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上司のための「質問力」活用〜「営業指導」基礎④〜

大学時代のゼミの同期会で再開した佐藤と高橋。某銀行で支店長を務める佐藤がふとしたことで部下育成について高橋のアドバイスを受けることに。
今回は、前回に続き営業の各プロセスの定義についてです。

最後までお読みいただけると得られそうな情報は?
✔︎ 各営業プロセスでやるべきこと
✔︎ 各営業プロセスのゴール
✔︎ 本日の質問

1、各営業プロセスの定義とゴール

高橋(以下T):さて、と言うわけで、各営業プロセスの定義について、考えていこうか。

佐藤(以下S):リョーカイ。

T:まずは、全体像を掴んでもらって、次にプロセスごとに細かくみていくけどOK?

S:OK!

T:全体像を把握するには一覧になっていた方が良ので、紙にまとめてみた。

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S:おー、あれ?アポ取りってゼロになってるけど?

T:そう。大事なプロセスなんだけど、ちょっと特殊なところもあるし、商談がスタートしてからにまずはフォーカスしようと思って。それでよい?

S:うん。うちの場合、アポ取りは別の人がやるケースもあるしね。了解。

T:ありがとう。では、最初がアプローチ。

S:聞き耳を立てて頂くって?

T:うん。佐藤のリラックスして頂く、っていうのに近いんだけど、目の前にいるのに心ここにあらず、っていう場合もあるじゃない?上の空、というか。

S:あるねぇ。話してて辛いよね。

T:その状態でいくら話しても全く意味がない。だからまず最初に物理的にだけでなく、精神的にも目の前にいて頂ける様にすることが必要。

S:それが、聞き耳を立てて頂く、ってことね。

T:そうそう。

S:方法は?やっぱり雑談?

T:雑談も一つの方法だけど、例えば、3年目の渉外くんが60代のお金持ちと雑談するって、どう?

S:まぁ、そうねぇ。。。

T:「為にする雑談」ほどお互いに辛い雑談はないと思うんだよね。もっと効果的にできる方法もあるのでゆくゆくお伝えして行きますよ。

S:例えば?

T:YESを2回とる、とか。

S:なにそれ?

T:気になるよね。でも今日はプロセス全体を定義とともにざっと見るのが目的なので詳しくはまた。

S:引っ張るねぇ。じゃあ、聞き耳を立ててもらったら、次にヒアリング。これは前半と後半に分かれてるんだ。

T:そう。前半は、まずお客様の状況を伺わないと、間違った提案になってしまうので、そこを教えて頂く。

S:総資産とか?

T:そうそう。あとは、家族構成とか、将来の夢や希望、ご家族も含めてね。

S:そんなことまで聞くんだ。教えてくれるかな?

T:その為に「質問力」が重要になってくるんだよ。単に「ご家族は?」とか「将来の夢は?」じゃぁ、答えてくれないよ。

S:お見合いの会話みたいだね(笑)

T:でしょ?今は、金融庁の規制もあって、銀行でも投資経験とか、総資産とか聞くでしょ?まるっきりアンケートの場合が多いよね。

S:まぁ、ねぇ。でもどうしてもそうなっちゃうよね。

T:とはいえ、ずっとアンケートみたいに質問攻めにあったらどう思う?

S:だんだん嫌になる。

T:そうでしょ?

S:でも聞かないと適切な商品は選べない、と。

T:そうそう。

S:難しいね。

T:そこも「質問力」で。

S:ほんと??

T:まぁ、乞うご期待。次に、後半。ここでは、前回やった、購買意思決定プロセスの最初、問題やニーズを認識するところに当たる部分。つまり、潜在化しているニーズを顕在化するという、最も重要なプロセスだ。

S:どうやってやるの?やっぱり「質問力」?

T:そう!

S:なんかなぁ。

T:当然だよね。一個だけヒント。佐藤はさ、質問されたらどうする?

S:そりゃ、答えるさ。

T:だよね。その答える為に、一旦頭の中で考えるよね?

S:そうだね。

T:それ、それが大事なの。

S:分かったような分かんないような。。。

T:まぁ、具体例がないと分かりにくいよね。

S:うん。

T:ただ、ここできちんとお客様にご自身の抱える問題やニーズをご認識いただかないと、押し売りになっちゃう、ということは分かってくれる?

S:それはそうだね。

T:銀行で金融商品を販売する時に特に気をつけないといけないのはココなんだ。銀行員は自覚がないだろうけど、まだまだ銀行に対しての信用は厚い。銀行さんがそんなに熱心に勧めるのなら悪いものではないだろう、ということで買ってしまう人はまだ、一定数いるんだよ。

S:ありがたいね。

T:そう。だから、ここはしっかりやって、もし、問題やニーズがない、あるいは、あっても、金融商品では解決できないものであれば、ここでストップすべきなんだ。

S:適合性の原則ね。

T:広い意味でね。今問題になっているのは、為替の知識がないのに外貨建商品を勧めるとか、そういう狭義の適合性の話が多いけど、ニーズに合ってないものを売らない、というところは今後のビジネスにも重要。

S:なんか熱いね。でもそうだね。

T:っと、ごめん。ちょっと脱線した。で、そこまで来れば、いよいよ提案なんだけど、忘れちゃいけないのが、提案金額とか、根拠はヒアリングの最後でお客様の口から言って頂くということ。

S:当たり前だよね。

T:ほんと?意外と担当者が「じゃぁ、これくらいで作ってきますね」みたいなの多くない?

