1歳から差がつく、身を守る育児とは
南ドイツの山岳エリア、ドイツアルプス地域で子育てをしています。
風光明媚な観光地で、景観を壊したくない山々も広範囲です。特別に危険な場所以外の崖のフェンスや柵、ガードレール等の数は、日本の常識的感覚よりも非常に少ないように感じます。
滑落したら、死ぬ確率は高いです。
特に見晴らしが良い場所では、FacebookやInstagram等にupするんだろうな~という人達が、命がけの物凄い場所で自撮りをしています。
こういう場所に十字架がよく立ってるのは、伊達じゃない予感。
上の写真、黄色いリュックサックの陽気な人が立ってる場所、何もない断崖絶壁ですからね。
実際に毎年、どこからか落ちて何人も亡くなるそうです。
実数データは調べてませんが、あんな写真を撮る人達がいるなら、亡くなる人もいるだろうな、というのが地元エリア民の認識です。
それでですね、私達はこういう場所を身近に、走り回る幼児を育ててきたわけです。
大自然は、危険も大
山小屋暮らしほどではありませんが、天候が急変する厳しい天気は同じで、麓でも逃げ遅れると危ないです。
雷や嵐のレベルが違う!
こちらに来て一番大きかったヒョウはたしか直径7㎝くらいで、子供の拳骨くらいありましたからね。
その時は車内にいて、異様な雲に気づくのが遅れたのです。
車を飛ばして逃げても、雲は車よりも速くて、屋根のある場所へ逃げ込むことができなくて、車体は大きなヒョウに【蜂の巣状態】にやられて、全面ボッコボコに凹みました。
もし徒歩で出かけていて、こんなヒョウが頭に当たったらと思うとゾッとしました。(まあそこまで大きいのが降るのは、かなり珍しいです。)
いつも遠くの空を見て、雲を見て、行動しています。
麓に流れる川の水は痺れるほど冷たい雪解け水で、真夏だろうと泳げない。柵がない道も多い。死に至る危険なマダニも多い。
麓の村にも危ない事が、十分あるのです。
厳しい自然で、身を守る育児
子供がふざけてると、家族全員が危ないです。
だから子供が1歳・2歳のうちから、大人達の 言いつけを必ず守る ように育てていきます。
「まだ小さいのに、かわいそう……」と言われそうですが、ゆるふわに何でもやりたい放題に育てたら、その子供を失う可能性が、この異国の山岳地域ではごく身近なのです。
本当の「かわいそう」は、死んでしまうこと
痛ましい事故って、何かの悪い偶然が重なったほんの一瞬で、たまたま起こるものではないでしょうか。
四六時中ずっと見るとしても、パパママどちらも余裕がなく疲れ切ってるのが一般的な昨今では、ずっと集中して目を離さないのも至難の業だと思います。
たったほんの少し、ほんのちょっと目を離した隙に、すり抜けていく命。
その二度と取り返しのつかない一瞬を、幼児自ら確率を下げて、身を守ってもらいます。だって、そこで運命が分かれるかもしれないから……。
幼児にだって、できることがあります。
犬や猫だって、危険だと知ってる場所には近づかないです。
何が危険か、教えることは本当に大切なことです。
現代の日本だって本当は危険がいっぱいで、ガード系アイテムを多用してると思いますが、道具だけよりも幼児本人に判断力をつけさせると、さらに確実だと思うのです。
しかも!
幼児に教えて練習させると、素晴らしい特典がつきます。(笑)
大人達の言いつけを守れるように育てると、幼いうちは勉強や練習するのも素直に楽しめるので、教育効果が高まるみたいなんですよ!
幼いうちに、早いペースで知育する
私の地域の幼稚園は3歳からなんですが、入園条件の一つが
「一人で自発的にトイレへ行って、用を足せること」
2歳のうちに入園面接があり、条件をクリアできなければ来年再挑戦です。その場しのぎも許されず、もし入園後に問題あれば、通園拒否されます。
ママ達は復職がかかってますし、出遅れると小学校入学や進級もズレる影響もありますから、ママ達は子供が2歳のうちに全力でオムツを外します。
そして、入園条件のもう一つの山は
「授業を受けられること」
子供達は椅子に座って静かに、先生の話を聞いて、教えられる通りに練習できる必要があります。
「3歳でそんなことできる?!」って驚かれそうですが、実は3歳でも、45分間位なら連続で集中してレッスンを受けられる子供が多いです。
幼稚園に入れたいがために皆がクリアしていくから、他習い事スクールも3歳から先生の言う通りに練習できて、幼いうちから急激に上手になる子供が多い印象です。
こうして幼いうちから、大人の言いつけを忠実に守って練習すると、それはもう
飲み込みが、恐・ろ・し・く、早い!
