その43)無人化はどこまで進むか
雇用がなくなっていくということは無人化が進むということでもあります。機械に置き換えやすい仕事はどんどん減っていき、機械への代替が進みにくい業界にそのあぶれた人々を送り込んでいくということになると思います。ホワイトカラーはどんどんなくなっていきます。残るは現場で人間が動く仕事になっていきます。特に現在、人材が不足している分野について考えていきます。
まず、無人化や自動化は一度に起きるものではなく、段階を追って起きると思っています。技術的失業のセオリーの通り「ここは機械のほうが人件費よりも安くできる」という判断でなくなっていくのです。スーパーのセルフレジはスーパーの店員を減らせますが、もともと店員がしていたことをお客が協力することで解決するという方法です。お店への商品の搬入や陳列、在庫管理などもロボットがするようになれば無人化は可能になると思います。管理も遠隔操作でできるでしょう。量販店は管理センターが最終的な雇用地になるのかもしれません。管理センター式は他の職業も同じくです。
2025年の人材不足問題が話題になっている物流業界は、車の自動運転が普及するまではかなり大変だと思います。必要なところに必要なものがちゃんと届くようにするには、かなり整ったシステムが必要です。物流センターどうしを結ぶ大型トラックの自動運転ができるようになれば、長距離ドライバーからいなくなっていくでしょう。ラスト・ワンマイルは営業所からの配達ロボが2024年段階で社会実験中です。最後に残るのは物流センターから各配送拠点までを輸送する小口の2〜4トントラックではないでしょうか。ここは汎用ヒト型ロボットが必要になる分野です。
電気・測量・土木・解体・建設など現場で作業が必要になる職業は、計算をAIやロボットが助けるにしても、ある程度の知識が必要でしょう。危険な作業をロボットが代替するまでは残っていくでしょう。
看護師、介護士、医師、保育士など、医療介護の現場でリアルタイムに患者などの健康状態の変化に即時対応できることが求められます。ケア・マネージャーは計画をAIに頼るようになるでしょう。テクノロジーによって作業は緩和されつつも最終判断だけは人間がやると思います。また、医療の発達で長寿社会になっているのと、医療費削減の観点から人生の終末は延命から緩和ケアや看取りになっていくと思われますので、担当者の心理的な負担は減っていくかもしれません。
農業など少人数で大規模に変化する自然の状況に対応しながら進めていく第一次産業の分野は人に置き換わるのに時間がかかるかもしれません。ある程度まで工業化は進みますが、自然相手なので不測の事態があったり、設備も大規模なものが必要になります。また、歴史が長い分野でもあるので、近代的な生産方法になっても師弟関係が重要な産業文化になっている可能性が高いと思います。
教育は、これからの社会に対応していく人材を育てるために変革を余儀なくされます。基礎学力はデジタル教材などで個人的に伸ばしたり、教室は多世代が寺子屋のように集う形式になってお互いに教え合うようなものになっていくと思われます。飛び級も普通になるでしょう。現代の一斉授業方式は軍隊や工場でよく言うことを聞く真面目な人材を育てるためのものでしたが、それぞれの子どもの良さを活かしていく、多様性重視の教育には合いません。
ただし、資源を循環させる社会であるベーシックインカム社会を永続させていくための取り組みは必ず必要になるので、それを教えていく教師は必要です。また、科学もまだまだ発展していく必要がありますし、人類がわからないこと、解決していない問題は山程ありますから、そこを探求していく人材が生まれるような取り組みは求められていくと思います。人材教育は機械だけでは難しいので、少子高齢化といえど教師の人手不足は続くかもしれません。
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