァルトが一番だなあ」と言っていた知人がいた。
〈モーツァルトが一番〉に異論はないが、私には今でもマーラーがベスト・オブ・作曲家だ。人の好みは何故変わっていくのだろう。と同時に私は何故マーラーを嫌いにならないのだろう。先日ふとそんな事を考えた。
大病してから生活のあらゆる嗜好が変わり、食の好みも変化した。見向きもしなかった
とうとうやっちまった、の独り言
最初に申し上げますが、結構下らない話であります。
いつかやるかもしれない、とは思っていたが、とうとうやっちまった。新幹線の座席下に携帯を落としたまま下車してしまったのだ。気づいたのは改札横のコンビニで呑気に缶ビールを買っている最中だった。この手の失敗は、意外でしょうが、滅多にやらない。その日は演奏会を済ませてからの乗車で、そもそも乗るのが遅く、しかも遠距離(約4時間)だった。こんな時は缶ビー
少し世間が落ち着いたので、改めて追悼する独り言
昨年のコロナ騒ぎが始まってすぐに、あの偉大なエンターテイナーが身罷られた。あまりに衝撃的なそのニュースは、多くの方々に無力さと無念さの混じった陰をもたらした。あんなに多くの笑いを届けた天才の最後は、開いた口が塞がらない呆気なさだった。もう一年が過ぎたのにその空虚感は埋まらない。そしてまた一人、長年慕い続けた俳優がこの世を去った。
先に申し上げるが、コロナで亡くなられた方々の悲しみは誰一人変わ
ヴォルフガング、かく語りき⑰
せっせと訪問して、と言いますが、それは無理です。歩いて行くにはどこも遠すぎて、何より泥んこ道なのです。何しろパリときたら、言いようのないくらいぬかるみの街です。・・・ここにいる人でなければ、どんなに嫌な所か信じられないでしょう。パリは変わってしまいました。フランス人はとっくに15年前ほどの礼儀をわきまえていません。今では粗野と言ってもいいくらいで、厭になるほど傲慢です。(1778年5月1日 パリ
もっとみるヴォルフガング、かく語りき⑯
我々の富は僕たちが死ぬと同時に無くなってしまうのだから、金持ちの妻は必要ない訳です。僕たちの富は頭の中にあるのですからね。そしてその富は、僕たちの頭を切り落とさない限り、誰も僕らから奪う事はできません。そして切り落とされたら、その時はもう何も手に入らなくなります。(1778年2月7日 マンハイム)
金持ちの妻はありがたいと思うけどね(笑)。芸術に携わる人間の気概と言うか、最後の砦・・それは自
グスタフの鳥37 《第9番》その4
1877年17歳のマーラーはブルックナーの交響曲第3番の初演を聴き、その翌年この交響曲を4手ピアノ用に編曲し巨匠に献呈している。ブルックナーは「これでシャルクはもうお払い箱だ」と言って喜んだらしい。シャルクとはブルックナーの弟子のヨーゼフ、フランツの兄弟で、ブルックナーを語る時欠かせない存在だ。師匠が謙虚で引っ込み思案なのをいい事に、作品を好き勝手に改悪したという不名誉話がつきまとう二人だが、そ
もっとみるグスタフの鳥36 『第9番』その3
マーラーは続く二つの楽章でこれまでの中間楽章の総括をしているように見える。古くから交響曲に必ず登場する舞踊楽章、その大半がメヌエットだったが時代と共に加速し、快速なメヌエットが増える。続くベートーヴェンはとうとうスケルツォと名を変え急速な音楽を定着させた。(それでも彼の第1番ではぶっ速いのにメヌエットと書かれている。『メヌエット』が交響曲の定型だった証だ。)だがスケルツォが速いテンポの音楽だと決
もっとみるグスタフの鳥35 《第9番》その2
この音楽の始まり方はマーラーの作品の中で唯一無二のものだ。第1楽章の最初の主要主題が登場するまでの6小節は、この楽章を支配する4つの重要な要素が散りばめられるが、彼の音楽の中で最も刹那的だ。この〈刹那的〉という発想は、そのまま新ヴィーン楽派を予見させる。
①チェロとホルンが受け継ぐ不整脈のようなリズム(1~2小節)。セレナーデ風行進曲の4拍子の中で、1小節内に3音を刻むという変則を見せる。一
グスタフの鳥34 《第9番》その1
どの作曲家も晩年の音楽は生涯の集大成と位置付けられる。これは考えてみれば当然だ。楽想は人生の積み重ねを経てより深く高貴になり、それを音符にする手法も卓越してくる。若い頃に傑作を残した作曲家もいるが、その後の作品が演奏されないからと言って駄作だとは限らない。まあ、稀だが。楽聖ベートーヴェンは第9だけでなく《禁断の森》と呼ばれる、安易に立ち入る事を許さない神聖な弦楽四重奏世界を生み出している。いくら
もっとみる地球規模の危機に改めて驚いた独り言
地球表面の70%は海。陸地は30%しかない。その陸地の25%は砂漠で、砂漠化はじわじわ進行している。熱帯雨林の締める割合は陸地のわずか6%で、その6%の中になんと870万種類の生物が生きているという。・・・少し理解が追いつかないのは、その生物の中で確認されているのは175万種。ん?確認されていないのにどうして870万種の生物がいると分かったんだろ?詳しい方ご教授を!・・・未確認の生物はなんと80
もっとみるグスタフの鳥33 人生の最後に何を書くべきか
マーラーの生年は1860年から1911年まで、齢51歳だった。現在の我々から見ればとても短い人生に見えるが、人生の価値を何で測るかはかなり慎重に論じるべき事だろうな。自分がとっくにマーラーより長く生きているのを考えれば、マーラーの短さよりも、何事も成し遂げていない自分の不甲斐なさを嘆きたくなる。トホホな人生なのだ。
つくづく作曲家を目指さなくて良かったと思う。もちろんそんな才能など持っていな