なんというか動物の本能を感じます。(笑)
「小学校入学前に、代数はやっておいたほうがいい。」
そんなアドバイスを受けたぐらい、幼児の習得スピードは凄い。大きくなってから始めるのとでは、きっと違うと思います。
若いうちから、人生の駒を着々と進めて、成功が早い。実績を積み重ねて、貯金も早くからして、着々と確実に行く人が多い印象です。
皆はそれを知っているから、1歳から根気よく教えていくのです。
だって、やりたい放題好き放題で育ってきた子供が、急に5,6歳から机に向かって勉強に集中できるとは、考えにくいのです。
W杯史上最年少の得点王が出るのも、わかる話
左写真、トーマス・ミュラーは、アルプス前山地方、ヴァイルハイム出身。たしか4歳からサッカーの練習を始めたとか、何かで読みました。
W杯史上最年少の20歳で得点王になり、24歳は惜しくも得点数2位で「史上初の2大会連続得点王」とはならなかったけれど、W杯優勝。
右写真、バスティアン・シュヴァインシュタイガーは、アルプス地方で育った人で、同チームでW杯優勝。彼はドイツ代表チームにおける「頭脳」と賞賛されたそうで、私もアルプス贔屓的に「わかるわ~」と勝手に納得しております。
スポーツ選手だけでなく、早くから進路を決めて学習や練習をしてる人達は、大人になってから楽なように見えます。
ゆっくり大人になるほうが、社会に出てからよっぽど大変そうに見えます。
ゆっくり大人コースは、巻き返し超ハードコース
ひと昔前の日本では、「ゆっくり大人になりなさい」という人達が多かった印象ですが、社会に出るまでゆっくりしてきた分、大学卒業してから短期間で急激に成長せねばならないのが、相当キツイように見えます。
即戦力を求める社会で、武器になるかどうかも考えずに、なんとなく学費と時間をかけて学歴を取得してから、卒業あたりの前後からやっと「何の仕事をして生きていこうかな?」と模索がやっと始まるなら、実家が資産家でないと、かなり厳しそうです。
何となく好きな教科を勉強していざ就活する段階で、「やりたい仕事をするには、この専攻じゃなかった。就職しないで大学行き直そう」「留学しよう」とかやってると、持ち時間も費用もどんどん無くなっていくので、総支出を取り返して巻き返しするために、超ハードコースになるかもしれません。
数々の学費の元はとれないけれど好きに生きていければOKなど、人それぞれ正解は変わりますが、親や祖父母の立場としては、十二分に元は取り返してもらって、子供や孫たちに一生安泰で暮らしてほしい。(笑)
そもそも何故、ゆっくり大人になる必要があるんでしょうね?
それって暗に、「社会に出ると辛くて厳しいことばかり」と教えているようなもので、先入観を植え付ける一種の暗示のような気もします。
「大人になると楽しいことも多いよ!その方法はこれ!これは勉強しておくのがオススメ!失敗も勉強のうちだから、どんどんチャレンジしなよ!何度も打席に立つのが一番大事!」
等々、さっさと実利的な武器を教えるほうが前向きで、社会に出ていよいよ腕試しするぐらいのほうが超楽しいと思うんですよね。
ドイツやオーストリアでは、何も考えずに進学してる人はいないような印象ですが、合わなければ何度も職業換えのやり直しすることもできます。
とはいえ、女性は子供を授かれる確率が年齢によって変わってくるので、とりあえずこの田舎では堅実な進路をとる女性が割と多いような気がします。
大人は楽しく自由に暮らしてる雰囲気なので、子供達は自分も早く大人になって、自由に暮らしたいと思っている子が多い感じがします。
時間泥棒に盗まれない人生を
有名な児童書「モモ」を書いたミヒャエル・エンデも、ドイツアルプス出身です。時間泥棒に盗まれない知恵の文化を、私は感じるのです。
彼らを見ていると、のんびり暮らすためには、子供の頃から人生の組み立てが必要なようです。
そして、親が勝手にレールを敷かずに、子供自身の能力で楽に生きていくためには、子供本人の意思による、早めの自立が必要になってくるようです。
早いうちに着々と、収入や実績などの人生基盤を固められた人は、20代後半位からもう安泰になっているように見えます。
進めるペースが速いので、私の感覚としては、アルプスの20歳位が、東京の30歳位の実力と基盤をそろえてる印象があります。10歳違う。
アルプスの30歳独身位で、東京のバリバリ働いてきた40歳独身位。40歳位の知識と実績と、10代から貯めてきた堅実な貯金額で、でも体はまだ30歳。だから子育てを開始しても悠々と楽に暮らせてるように見えます。(あくまでも超私見の印象による個人感覚ですよ)
幼児が自分の身を守るための練習が、結果的には人生を守るための練習の始まりに思えるのです。
外国の話はご参考までの、机上の空論
今後、私が楽になった様々なジャンル知識を書き綴っていく予定ですが、私の息子は現時点でもう9歳。
私が東京で経験したことも、既に今の子育て事情と違うはずです。
そして、私が取り入れてきた欧州アルプスの知識が、これを読んでくださる方々に、どこまで有効か正直わかりません。
また、子育てに万国共通・唯一無二の正解はありません。
外国の育児方法を書くことは、日本の育児を否定するものではありません。
文化や風土の違いだけでなく、子供はそれぞれ個性が違いますから、子供の興味と反応を見ながら、カスタマイズしていくのが一番良いと思います。
私は、自分の考えを押しつけません。その必要もないからです。
和洋折衷、良いところばかりの両得を目指す
日本も、ドイツも、どこの国も、長所短所があります。それならば、長所ばかり組み合わせて、総取りにしたい。
でも、「何が良いか」は、人によって違います。
私の机上の空論として、読んで下さる方々の頭の中で、最適と思われる方法にカスタマイズして下さい。
「真似するのではなく、自分の頭で考えて、良いところだけ取り入れる。」
それがこの「机上の空論城」のルールです。
それは検索だけで完結しないことでもあり、親が考えて答えを出していく姿は、子供にも良い影響があると信じています。
By @alpsmama
本の購入などに使わせて頂きます!もっと学んで、執筆で還元していけたらいいなと思っています。