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俳句 まとめ記事 一覧

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現代俳句 作品集 9 〜花の春〜

現代俳句 作品集 9 〜花の春〜


「 花の春 」
~現代俳句集〜

奈良になお歴史降りつむ雪だるま

あしあとのかなたの影も雪野ゆく

じんせいのみな名優よ雪舞いだす

いち年が目にありありと冬至風呂

飛びたってむすうのかげよ浜千鳥

その後ののちのちまでよ聖夜の鐘

きよしこの夜コレッジョの絵の光

屋根屋根に鐘の音ひとびとに聖夜

ジングルベルジングルベルと冬館

飛ぶほどにおもいいのちの綿虫よ



さっそくに空を晴ら

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現代俳句 作品集 8 〜雪降る街〜

現代俳句 作品集 8 〜雪降る街〜


「 雪降る街 」
~現代俳句集〜

晴れぞらよ白落ちてくるふゆの滝

陽よ風に吹かれどおしのふゆの菊

また一人あしたへ去っておでん酒

ガス燈よそのむかしから夜々の雪

ホットティーホットコーヒー婚話

きょうまでをわすれ果てても冬桜

未来にも過去にも僧よ奈良しぐれ

かがやいてどれもしんじつ冬の星

ただの灯か信仰の灯かクリスマス

かお上げてスカイツリーの街に雪



いっしゅんで冬あ

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現代俳句 作品集 7 〜朝日夕日〜

現代俳句 作品集 7 〜朝日夕日〜


「 朝日夕日 」
~現代俳句集〜

あしもとにとどく日ざしよ冬木立

サーカスの旗はためいて冬が来る

冬かもめ花咲くように飛びたつか

近海のむかしなつかしくじら跳ぶ

さいげつをただよう鴨か水のうえ

きた山からみなみ山へとふゆの虹

ぱちぱちとたき火のこえよ葛城山

焚き火していましばらくは星の空

マスクしてひとりひとりの交差点

今日までの旅今日からのかえり花

あるはずの地球のにおい

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現代俳句 作品集 6 〜風のおと〜

現代俳句 作品集 6 〜風のおと〜


「 風のおと 」
~現代俳句集〜

釈迦の弟子るいるいとして鐘の秋

旅どこにたどりついても露けさよ

たびびともすすきの穂わた草千里

みずからをなつかしみつつ今年酒

松山よどの句碑からもあきのこえ

赤とんぼ時代とどまることしらず

菊の香よふる里よりもなつかしく

我のひとよ和のひとびとよ月見酒

菊いちりん今へとつづく香りこそ

京都タワー月日ぐるりと秋の暮れ

ゆうぐれてどの道からも

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現代俳句 作品集 5 〜露の玉〜

現代俳句 作品集 5 〜露の玉〜


「 露の玉 」
~現代俳句集〜

ことごとくいっぽん立ちよ竹の春

コスモスもあるきたそうに散歩道

金木犀香もゆうぐれてゆくばかり

まぶしさの都市あかるさの名月よ

黙として真向かうものに今日の月

古じんらのおもいのこしの名月よ

望の夜いちねんいちのしずけさよ

十六夜があかるくなってからよ宴

いちねんを忘れはじめの十六夜よ

図書館のさいげつ黄葉してゆくか

屋じょうに出て見晴らしの

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現代俳句 作品集 4 〜秋風鈴〜

現代俳句 作品集 4 〜秋風鈴〜


「 秋風鈴 」
~現代俳句集〜

コーヒーに紅茶にふかみゆく秋か

人がゆく火星ひとつぶほしづき夜

甲州のそらずっしりとぶどう狩り

熱気球つぎつぎとそらさわやかよ

関東よたくさんの灯といなびかり

日がのぼり日がのぼりして柿の秋

家あおぐ秋のコートのふるさとか

出会いとはわかれのことよ秋遍路

ネクタイよ鏡にほのとあきのいろ

それぞれの絵にものがたり美術展



レストラン深みゆく

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現代俳句 作品集 3 〜夕風〜

現代俳句 作品集 3 〜夕風〜


「 夕風 」
~現代俳句集〜

いつの世もまえへまえへと阿波踊

つどう日がやがてかならず大西瓜

飛騨のバス霧にあらわれ霧にきえ

ふたりの灯ふたりをともし夜学校

オリンピックそののちをただ蜩よ

顔照らす花火きえてはまたひらく

ぐちの屋台わらいの屋台ぬくめ酒

きつつきよ山々は日々あたらしく

再会よだまっていてもほしづき夜

灯の家よあかるくくらく地虫鳴く

何もかもつかのま月と向きあ