S:そんなことないよ。

T:じゃあ、なんで3年目渉外くんの提案金額、みんな最低申し込み金額で揃ってるの?

S:うっ。

T:さすがに全部のお客様のニーズ、全部同じだった、ということはないよね?

S:うーん。。。

T:まぁ、そういうこと。

S:胃が痛くなってきた。。。

T:大丈夫大丈夫。で、プレゼンテーション。

S:ここが前回言ってた「冷蔵庫がなぜ冷えるか」を力説しちゃうところね。

T:そうそう。ここで大事なのは、たとえ同じ商品でも、お客様の抱える問題は違うはずなので、その一人一人のお客様の問題が、その商品を持つことでどの様に解決されるのかをご理解いただくことなんだ。

S:商品性の説明だけじゃなくね。

T:そう!だから、前回のお客様でうまくいったトークだからといって別のお客様に使っても効果はない、ということなんだ。

S:毎回毎回大変そうだなぁ。

T:そう?一番楽しいところじゃない?だって、こんなふうに不安が解消されて、心配がなく過ごせますよ、ということだから楽しいはずだよ。

S:そううまくいけばね。

T:いや、そうならないということは、担当者自身が、まだ、本当にその商品でいいのか確信が持ててないということだから、ヒアリングに戻るべきだね。

S:戻るの??

T:そりゃそうだよ。確信が持てない、ということは何かまだ聞けてないことがあるということだから。それでなければ、そもそもちょっと違うけど買ってくれそうだからいっか、ということか。

S:そりゃダメだね。

T:そうそう。

S:でもそこまで理想的なプレゼンテーションなら自然に申し込みになるからクロージングなんていらないかもね。

T:それが理想。でも、説明を聞いて、お客様の方から、「どこにハンコ押せばいいの?」とは聞いてこないでしょ?

S:まね。

T:やっぱりクロージングは必要なんだよ。ただ、佐藤も言ってくれたように、ここまでうまくいっていれば、そんなに特殊なことはいらない。逆にここに苦労する様ならそれまでの段階で何か間違っていた、ということだからむしろそっちが問題。

S:分かった。で、アフターフォローというのは?

T:これはね、営業とお客様の意識の違いが顕著に出るタイミングで、しっかりアフターフォローすることで契約後の満足度を維持していただこう、というもの。

S:意識の違い?

T:契約すると、営業側は終わり、っていう気持ちになるけど、お客様はこれから始まる、と思うんだよ。

S:そっか。

T:そう。実際、車とかでもCMを一番熱心に見るのは、購入した直後の人らしいよ。

S:え?なんで?

T:自分がした選択は間違ってなかった、って確認したいんだよ。だから、素晴らしい車だ!って宣伝しているCMを見て、いい選択したなぁ、と思いたいから、だって。

S:あぁ、なんかわかる気がする。

T:それなのに、契約したらそれっきりというのは、お客様としては不安になるよ。一番自分の決断が間違ってなかったと確認したいタイミングなのに。

S:そっかぁ〜。今までそんなこと考えたこともなかった。

T:しかも、このタイミングは、もう、何か勧められる恐れがない、プレッシャーがないところで、面談ができるので、お客様と最も本音で話せるタイミングなんだ。ここで、追加のニーズを聞けるチャンスでもある。

S:まだ商売するんだ!

T:人聞きの悪い。あくまで、あれば、ということだよ。それに、本当はそっちが心配、ということであれば、そのままにするのはダメでしょ。

S:まぁ、ねぇ。

T:ということで、まとめると、さっき見てもらったこれになる、ということ。

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S:で、具体的な方法はまた今度?

T:そう。お楽しみに。


2、本日の質問

肯定的な雰囲気を獲得する「YESを2回」質問

T:さて、と言うわけで、各営業プロセスの定義について、考えていこうか。
S:リョーカイ。
T:まずは、全体像を掴んでもらって、次にプロセスごとに細かくみていくけどOK?
S:OK!

アプローチの説明で少し出てきました、YESを2回とる質問です。
これは、面談の冒頭で2回連続でYESという回答をしてもらうことで、面談全体に対して肯定的な雰囲気を獲得することを目的としています。
大事なのはYESを2回取れればいいので、質問の内容はなんでもいいです。間違ってもYESかNOかビミョーな質問はしないでください。

ほんとに効果あるの?と思われた方、逆に、面談の冒頭に、NOと2回連続でいわれるような質問をして、面談を始めてみてください。


長文、最後までお読みいただきありがとうございました。

お読みいただいたお時間分だけでも参考になるとがあれば嬉しいです。

こちらに過去分まとめましたのでご興味があればご覧ください。
他にも「上司のための『質問力』」に関して投稿していますので宜しければそちらもぜひ。



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