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【BL二次小説(R18)】 共に堕ちて②


「久しぶりだなァ」

「おめさんも元気そうだな」


二人はbarのカウンター席で食事している。



結局、少しペースは狂ったが荒北はあの後順調にメダルを増やした。
本日は13万円勝ちである。

新開は荒北が打ち終わるまでずっと隣の台で閉店までのんびり打っていた。
それでも高設定だったようで、なんだかんだ5万円勝った。


「いやぁ、パチスロなんて初めて打ったよ。半日で5万円も勝てるなんて、やっぱ恐ろしいなギャンブルは」


「6段階の設定ってのがあンだ。低設定ばかり打ってちゃア負ける。だが、高設定なら勝てる。ちゃんと見分けてりゃ負けねェんだヨ」

「見分けられるのかい?」

「外から見てもわからねェ。打ちながら判別すンだ。ただ、闇雲に判別したって金の無駄だ。店によって高設定を入れるパターンの癖があってヨ。それを予想して狙うんだ」

「へぇ。奥が深いんだね」

「一般客は何も考えず適当に座るからな。それじゃ負けて当然なんだ」

「面白い世界だな」

「アア。この世界は実力主義だ。ちゃんと頭を使った奴だけが勝てる。……ただ」

「ただ?」


「規制がしょっちゅう変わるせいで、パチスロも数年前ほどは勝てねェ仕様になってきた。収入がリーマンの給料を下回るようになったら、プロやってる意味もねェ。現にどんどん他のプロは廃業してる。生き残ってる奴ももう僅かだ。パチンコ屋もついに終演の時が来たってことさ。カジノが出来りゃ自然淘汰されるだろうヨ」

「それは……良いことだよな?」

「モチロンだ。パチンコ屋なんて、絶滅すべきだとオレも思ってる。……まァ、パチ屋が消滅したら、次はカジノで稼ぐかなァ」

「ははっ。前向きだなおめさんは」

新開は笑いながらカクテルを呑み干した。



「……ところで、新開」

「ん?」

荒北は運ばれてきたフライドチキンにレモンを振りかけながら、気になっていた事を尋ねた。



「……なんで、あの店にオレが居るってわかった?」


新開はフライドチキンをフォークで突つきながら答える。

「待宮くんに聞いたんだよ。靖友が卒業した後就職もせずにスロプロやってる、って」

「あンのヤロ……!なんでもかんでもベラッベラ……てか、まさか何店も捜し回ったのか?」

「ああ。まぁ、大体の当たりはつけたけどね。アパートの沿線上とか」

「オレのアパート知ってンの?」

「待宮くんが教えてくれた」

「どんだけ口軽いンだあのバカは」


「靖友、大学卒業してから学生用アパートも出ちまったし、電話もメールも通じねぇし……」


「……アア。変えたんだ」


「……」


新開は、荒北の目をじっと見つめた。


「……」


その視線にちょっと怯む荒北。



「で?オレになんか用なワケ?」

荒北は目を逸らして尋ねた。



「……会いたかったんだ。おめさんに」



ドキッ ──


上目遣いでそんなセリフを吐く新開に、荒北は一瞬ドギマギした。



「な、なんだヨ。説教かァ?スロプロなんかやってねェで真面目に働けって?」

フライドチキンを頬張りながら虚勢を張る。


「ははっ。そんなつもりは全く無いさ。オレ達はもう大人だ。自分の人生は自分のやりたいように生きればいい」


「……」

ちょっとホッとする荒北。


「オメーは今なにしてンの?福ちゃんとプロチームか?」


「……」


新開はその質問には答えず、こう言った。


「靖友……。煙草、吸ってもいいよ。ここ、禁煙じゃないだろ?」


「……!」


「吸うんだろ?さっきおめさんのスロット台に吸殻あった。いいよ、我慢してないで吸えよ」


「……で、でもオメー……」

躊躇する荒北。


「オレのことは気にしなくていい。もう、アスリートじゃねぇからさ」


「……エ?」


言ってる意味がわからない。




「……辞めたんだ。ロード」


「……!!」







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