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超短編など

319
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#眠れない夜に

ふあんふあん

色々な不安を抱える中で、
蒸しパンを三個も食べた僕は、
三個目を食べ終えた時に、
「あともう一個いけるわ」
と、お腹の余裕を感じた。

しかし、
他の要素で僕は余裕がない。
もうどうしたらいいんだ。
どこかに消え去ってしまいたい。
消え去れるだけの資金が欲しい。
あ~あ、こういう時、
消え去ることのできる人間だったらなぁ。
そういう人間でありたかった。
畜生、僕なんかでは消え去れない。

てか、な

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良い子:桃缶

『良い子』

良い子にしてたら
良い子良い子してあげるからね。
だから良い子でいなさい。
良い子でいればいるほど
周りの人も良い顔をしてくれるから、
良い子でいるほうが良いのよ。
良い子にしてたら
きっと良い事もたくさんあるわ。
だから何の疑問も持たず、
良い子にしてなさい。
良い子ってそういうものよ。

『桃缶』

きっと生きていれば良い事があって、
生きていて良かったなんて日があって、
桃の缶

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831。

・今日が8月31日だと知ったのは、
 今日の朝だった。
 昨日の僕はそれを知らないまま、
 23時前には寝たんだな。

・嫌いな奴のご両親が消えた。
 よく吠えている近所の犬も消えた。
 図書委員の女の子が図書室の本ごと消えた。
 これは一体どういうことか。
 それは恐らく、
 今日が8月31日だからだろうな。

・8月31日には
 君が思ってもみないことが起こって
 君を戸惑わせるだろう。
 で

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行くところ:おんなじ

『行くところ』

「出て行け!」
と言われたので出て行った二十二時。
出て行ったはいいものの、
行くところがない僕は、
恥ずかしながら
出て行ったところへと舞い戻り、
「行くところがありませんでした」
と正直に話した。

すると家主は、
「じゃあ、しょうがないね」
と受け入れてくれたのだった。
ありがたいね。

『おんなじ』

カナヅチであり、
金好きでもあり、
鐘好きでもあるあのオンナの子の女の

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逃げ逃げ

結局僕は世の中の中に入っていけない、
虫ケラ以下、
ホワイトタイガー以上の人間だから、
どうしたってこうしたって、
どうにもこうにもならない結果に終わって、
どうしようもこうしようもない。

僕はここまで色んなことから逃げてきた。
目の前の嫌なことから逃げてきたし、
人との関わりからも逃げてきたし、
蚊からも逃げてきた。
蚊は恐い。夜も眠れない。
逃げなかったのは、
ホワイトタイガーと対峙した時く

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包まれて

何もすることがないから
とりあえず暖かい光に包まれて、
叶わない夢を見ていた私は、
そのまま一日を終えた。

はぁ~終わった終わった。
無事、平和に一日が終わった。
一瞬、本でも読もうかなって思ったけど、
結局読まなかった。
結局、
「何もせず」
という一日になった。
ほんとに一瞬、
「あ、本あるじゃん。
この前、買うに至った本あるじゃん。
あれを読んだらいいじゃん。
あれを今日は読む日なんじゃね

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散乱

無数の星たちがピカピカの床に散りばめられていると思ったら、どう見ても無数の麦チョコだった星が綺麗な夜の事。

僕はその日、怖い夢を見た。
なんかお菓子に食べられてしまうっていうか、
なんかそんな感じの怖い夢。
それで朝起きたら、
僕の枕元には無数の麦チョコが散乱していた。
パジャマのポケットの中にも、
たくさんの麦チョコが入っていた。

いやはや参っちゃうね。
一体誰の仕業なんだ。
一人暮らしだぞ

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カッコー♪

夜更かしをしていたら、
ハト時計からカッコウが出てきて、
「まだ寝ないの?」
と言われた。

なので僕は……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
……
という具合に、
一分ぐらいよく考えて、
「まだ……いいや」
と返した。

そしたらカッコウは、
「うわー……」
とか、
「えー……」
とか、
「はぁ……」
とか言って、
呆れたようにハト時計の中に帰っ

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ぐっすり

寝そべっている誰かを
確実に
わざとで踏んで
逃亡した今の今、
後ろを見てみると、
その誰かは追ってきていなかったので、
僕はとりあえずガッツポーズでもして、
それから一息ついた。

よく分からないけど、
オレは勝ったんだよな?
所謂、圧勝って奴だよな?
この前ヤンキーに肩をぶつけられた時は、
確実に負けてケツを蹴られてしまう悲惨な状況に陥ってしまったけど、
今日のこの出来事は、
理不尽にもオレが

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sorry

全力で向き合って
向かい合って
無駄な動きをして
元気出して
極力美しい言葉を使って
できるだけ
やれるだけの良い言い訳をしたけど、
最終的には結局ゴメンした、
まだ明るい夜の事、

僕は君に嫌われたくなくて
冷たい目で見られたくなくて
十連続チョップを喰らいたくなくて
これでサヨナラされるのが
嫌だから
恐いから
僕は必死に頑張って
なんとかどうにか泣いてみせたんだけど、
君はそんな僕を許してく

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けどから

生きるって素晴らしいけど、
生きるってめんどいから、
生きるってしんどい。

洗濯物畳むって無心になれるけど、
洗濯物畳むって面倒臭いから、
洗濯物畳むってだるい。

全力を出すってすんばらしいけど、
全力を出すって体力を使うから、
全力を出すってスゲー疲れる。

象さんって大きいし、
象さんってつぶらな瞳だし、
象さんってお耳パタパタだし、
象さんって力強いし、
象さんって人気者だし、
象さんっ

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ちょマジ、家のカギ失くしたわぁ……。
これ感情としては、
「最悪」
ってことでいいんだよね。
あ~もう最悪。
家、入れないじゃん。

てか、あれ?
俺、カスタネットも失くしてんじゃん!
俺の為だけに作られた俺専用のカスタネット失くしちゃったの俺?
あ~もうこれ感情としては、
「最悪」
でしかないよね。
マジ最悪。
泣きそう。

ダサイことになったわ。
これ状況としては、
「最悪な夜」
だよね。

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クモ

部屋に出たクモを殺し損ねた不機嫌なぼくは、
「どこ行きやがった!」
と今の心境を口にして、辺りを見渡した。
のだけど、
クモの野郎を見つけることはできなかった。
なので、
「これは悪い夢だ!」
と絶望した。

こんな現実があっていいのか……。
辛すぎる……。
あってはならない……。
今ぼくの目は涙でいっぱいだ。
一体だれがこんなむごい世の中にした!
許されないぞ、こんな世の中は!

しかるべきとこ

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貰った:どうにか

『貰った』

「なんか貰った」
と君が見せてきたそれは、
柿、
みかん、
ビワ、
と言ったオレンジ色の果物それぞれ一個ずつだった。

それに対して私は、
「誰から貰ったの?」
と君に聞いていく訳だけど、
君は、
「なんか柔和な人。すごい柔和な人」
とそう言ってきた。

だから私は、
「ふーん」
ってなって、
「へぇ~」
ってなって、
「そっかぁ。良かったね」
ってなった。

まぁ良かったかは分から

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