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愛とてワガママで独りよがりなもの。引くぐらい泣けた「悲しみより、もっと悲しい物語」

最近ハマっている台湾BLドラマ「We Best Love」。

その中でシーズン2から存在感を増してきたサブカプの1人である↓彼が石知田くん。大注目の役者さんです。

俳優としてのキャリアも長いということで、彼が出演した映画をいくつかピックアップ。その中からまずは「悲しみより、もっと悲しい物語」を。

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ある事情から16歳で天涯孤独となった張哲凱(チャン・チォカイ)は心を閉しながら学生生活を送っていたが、突然明るくて可愛らしい同級生宋媛媛(ソン・ユェンユェン)から声をかけられ巻き込まれるように親しくなる。
好きなことが似ていて何より家族を失った悲しみとともに生きている2人はやがて一緒に住むようになり、お互いを「K」「クリーム」と呼び合うことを決めた。
ただしKことチャンには秘密があった。一緒に暮らし、キスとハグ以上には進まない2人はお互いを一番大事に思うけれど肝心な言葉を避けながら日々を暮らして10年。音楽プロデューサーと作詞家という立場で助け合いながらもKはクリームに「自分の願いはクリームが誰かいい人と結婚すること」と言うのだった。

韓国ドラマのリメイクということですが、限りある命の中で最愛の人が幸せに生きていく方法を必死で模索する孤独な男の恋物語です。

本当ならば自分が、歳を重ね、一緒に手を取って生きていきたいと願うのにそれは叶わない。なぜなら、白血病を発症しドナーもなかなか見つからない自分には残された時間があまりないことを悟っていたから。

彼は自分がクリームのことを思う以上に、交通事故で家族全員を失ったクリームにさらに家族を失う悲しみを与えてはいけないと考える。それは家族を失った経験のある彼ならではの願いであるし、2人の共通のトラウマでもある。

自分の思いを押し通せば、彼女が苦しみともに手を取ってくれることはわかっている。だからこそそれはさせられない。Kは本心を押し殺して、クリームにいい人が見つかることだけを願い、その願いは度が過ぎるほどに彼を暴走させる。

愛とは利己的なものではなく、もっと広くて大きいもの。

そんなことを誰が言い始めたのだろうか。Kは愛ゆえにそれが深くて重たいものであるがゆえに、周囲を貶めてもクリームのことだけを幸せにしたいと思う。

この愛が正解だったのかどうか。それは最後まで物語を見なければわからない。

愛する人がいる。その人を失う辛さと、その人が悲しみ苦しみ抜くことを天秤にかけたのならば、その人を守りたい気持ちが上回るのが愛。だとするならば、途端にそれはワガママで独りよがりなものになってしまう。

皮肉なもので、相手のことを考え抜いた結果が、ある人々の関係を壊し、歪んだ正義を貫く強さとなってしまう。矛盾するようだけれど、その矛盾は結果的に彼が思い描いていた未来とは違う結果を導き出してしまう。

正直、とてもワガママで利己的な愛の形であるとは思う。けれど本来、人を好きになりその人を独占したいと思うような強い愛に触れたとき、人は自分を逸脱して別の世界に生きてしまうのかもしれない。それは幸せなのかどうか、今でもよくわからない。

ただ、こんなふうに人を愛してしまったら、ぴったり合う人を見つけてしまったら、その先に待ち受けるものは平凡な幸せでないことだけははっきりわかる。それがこの物語の「悲しさ」であるように思う。

※Kを演じたリウさんがとても魅力的だった↓

この役に関してだけ言えば、日本でいう綾野剛さんみたいな感じだったな。また別の作品も見てみたい。
ちなみに石知田くんは10代のKを演じています。繊細な演技が光ってました。

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