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レントよりゆったりと〔随想録〕

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2019年3月の記事一覧

Memory 珈琲の香り

Memory 珈琲の香り

*この記事は再掲です*

 珈琲とは便利なもので、人をお洒落にも退廃的にもしてくれるし、男を伊達にも紳士にも変えてくれる。「苦い」と顔をしかめた幼き日は忘却の彼方へ。今や苦いと思うのもゴーヤくらいだろうか。

 昨年12月頃から寝つきが悪くなり、毎朝同じ時間に起きるので、必然的に睡眠時間が短くなった。冬はいつもこうだから仕方がない。とは言え何とかならないものかと思い、意を決して珈琲断ちというもの

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その言葉は信じてもらえなかった。信じたのは800円の本と花。

その言葉は信じてもらえなかった。信じたのは800円の本と花。

 桜が咲きました。
 先日、大学を卒業される女性3人に贈り物をしようと、百貨店の女性向けハンカチコーナーに立ち寄りました。なんとまあ鮮やかな柄、かわいらしい柄の数々。これは完全に男女差別ですね。生涯をかけて抗議したいと思います。笑

 春の到来はいつも切ないものでした。別れの季節だからではありません。今日は、昔の話をしようと思います。語るまいと心に決めていたことでしたが、なぜか今語る必要に駆られ

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滝音、川音、雨だれの音。岩にせかるる清流の泡。淵に積もるは落ち葉のしとね。見やれば、岩に刻まれた雄々しい七つの文字が立つ。南無妙法蓮華経と。

「大丈夫だ」と、ことあるごとに諭し続けてくれた海。「大丈夫だ」と、日々を想って語りかけてみる、立つ波に。音は生まれる、内と外から同じ声響きぶつかる縁に。僕は生まれた、内と外から海が手をとり溶け合うしじまに。