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#海外
#1 バンコクじゃない、東京だろ
2018年3月1日。
今日はこのうえなく忙しい。
いつもならこの時間にはメールも片付いて、お昼休憩も終わっているのに今日はまったく先が見えない。
午後三時までにメールを片付けないと・・・。
大きく背伸びをして、目を閉じてみる。
そうだ。そうだった。こういう時こそまずは休憩を取らなきゃだ。
そう思って立ち上がる。
「お昼に行ってきます。」
ぼそり独り言のようにそういって、駆け足で階段を下り
#2 もはやそれはアイスブレイクではない
2018年3月30日。
年度末。
いよいよ忙しい。
子どもがいるとなおのことだ。
やれ、役員の引継ぎだ、やれ新学期までに何をしろだのと、お便りがたくさん来る。
あれどこに書いてあったっけ?
いつまでの提出だっけ?
と、お便りの山から必要な情報を探し出すだけで一苦労だ。
朝からいそいそと散っていく庭の桜の花びらを見て、私みたい、とつぶやいた。
まるで、どこか行きたいところがあるのに、それ
#6 桜はあと39回しか見られない
2019年2月。
あっという間に2月だ。
ついこないだ、新年を迎えたばかりなのに、きっとこうして1年があっという間に終わっていくのだろう。それが、「忙しすぎるから」だということはよくわかっている。
1年のはじめには、毎日をもっと丁寧に過ごしていこうと思うのだが、2月にもなるとそんなことを思っていたこと自体忘れている。通勤電車に乗って、会社に行って、家に帰ってばたばたとご飯を作る、ただただそ
#7 アイドルとは一緒になれない
2019年5月。
私のアイドルが突然、結婚発表をした。いや、正確に言うと既に結婚していた、という事実だ。
いや、わかってはいたんだよ。彼だって人間だもの。恋愛はしますよ。だけどやっぱりしばらく受け入れられない。だって憧れだったんだもん。
「私のアイドル」とは、例の、バンコクと東京を間違えた営業担当のことだ。いつの間にかアイドルになっていたのは後で説明する。
彼が3月に再訪してくれた際はよも
#9 やり場のない怒りは涙に変わる
2019年6月15日。
太陽が眩しい。日射しはもう夏だ。
しかし、空気はねっとりとじっとりと重く、まるでサウナにでもいるかのように、地面から熱を帯びた空気が上がってくる。息をするのがおっくうになりそうになったところで、私は空を眺めた。雲一つない青空を見て、そんなサウナ気分をチャラにする。
私は今日、Cさんと久々に再会する。
Cさんは私の地元で知り合ったスピリチュアルカウンセラーさんだ。つい
#10 灰色の空に何があるというのか
2019年7月15日。
あの日、私が見た私とアメリカ人の彼の過去世。それは心臓をえぐるような後悔の念を伴うものだった。
愛する人を手放さなければならない後悔。
何もできなかった後悔。
何もしてあげられなかった後悔。
そして、自分ではどうすることもなかった「身分の差」。
過去世を見たことは、間違いなく私の人生を変える出来事だった。人生だけでなく、ものの見方、考え方、捉え方、すべてを変えてしまう