マガジンのカバー画像

映画とドラマのこと

77
運営しているクリエイター

#映画感想

映画「キャロル」に観る女性性とは

映画「キャロル」に観る女性性とは

アマプラで観られる映画「キャロル」。

ドラマでも映画でもいわゆるBLと言われるジャンルは作品数も多いし、多彩なストーリー展開があるけれど、あまり見ないのが女性同士の恋愛。その中でどういう内容になっているのか非常に興味があった。

1950年代ニューヨーク。高級百貨店のクリスマス商戦賑わうおもちゃ売り場に配属されたテレーズ。その中でひときわ目を惹かれたのが、ブロンドの髪に赤いルージュ、毛皮をまとっ

もっとみる
気配と匂いにする初恋、映画「君の名前で僕を呼んで」

気配と匂いにする初恋、映画「君の名前で僕を呼んで」

先日、「マティアス&マキシム」を見た(レビューはnoteにて)時に監督がインスパイアを受けたと語っていた映画「君の名前で僕を呼んで」。とても話題になった作品ですので当時見た記憶があったのですが、これを機にもう一度見たくなってアマプラでレンタルしました。

1983年。17歳のエリオは家族とともに北イタリアのとある避暑地にいた。そこへ父親の研究の手伝いと称して、24歳のアメリカの青年オリヴァーがやっ

もっとみる
現実と仮想がミックスした世界を描く映画「ピエロがお前を嘲笑う(Who Am I)」

現実と仮想がミックスした世界を描く映画「ピエロがお前を嘲笑う(Who Am I)」

アマプラ対象作品で、以前観た記憶があったのですが結末を思い出せずに再見。ハッキングで殺人の容疑までかけられた男の、自供に基づいた人生を描く「ピエロがお前を嘲笑う」。公開が2015年のドイツ映画です。

警察に出頭しユーロポールの捜査官ハンネを呼ぶベンヤミン。彼はハッカー集団CLAYの一員であり、別のハッカー集団の争いに巻き込まれ殺人容疑をかけられた上に命を狙われているとハンネに告白する。彼はなぜハ

もっとみる
たった一瞬で愛情に傾く深い友情「マティアス&マキシム」

たった一瞬で愛情に傾く深い友情「マティアス&マキシム」

前から気になっていた映画「マティアス&マキシム」を観た。今作の映画は若くしてその才能を高く評価されているグザヴィエ・ドランが監督・脚本・主演まで務めた作品。監督が「君の名前で僕を呼んで」を観て衝撃を受けたのちに作ったとのこと。

幼馴染のマティアスとマキシム。ある日、映画監督志望の友人の妹から、自身の映画に出演してと依頼される。賭けに負ける形で仕方なく出演するマティアスだが、要望されたシーンは「マ

もっとみる
これはアートか犯罪か「バンクシーを盗んだ男」

これはアートか犯罪か「バンクシーを盗んだ男」

アマプラにある「バンクシーを盗んだ男」を観た。

バンクシーが目の前に「世界一眺めの悪いホテル」を建設したことでも知られる、パレスチナとイスラエルの居住区を分ける壁。そこにバンクシーが描いたとされる「ロバと兵士」があったが、このロバがパレスチナ人を指すとされたことから物議を醸し、ついには住民の1人であったタクシー運転手のワリドが分厚い壁画を切り取りオークションに出した。
ロバはパレスチナでは愚か者

もっとみる
これは明日、誰かがみる景色映画「ファーザー」

これは明日、誰かがみる景色映画「ファーザー」

アンソニーホプキンスがアカデミー賞主演男優賞を獲得した映画「ファーザー」を観た。現在上映中。

認知症を患い始めた81歳の父アンソニーを心配し、家に通う娘のアンは恋人に誘われたパリ行きを迷っていた。アンソニーはプライドが高く、1人で大丈夫と意地を張り、アンが依頼した通いのヘルパーをすぐにクビにしてしまうのだ。
そんな娘の様子を訝しく思うアンソニー。通いのヘルパーはすぐ人のものを盗むし、アンは英語も

もっとみる
愛とてワガママで独りよがりなもの。引くぐらい泣けた「悲しみより、もっと悲しい物語」

愛とてワガママで独りよがりなもの。引くぐらい泣けた「悲しみより、もっと悲しい物語」

最近ハマっている台湾BLドラマ「We Best Love」。

その中でシーズン2から存在感を増してきたサブカプの1人である↓彼が石知田くん。大注目の役者さんです。

俳優としてのキャリアも長いということで、彼が出演した映画をいくつかピックアップ。その中からまずは「悲しみより、もっと悲しい物語」を。

楽天TVやアマプラでレンタルできます。

ある事情から16歳で天涯孤独となった張哲凱(チャン・チ

もっとみる
他人を通してしか自分を愛でられない、映画「MOTHER」

他人を通してしか自分を愛でられない、映画「MOTHER」

長澤まさみさんのこれまでのイメージを覆す役どころが話題の映画「MOTHER」。

実話を元にしているので、このストーリーの軸となる母と息子の成れの果てはもうわかっている。それを踏まえた上で、どうすれば良かったのか、ずっと考えながら鑑賞した。

シングルマザーの秋子(長澤まさみ)は今日も、実家に金の無心にやってきた。散々迷惑をかけられている両親たちは秋子に呆れており、一人息子の周平と2人追い返されて

もっとみる