ディスレクシア(発達性読み書き障害)とは?「うちの子は字が書けない」
漢字を書くのがすごく遅い、音読で教科書を読むときに頻繁に語尾を読み間違えるといった症状があるとき、もしかしたらそれは「発達性読み書き障害」かもしれません。読み書き障害には先天的なものと、事故などで脳に損傷を受けたことで障害が残る後天的なものがあります。2つを区別するために、先天的なものを発達性読み書き障害と呼びます。
「ディスレクシア」は1クラスに平均3人程度
1クラス40人の学級に3人の確率でいるのに、親にも先生にも気づかれない「発達性読み書き障害」。別名、ディスレクシア。この障害について私が聞いたのは、ハリウッドスターのトム・クルーズが自身の発達について話している記事を読んだことがきっかけです。ほかにも、をはじめ、現アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュなどが有名です。
この発達性読み書き障害について、著者であり当事者の子どもたちのママでもある「千葉リョウコ」さんと、監修者であり、筑波大学教授で「DL・Dyslexiaセンター」理事長の宇野彰さんに直接取材でお話を伺うことができました。この取材は「ママスタセレクト」で記事していて、「発達性読み書き障害に気づく4つのポイント」を紹介していますが、これはあくまでも目安です。これにあてはまる場合は可能性が高いと言えますが、4つ全部あてはまるからといって必ずしもそうだとは言い切れませんので、自己判断はしないようにお願いします。
兄弟でも症状はまったく違う。妹の生涯に気付けなかった母の思い
この本を書くにあたり、千葉さんがお話されていたのは、一口に「発達性読み書き障害」といっても、症状や程度は個人によって大きく異なるということ。千葉さんには3人のお子さんがいて、一番上の長男ふゆくんが発達性読み書き障害というのに気づいて対応していたものの、実はその下の長女ナツちゃんも発達性読み書き障害だったということに、ナツちゃんが中学1年生になるまで全く気が付かなかったといいます。
ふゆ君のことに気が付いたのは、小学1年生のときにひらがなや漢字を書くのがすごくゆっくりだなと思っていて、たまたま同級生の子と一緒に書いているところを見たら、ふゆ君の遅さがかなり気になるというところからはじまったそうです。そのためふゆ君には特別な練習などをしていたといいます。
これに対して、ふゆ君の妹であり長女のなつちゃんは、保育園の頃から友達とお手紙交換をしたり、学校の成績が優秀だったこともあり、まったくきがつかなかったのです。気づいたきっかけは、英語の単語を間違えることが多く、「おかしい」と思ったこと。調べてみたら、実はこれまで書けると思っていたひらがなやカタガナも、覚えていたわけではなくテスト前などに一時的に脳にインプットしているだけで読み書きができていたわけではなかったのです。
親としては、相当ショックだったんじゃないかと思います。というのも、はやく気が付いて対処できれば、それなりに伸びていくのに、全く気付かつかずにきてしまったから。これについては、2冊目の「うちの子は字が書けないと思ったら」に詳しく書かれています。
実は英語の方が症状が重く出る。そのワケは?
英語と漢字とひらがな、カタガナの認識について、認識のしやすさに違いはあるのかという質問をしてみたら、意外なことに英語のほうが認識しづらいそうです。というのも、「ひらがなやカタガナは文字から音への変換が単純だけど、英語は複雑。そのため英語のほうが、症状が重く出る」とのことでした。ナツちゃんがひっかかったのも英語でした。ちなみに、読みやすい書体については個人差があるため、一概にどれがいいとは言い切れないようです。
小学校生活で先生や学校にどこまで「子どもへの配慮」を求めていいの?
「我が子に障害がある」と思ったら、親としてはとても心配になると思います。文字の読み書きが非常に増える小学校以降の生活をどうしたらいいのか。どこまで配慮してもらえるのか。テストの際に我が子だけが不利になったりしないか。
これについて、著者の千葉さんは「障害者差別解消法による合理的配慮」を求めたらいいと教えてくれました。長いのでここでは割愛しますが、記事には書いたのでよかったら読んでみてください。
また、もしも障害があったとき「入学してすぐに担任につたえたほうがいいのか」という問題がありますが、これに関してはまずは学校との信頼関係を先に築くほうが先だといいます。そして「親と先生だけで勝手に決めるのではなく、子どもと親、先生が一緒に話し合う」ことが大切です。小学校で生活するのは子ども自身です。親や教師がよかれと思ってやったことでも、子ども本人にとっては、まわりの子の目を気にしたり、恥ずかしいと感じることもあります。そのため、必ず子ども本人の意思も尊重してあげてください。
義務教育終了後の進路や将来の仕事はどうなるの?
「ママスタセレクト」の記事では、将来の仕事についても聞きました。こちらは興味があったらお読みください。仕事について心配する親はたくさんいると思いますが、得意なところを伸ばしていけば大丈夫。「苦手を克服する」のではなく「得意を伸ばす」ことが大切です。ここははっきりと意識して、子どもに接してあげてほしいと思います。
発達性読み書き障害の検査はどこで受けられるの?
「うちの子にあてはまるかも」という親からしたら、一番気になるのは「どこで検査ができるか」ということです。結果からいうと、正直検査をするのには非常に時間がかかるそうです。というのも、検査できる人が少ないうえに、検査を希望する子どもは増えている。そのためなかなか診断までの順番がまわってこないそうです。とはいえ、もし疑いがあるなら、まずは学校や市区町村の教育支援センターなどを通して相談してみてください。場所によっては簡易検査ができるところもあり、もしそこで「疑いあり」となったら、本格的な検査を受けられる施設をあっせんしてもらえることもあります。ママも子どもも、疑いを持ったままだとモヤモヤしちゃいますよね。
検査をするにしても、一歩を踏み出すのはすごく勇気がいるし、わからないことだらけだと思います。そんなときはこの宇野教授と漫画家の千葉さんが書いたエッセイ本を読んでみてはいかがでしょうか。個人的な話とはいえ、かなり詳しく書かれているうえに、宇野教授の解説も入り、とてもわかりやすくなっています。また全編を通してマンガ形式になっているため、忙しい家事や仕事の合間でも読みやすくなっています。
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