春が笑っている

目には見えない花粉の脅威

気づいた時にはすでに遅くて

鼻がむず痒くなり始めたら

はぁっくしゅんっ！

はぁっくしゅんっ！

目には見えないが

音も聞こえない

気配さえも見えないし

意思の疎通も図れない

陽気な鼻歌とはいかないが

人も猫も鼻をむずむずさせながら

くしゅんくしゅんと春を奏でている

鼻水を飛ばしては

悪態ついて頭痛に悩まされて

気持ち的には巡る春の季節は嬉しいが

こんな贈り物は嬉しくないよと

むしろ送り返したいと言いたくなる春の贈り物

気づけば全身くまなく包み込まれて

プレゼント箱を包む包装紙の様にまとわりついて

最後はリボンで飾り付け

手には負えない形でご提供される返品不可の

春の贈り物

僕ら自身がプレゼントの中身にでも

なったかの様にお家に花粉をお持ち帰り

撒き散らす鼻水

花粉の脅威

僕から君へ

身体を叩けば

ふわりと吹き出す

目に見えない粒子により

君の鼻もまただんだんむず痒くなり

あぁたまらない

堪らない

はあっくしょんっ！

はあっくしょんっ！

盛大に吹き出す春のお知らせ

あぁ気づけばいつのまにか

部屋の中には春がいっぱい

外から帰ってきて

払い除けられなかった

花粉が部屋の中で笑っている

はぁっくしゅんっ！

はぁっくしょんっ！

僕らの身体をわざわざ通して

春のお知らせをしなくても

良さそうなものなのに

例年この形

通年涙目

目は痒くて

鼻は詰まって

くしゃみは止まらない

春がいっぱい

冬が終わり

恐ろしい時期の到来だ

春が笑っている