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#小説
何でもない日。みんなの12月某日④さようなら2023
僕はクミの勤務先の最寄り駅で待っている。十二月の寒い寒い夜。クミは僕の姿を見つけるなり顔が曇った。マスクをしていても、わかる。
「こんな遅くまでお仕事大変だね。お疲れさま」
「いいかげんにして。警察から注意、警告を受けたでしょ」
クミは低い声で言い、僕を睨みつける。
「引っ越したの?あのマンションから」
クミは答えない。
「もう一度だけ話がしたい。最後だから。お願いします。」僕は
何でもない日。みんなの12月某日③
二年前の十二月、夫は、妻(私)と自分の母親と犬を残して突然消えた。私達は三人と犬で穏やかに幸せに暮らしていた、はず。そう思っていたのは私だけだったのだろうか…。
私と義母は仲がいいし、犬は私達三人の癒し。ミックス犬のミロは夫と私が仕事でいない間、義母と仲良くお留守番。義母はミロがいるから淋しくないそうだ。ミロの散歩は平日は私、休日は夫と二人で。一緒にいる時間が一番少ないのに、ミロは夫に一番懐