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現代俳句 作品集 2 〜 朝顔〜

現代俳句 作品集 2 〜 朝顔〜


「 朝顔 」
~現代俳句集〜

絵はがきよ窓のかなたの蝉しぐれ

村じゅうが夜のやみのなか夏布団

釣り堀よ昨日をわすれ今日わすれ

かっこうよ千回鳴いて日がしずむ

一夜あけいちりんざしの薔薇に影

たかだかと見えるかぎりの山開き

ひろびろと見えるかぎりの海開き

家のかげいえのましたに夏さかん

にわへみなうしろすがたのかき氷

すれ違う声さまざまよボート漕ぐ

目つむれば閑のせかいよ蝉の

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現代俳句 作品集 1 〜この星〜

現代俳句 作品集 1 〜この星〜


「 この星 」
~現代俳句集〜

家二軒ひびきあうかにふうりんよ

むこうにはあおぞらだけよ扇風機

わざそしてこころ次々にぎり寿司

ときが来ていっせいに赤トマト畑

父の日よ大黒ばしらという御菓子

探査機たちはしる火星は涼しいか

うちゅうにもある物語ふうりんよ

じぶんの名となえてもみよ街に虹

わすれられわすれこの世は大夕焼

月というこころの涼のおおきさよ

邪馬台国ほたる今宵も舞い

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現代語俳句への旅  52 終  〜空港〜

現代語俳句への旅 52 終 〜空港〜


「 空港 」
~現代俳句集〜

青葉木菟消えて神社のちんもくよ

ゆうべんは銀ちんもくは金冷し酒

吹かれれば風にもなれる涼しさよ

パソコンよ昼はコーヒー夜は麦酒

身ひとつに満天の星キャンプの火

夏の月待たれているということか

向日葵がひまわりらしく立つ地球

その声をやしなう山よほととぎす

寺のなか別のせかいのふうりんよ

夏菊よちいさいことのうくつしく

喜をかたり悲をかたりして蛍

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現代語俳句への旅 51 〜朝焼け〜

現代語俳句への旅 51 〜朝焼け〜


「朝焼け」
~現代俳句集〜

待ったひと待たせたひとに噴水か

なにもかも地球に借りて草ぶえよ

のぼる土手もう夏芝の踏みごたえ

たけのこのなかの宇宙の静かさよ

ほしぞらも旅館のうちよ河鹿鳴く

そこらじゅう水鏡してかきつばた

美意識の現われとして花しょうぶ

街灯はへいわのあかしまつりの夜

かわらないおもいがひとつ衣更え

巻き波よサーファー斜め四十五度

サーファーに妻と子がいて暮の

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現代語俳句への旅 50 〜帆はすべて〜

現代語俳句への旅 50 〜帆はすべて〜


「 帆はすべて 」
~現代俳句集〜

ほんとうの桜が観えてふぶくなか

十万歩きょう良いおとのへんろ杖

赤く咲いてなんのきざしの沈丁花

春惜しむ路地奥に住むひととして

春雷よひとりひとりがひとりの夜

観潮船うずのあたりがあかるいぞ

春雨よきのうは待たせ今日は待ち

そもそもがいのちがけの世燕の巣

その主張花でしめしてたんぽぽよ

鼻うたが変わりつづけて春終わる

ふるさとを出た沈黙よ

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現代語俳句への旅 47 〜春山河〜

現代語俳句への旅 47 〜春山河〜


「 春山河 」
~現代俳句集~

その奥に池咲くさくら散るさくら

ひこう機を遠景にして野にあそぶ

大宇宙ちいさく見ればたんぽぽよ

さんがつよ橋あるくおと川のおと

まっしろな蝶にも影のしずかさよ

手品師がハト出すように春めくか

雛まつりあるくはやさで川ながれ

さいげつに押し黙るのも雛の日か

この町よ春そのままにコーヒー店

呼びかけるイヤホンマイク春の空

北を見ればどこまでも北鳥

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現代語俳句への旅 42 〜明らかに鶴〜

現代語俳句への旅 42 〜明らかに鶴〜


「 明らかに鶴 」
~現代語俳句集~

平和通りいまは静かに木の葉降れ

恋二人セーターに陽があたるまで

あるときは嶺々あるときは冬光よ

コート着て都会は都会富士は富士

さいごにはゆう焼けてこそ十一月

奈良じゅうに耳をすまして冬の空

木枯らしのあちらこちらで疫病か

だれも行くマスクの白を盾として

能登がただ散っているだけ冬怒涛

あかるさよはるかに滅ぶふゆの星



おおさかのこ

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